治療歴のあるHER2陽性の進行性胃食道腺がんに対するZanidatamab、客観的奏効率は単剤で38%、化学療法併用で60%を示すASCO GI 2021


  • [公開日]2021.02.12
  • [最終更新日]2021.02.12
この記事の3つのポイント
・複数治療歴のあるHER2陽性の進行性胃食道腺がん患者が対象の第1相試験
・Zanidatamab(ザニダタマブ)の単剤療法化学療法併用の有効性安全性を検証
・客観的奏効率は単剤群で38%、化学療法併用群で60%を示した

2021年1月15日~17日、オンラインミーティングで開催された2021 Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2021)にて複数治療歴のあるHER2陽性の進行性胃食道腺がん患者に対する抗HER2二重特異性抗体であるZanidatamab(ZW25)単剤療法、Zanidatamab(ザニダタマブ:ZW25)+化学療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02892123)の結果がMD Anderson Cancer CenterのFunda Meric-Bernstam氏らにより公表された。

本試験は、複数治療歴のあるHER2陽性の進行性胃食道腺がん患者に対して、Zanidatamab(ZW25)単剤療法を投与する群(パート1、パート2)、Zanidatamab(ZW25)+パクリタキセル/カペシタビン併用療法を投与する群(パート3)に振り分け、主要評価項目として用量制限毒性DLT)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。パート1のZanidatamab(ZW25)の投与量は1週1サイクル10mg/kg、2週1サイクル20mg/kg、3週1サイクル30mg/kg、パート2は決定された用量、パート3は20~30mg/kgと化学療法が投与された。

本試験が開始された背景として、HER2陽性の進行性胃食道腺がんに対する標準療法トラスツズマブ+化学療法のみである。本治療後に病勢進行した患者に対する治療選択肢は存在しないため、新たな治療選択肢の開発が必要とされている。HER2陽性進行性固形がんに対して有望な抗腫瘍効果を示した抗HER2二重特異性抗体であるZanidatamab(ZW25)の有用性を進行性胃食道腺がんにおいても検証する目的で本試験が開始された。

本試験のパート1、パート2に登録された36人、パート3に登録された26人の患者背景は下記の通りである。前治療歴中央値はパート1、パート2で3レジメン(1~7)、パート3で2レジメン(1~7)。抗HER2抗体の前治療歴はパート1、パート2で94%(N=34人)、パート3で92%(N=24人)。

以上の背景を有する本試験の結果は下記の通りである。全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はパート1、パート2で72%(N=26人)、パート3で81%(N=21人)。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はパート1、パート2で11%(N=4人)、パート3で15%(N=4人)。

20%以上の患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)はパート1、パート2で下痢44%、インフュージョンリアクション36%、パート3で下痢58%、倦怠感27%であった。

客観的奏効率(ORR)はパート1、パート2で38%(N=13人)、パート3で60%(N==12人)。病勢コントロール率DCR)はパート1、パート2で62%(N=21人)、パート3で85%(N=17人)。奏効持続期間(DOR)中央値はパート1、パート2で6.0ヶ月(95%信頼区間:1.9~9.2ヶ月)、パート3で8.9ヶ月(95%信頼区間:3.5ヶ月~未到達)。

以上の第1相試験の結果よりFunda Meric-Bernstam氏らは「複数治療歴のあるHER2陽性の進行性胃食道腺がん患者に対する抗HER2二重特異性抗体Zanidatamab(ZW25)単剤療法、Zanidatamab(ZW25)+化学療法は、良好で持続的な抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。

Zanidatamab (ZW25) in HER2-expressing gastroesophageal adenocarcinoma (GEA): Results from a phase I study.(2021 Gastrointestinal Cancers Symposium,Abstract No:164)

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