この記事の3つのポイント
・ハイリスク切除可能悪性黒色腫を対象としたプール解析
・術前療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法と抗PD-1抗体単剤の有効性・安全性を比較検討
・併用療法は単剤よりも有効性・有害事象ともに高い傾向を示す
2024年03月28日、医学誌『JAMA Oncology』にて、ハイリスク切除可能悪性黒色腫(メラノーマ)に対する術前療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ)併用療法の常用量投与(conventional dose)、代替量投与(alternative-dose)の有効性、安全性を検証したプール解析の結果がUniversity Hospitals Seidman Cancer CenterのAnkit Mangla氏らにより公表された。
本試験は、ハイリスク切除可能悪性黒色腫患者(N=573人)に対して、術前療法としてオプジーボ1mg/kg+ヤーボイ3mg/kg併用療法を実施する常用量投与群、もしくはオプジーボ3mg/kg+ヤーボイ1mg/kg併用療法を実施する代替量投与群の有用性を検証した6つの臨床試験を対象にして、評価項目として画像上の完全奏効率(rCR)、画像上の全生存期間(rOS)、画像上の客観的奏効率(rOOR)、病理学的完全奏効率(pCR)、免疫関連有害事象(irAE)発症率等をプール解析した試験である。
本試験において、6つの臨床試験に登録された573例の解析を行った結果、ハイリスク切除可能悪性黒色腫に対する術前療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用投与は、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)単剤投与に比べてpCRおよびrCRが効率であった。一方グレード3もしくは4のirAEに関しても、単剤投与に比べて併用投与で高率であった。
オプジーボ+ヤーボイの常用量投与群と代替量投与群で比較した場合、rCR、rOOR、pCRにおける両群間での統計学的有意な差は確認されなかった。一方、グレード3もしくは4のirAEは、代替量投与群に比べて常用量投与群で高率(OR:4.76,P<0.001)であった。
以上のプール解析の結果よりAnkit Mangla氏らは、「ハイリスク切除可能悪性黒色腫に対する術前療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法は、抗PD-1抗体単剤療法と比較して、病理学的奏効率および画像上の奏効率を改善しましたが、グレード3または4のirAEsの関連リスクも上昇しました。さらに、常用量投与は、代替量投与と比較してグレード3または4のirAEのリスク上昇と関連する一方で画像上の奏効または病理学的な奏効に有意な差は認められませんでした」と結論を述べた。
参照元:・術前療法としてのオプジーボ+ヤーボイ併用療法と抗PD-1抗体単剤の有効性・安全性を比較検討
・併用療法は単剤よりも有効性・有害事象ともに高い傾向を示す
Neoadjuvant Dual Checkpoint Inhibitors vs Anti-PD1 Therapy in High-Risk Resectable Melanoma(JAMA 2024. doi:10.1001/jamaoncol.2023.7333)