限局型小細胞肺がんに対する同時化学放射線療法後のイミフィンジによる地固め療法、生存期間を有意に改善ASCO2024


  • [公開日]2024.06.21
  • [最終更新日]2024.06.20

2024年5月31日-6月4日、米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)のPlenary sessionにて、限局型小細胞肺がん(LS-SCLC)における同時化学放射線療法(cCRT)後の抗PD-L1抗体イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)による地固め療法試験の有効性を検討した第3相ADRIATIC試験について、米Sarah Cannon Research InstituteのDavid R. Spigel氏らにより発表された。

同試験は、PS0/1のI期-III期LS-SCLC(I-II期は切除不能)かつcCRTを受けて増悪しなかった患者を対象に、イミフィンジ1500mgを4週おきに投与する群と、イミフィンジ1500mg+イジュド(一般名:トレメリムマブ)75mgを4週おきに4回投与する群およびプラセボを与する群に無作為に割り付け主要評価項目としてイミフィンジ単剤群とプラセボ群の(OS)およびRECISTv1.1に基づく無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として、イミフィンジ+イジュド併用群のPFSとOSを評価した試験である。

今回の中間解析では、OSの観察期間中央値が37.2カ月、PFSの観察期間中央値が27.6カ月時点における主要評価項目が発表された。

OSの中央値は、イミフィンジ単剤群の55.9カ月(95%信頼区間:37.3-NE)に対してプラセボ群で33.4カ月(95%信頼区間:25.5-39.9)、ハザード比は0.73(95%信頼区間:0.57-0.93, p=0.0104)で、イミフィンジによる有意なOSの改善が認められた。またPFSの中央値は、イミフィンジ単剤群の16.6カ月(95%信頼区間:10.2-28.2)、に対してプラセボ群で9.2カ月(95%信頼区間:7.4-12.9)、ハザード比は0.76(95%信頼区間:0.61-0.95, p=0.0161)で、イミフィンジによるPFSの有意な改善が認められた。

グレード3/4の有害事象発現率は、イミフィンジ単剤群の24.4%に対してプラセボ群で24.2%、また副作用で投薬中止となったのは、イミフィンジ単剤群の16.4%に対してプラセボ群で10.6%、死亡が認められたのは、イミフィンジ単剤群の2.7%に対してプラセボ群で1.9%であった。グレード3/4の免疫関連有害事象の発現率は、イミフィンジ単剤群の5.3%に対してプラセボ群で1.5%であった。

肺炎/放射線肺臓炎の発現率は、イミフィンジ単剤群の38.2%に対してプラセボ群で30.2%、グレード3/4はイミフィンジ単剤群の3.1%に対してプラセボ群で2.6%であった。またイミフィンジ単剤群で1人(0.4%)が死亡に至った。

同試験は、免疫療法がLS-SCLCに有効であることを示した最初の試験であり、cCRT後に増悪を認めないLS-SCLCに対するイミフィンジによる地固め療法が新しい標準療法になり得ることを支持する結果である。

参照元:
ADRIATIC: Durvalumab (D) as consolidation treatment (tx) for patients (pts) with limited-stage small-cell lung cancer (LS-SCLC).(ASCO 2024)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン