迅速承認されたがん領域の新医薬品、生存期間の改善が認められるとは限らないJAMAより


  • [公開日]2024.04.24
  • [最終更新日]2024.04.22
この記事の3つのポイント
・迅速承認されたがん領域の新薬の有効性の検討
・2013年から2023年の期間で承認された薬剤について、有効性と安全性を調査
・一部の抗がん剤は生存期間や生活の質の向上を認めず

2024年04月07日、医学誌「JAMA」にて、米国食品医薬品局(FDA)により2013年から2023年の期間で迅速承認を認められたがん領域の新医薬品の臨床的ベネフィットを検証したコホート試験の結果がBrigham and Women’s Hospital and Harvard Medical SchoolのIan T. T. Liu氏らにより公表された。

本試験は、米国食品医薬品局(FDA)より2013年から2023年の期間で迅速承認を認められた129のがん領域の新医薬品のうち、5年間フォローアップが可能であった(2013年から2017年の期間で迅速承認された)46の新医薬品を対象にし、評価項目として全生存期間OS)、生活の質(QOL)を検証したコーホート試験の結果である。

本試験の結果、5年以上の追跡調査が可能であった46のがん領域の新医薬品は63%(N=29)が通常承認へ移行し、22%(N=10)が承認取り消し、15%(N=7)が中央値6.3年後も早期承認のままであった。また確認試験で臨床的有用性を示したのは、半数以下(20/46、43%)であり、41%(19/46)で全生存期間(OS)または生活の質(QOL)を改善せず、さらに15%(7/46)は結果が得られていなかった。

また、通常承認へ移行した、薬剤とその適応症の組み合わせ(N=48)について、5年以上の調査をした結果、40%(N=19)は全生存期間(OS)、44%(N=21)は無増悪生存期間、10%(N=5)は奏効率奏効期間、4%(N=2)は奏効率、2%(N=1)は確認試験が陰性であった。

以上のコーホート試験の結果よりIan T. T. Liu氏らは、「FDAより迅速承認が認められたがん領域の新医薬品のほとんどは、OS、QOLの改善効果を示すことができませんでした。迅速承認を受けたがん領域の新医薬品により治療される患者さんは、最終的に臨床的ベネフィットを得られない可能性がある点について理解できるように説明されるべきしょう」と結論を述べた。

参照元:
Clinical Benefit and Regulatory Outcomes of Cancer Drugs Receiving Accelerated Approval(JAMA 2024. doi:10.1001/jama.2024.2396)

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