化学(薬物)療法

手術ができない場合には、抗がん薬でがんをたたく薬物療法が治療の中心になります。手術の前や後にも薬物療法が行われることがありますが、今のところ、臨床試験として行うべき治療法です。

ゲムシタビンとシスプラチンを併用

胆道がんが手術で切除しきれないぐらい広がっていたり、ほかの臓器への転移がみられたりする場合には、抗がん薬のゲムシタビンとシスプラチンを併用した薬物療法を行うのが標準治療です。まずは、吐き気・嘔吐の副作用を抑えるセロトニン(5HT3)受容体拮抗薬やデキサメタゾンなどの制吐薬の投与を受け、その後シスプラチン(25mg/㎡)、ゲムシタビン(1000mg/㎡)をそれぞれ生理食塩水と一緒に点滴します。

抗がん薬の量は、患者さん自身の体表面積(体重と身長)によって決まります。水分が不足するとシスプラチンによる腎機能低下が起きやすいので、多めに生理食塩水の点滴を行います。そのため制吐薬、抗がん薬の点滴時間は合計約3時間かかります。一般的には通院での治療となりますので、仕事を続けながら薬物療法を受けている人も少なくありません。

ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法は、1日目と8日目に投与し、15日目は休薬するパターンが標準的で、3週間で1コースです。効果と副作用の出方や患者さん本人の体力にもよりますが、英国や国内の臨床試験を参考にして、通常8コースを上限として行います。この併用療法でがんを縮小させ、進行を遅らせることが期待されます。なかには、CTなどの画像でがんが見えなくなり手術が受けられるようになる人もいます。

腎機能が悪いなどシスプラチンが使えないときには、ゲムシタビン単独療法を行います。単独療法の場合には、制吐薬を投与した後、ゲムシタビン(1000mg/㎡)を30分くらいかけて点滴する薬物療法を1週間に1回ずつ3回行い、次の回は休薬して4週間で1コース繰り返します。

ゲムシタビンとシスプラチンの併用療法やゲムシタビン単独療法が効かなくなったときには、経口薬のテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1※)で治療することが多くなっています。また、新しい薬剤やさらに効果の高い薬の開発、既存の抗がん薬を組み合わせた臨床試験などが進められています。※TS-1とも呼ばれる

なお、抗がん薬は肝臓で代謝され、80%以上が胆汁に排出されます。黄疸が出ている場合には、肝機能障害を防ぐためにも、薬物療法の前に減黄療法を行い、胆汁の流れをスムーズにしておくことが大切です。

術前・術後の再発予防は

胆道がんは手術後に再発するケースが多いがんの1つです。そのため、手術後の再発予防を目指して、これまでもさまざまな臨床試験が行われてきました。しかし、今のところ、再発予防効果が証明された抗がん薬はありません。現時点では、胆道がんの術前あるいは術後化学療法(薬物療法)は、臨床試験として行うべき治療に位置づけられています。少しでも再発のリスクを減らすべく、国内外で胆道がんの手術前、または術後に薬物療法を行う臨床試験が進められており、その結果が期待されます。

できるだけ長く治療継続を

胆道がんの薬物療法は、重い副作用が出て治療継続が難しくなったり、病気が進行して抗がん薬治療ができない状態になったりしない限り、できるだけ長く継続していくのが一般的です。がん細胞が目に見えないくらい小さくなったとしても、途中で抗がん薬治療をやめると、手術でがんが取り除けた場合は別として、がんが増殖を再開する危険性が高いからです。

強い副作用が出たときには、抗がん薬の量を減らしたり、いったん休薬したりしてから治療を再開します。その際、別の抗がん薬に切り替える場合もあります。

がんの薬物療法は進歩しているものの、手術で切除できないくらい進行した胆道がんは、いまだに抗がん薬治療だけで完治することは望めないのが実情です。薬物療法の目的は、病巣が大きくなるのをできる限り長期間防いで、仕事やこれまで通りの生活を続けることにあります。

薬物療法が効いているかどうかは、問診で患者さん本人の自覚症状、全身状態を確認し、定期的にCT検査などの画像診断や採血による腫瘍マーカーの測定を行って判断します。血液検査と画像診断は、自覚症状が出にくい副作用や黄疸の出現を早めに見つけるためにも重要です。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 胆道がんのこと」より抜粋・転記しております。