この記事の3つのポイント
・KRAS G12C変異陽性進行固形がんを対象とした第1/2相試験
・KRAS G12C阻害薬であるオロモラシブ単剤療法の有効性、安全性を検討
・有効性、安全性ともに良好な結果
2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国癌治療学会(ASCO 2024)にて、KRAS G12C変異陽性進行固形がんに対するKRAS G12C阻害薬であるオロモラシブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT04956640)の結果がMassachusetts General HospitalのRebecca Suk Heist氏らにより公表された。
本試験は、KKRAS G12C変異陽性進行固形がん患者に対して1日2回オロモラシブ50-200mg単剤を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、治療関連有害事象(TRAE)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)等を検証したオープンラベル多施設共同の第1/2相試験である。
本試験に登録された157人の患者背景は、年齢中央値が65歳(36-85歳)、前治療歴中央値が3レジメン(0-11レジメン)、固形がんの詳細は、非小細胞肺がん(NSCLC)が58人、大腸がん(CRC)が32人、膵臓がん(PANC)が24人、その他43人であった。
主要評価項目である全グレードのTRAE発現率は62%、グレード3以上のTRAE発現率は5%を示した。10%以上の患者で確認された全グレードのTRAEは、下痢が24%、倦怠感が10%、嘔吐が10%であった。TRAEによる用量減少率が3%、治療中止率が2%を示した。
副次評価項目であるORRは、CRC群で9%を示し、非CRC群で40%を示した。PFSの中央値は腫瘍の種類によって異なり、最短でCRC群の4ヶ月(95%信頼区間:3-7ヶ月)、最長でNSCLC群の9ヶ月(95%信頼区間:3ヶ月-未到達)を示した。また、以前に KRAS G12C阻害剤治療歴があるNSCLC患者26人では、ORRが39% 、PFSの中央値は6ヶ月(95% CI、3-NE)であった。
以上の結果よりRebecca Suk Heist氏らは、「KRAS G12C変異陽性進行固形がんに対するKRAS G12C阻害薬オロモラシブ単剤療法は、良好な抗腫瘍効果を示し、安全性プロファイルも良好でした」と結論付けた。
参照元:・KRAS G12C阻害薬であるオロモラシブ単剤療法の有効性、安全性を検討
・有効性、安全性ともに良好な結果
Pan-tumor activity of olomorasib (LY3537982), a second-generation KRAS G12C inhibitor (G12Ci), in patients with KRAS G12C-mutant advanced solid tumors.(ASCO 2024)