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がんによる静脈血栓塞栓症予防療法としての経口第Xa因子阻害薬エリキュース、静脈血栓塞栓症(VTE)発症リスクを59%統計学的有意に減少するThe New England Journal of Medicine


  • [公開日]2018.12.26
  • [最終更新日]2019.02.15
この記事の3つのポイント
・がんによる静脈血栓塞栓症予防を確認する第Ⅲ相試験
・エリキュース単剤療法群とプラセボ群を比較検証したランダム比較試験
・エリキュース単剤療法は発症リスクを減少、副作用による出血発症率は高くなる

2018年12月4日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて悪性腫瘍関連静脈血栓塞栓症(VTE)の予防療法としての経口第Xa因子阻害薬であるアピキサバン(商品名エリキュース;エリキュース)単剤療法の有効性を比較検証した第Ⅲ相のAVERT試験(NCT02048865)の結果がOttawa Hospital Research Institute・Marc Carrier氏らにより公表された。

静脈血栓塞栓症はエコノミー症候群として広く知られている。同じ体制を長く続けることにより下半身の静脈血流がうっ滞し塞栓症が形成することがあります。この静脈血栓がはがれ落ち血流にのり肺の血管を塞いでしまうことにより、最悪、死に至ることがある。後述のように、悪性腫の病態および治療の影響により静脈血栓が発症してしまうことがある。

AVERT試験とは、静脈血栓塞栓症発症リスクの中等度または高度(Khoranaスコア2以上)がん患者に対する予防療法として1日2回エリキュース2.5mg単剤療法を6ヶ月間投与する群(N=291人)、またはプラセボ単剤療法を6ヶ月間投与する群(N=283人)に無作為に振り分け、主要評価項目として静脈血栓塞栓症発症率、副次評価項目として出血系の治療関連有害事象(TRAE)発症率を比較検証したプラセボ対象二重盲検下ランダム化の第Ⅲ相試験である。

本試験が実施された背景として、がん患者は悪性腫瘍関連静脈血栓塞栓症の発症リスクがあり、もし発症した場合には予後不良になる可能性が示唆されている。しかし、現在の悪性腫瘍関連静脈血栓塞栓症予防療法としての非経口薬による治療は効果不十分で、治療費も高額であり、手間もかかるため治療ガイドラインにおいて定期的な治療は推奨されていない。

一方、Khoranaスコアにより静脈血栓塞栓症発症リスクのある患者の層別化は進んでおり、例えば化学療法導入後の6ヶ月以内にKhoranaスコア2以上のがん患者の内9.6%は静脈血栓塞栓症を発症する。以上の背景より、第Ⅱ相試験等で悪性腫瘍関連静脈血栓塞栓症に対する有効性が確認されているエリキュース単剤療法の有用性を検証するために本試験が実施された。

本試験に登録された患者背景は以下の通りである。

年齢中央値はエリキュース群61.2±12.3歳に対してプラセボ群61.7±11.3歳。
・性別はエリキュース群で男性41.6%に対してプラセボ群で42.0%。
ECOG Performance Statusはエリキュース群でスコア0/1が85.3%、スコア2が14.7%に対してプラセボ群でスコア0/1が86.6%、スコア2が13.4%。
・がんの種類はエリキュース群で脳関連4.8%、膀胱がん0.3%、肺がん10.7%、精巣がん0.7%、胃がん8.6%、膵臓がん12.7%、悪性リンパ腫26.1%、多発性骨髄腫2.4%、婦人科がん25.4%、大腸がん1.0%、前立腺がん0%、その他7.2%に対してプラセボ群で脳関連3.5%、膀胱がん1.4%、肺がん9.9%、精巣がん0.4%、胃が6.7%、膵臓がん14.5%、悪性リンパ腫24.4%、多発性骨髄腫2.8%、婦人科がん26.1%、大腸がん2.8%、前立腺がん0.4%、その他7.1%。
・Khoranaスコアはエリキュース群でスコア2が63.9%、スコア3が26.8%、スコア4が8.9%、スコア5が0.3%、スコア6が0%に対してプラセボ群でスコア2が67.1%、スコア3が24.0%、スコア4が8.5%、スコア5が0.4%、スコア6が0%。

以上のように両群間で患者背景に大きな偏りはなかった。

本試験の結果、主要評価項目である静脈血栓塞栓症発症率はエリキュース群4.2%(N=12/288人)に対してプラセボ群10.2%(N=28/275人)、エリキュース群で静脈血栓塞栓症発症のリスクを59%統計学的有意に減少した(HR:0.41,95%信頼区間:0.26-0.65,P<0.001)。なお、静脈血栓塞栓症の内訳はエリキュース群で深部静脈血栓症2.4%(N=7人)、肺血栓塞栓症1.7%(N=5人)に対してプラセボ群で深部静脈血栓症4.4%(N=12人)、肺血栓塞栓症5.8%(N=16人)。

副次評価項目である重大な出血発症率はエリキュース群3.5%(N=10/288人)に対してプラセボ群1.8%(N=5/275人)、エリキュース群で重大な出血発症のリスクが2倍統計学的有意に増加した(HR:2.00,95%信頼区間:1.01-3.95,P=0.046)。なお、重大な出血の内訳はエリキュース群でカテゴリー1が10%(N=1人)、カテゴリー2が80%(N=8人)、カテゴリー3が10%(N=1人)に対してプラセボ群でカテゴリー1が0%、カテゴリー2が60%(N=3人)、カテゴリー3が40%(N=2人)。

また、治療期間中の静脈血栓塞栓症発症率、重大な出血発症率はそれぞれ以下の通りである。静脈血栓塞栓症発症率はエリキュース群1.0%(N=3/288人)に対してプラセボ群7.3%(N=20/275人)、エリキュース群で治療期間中の静脈血栓塞栓症発症のリスクを86%減少した(HR:0.14,95%信頼区間:0.05-0.42)。重大な出血発症率はエリキュース群2.1%(N=6/288人)に対してプラセボ群1.1%(N=3/275人)、エリキュース群で治療期間中の重大な出血発症のリスクを89%増加した(HR:1.89,95%信頼区間:0.39-9.24)。

以上のAVERT試験の結果より、Marc Carrier氏らは以下のように結論を述べている。“悪性腫瘍関連静脈血栓塞栓症の予防療法としてのエリキュース単剤療法は、プラセボ療法に比べて静脈血栓塞栓症の発症リスクを統計学的有意に減少しました。一方、重大な出血発症率はプラセボ療法に比べてエリキュース単剤療法で高率でした。”

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