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転移性または再発膵がんに対するmFOLFIRINOX療法およびS-IROX療法、ゲムシタビン+アブラキサン療法を上回る効果は示さず Journal of clinical oncologyより

[公開日] 2025.08.08[最終更新日] 2025.08.06

2025年7月28日、医学誌『Journal of clinical oncology』にて、転移性または再発性膵がんを対象に、標準治療であるゲムシタビン+アブラキサン(一般名:nab-パクリタキセル)併用療法(GnP療法)と、modified FOLFIRINOX療法(mFOLFIRINOX療法)ならびにS-IROX療法の優越性を検証したランダム化第2/3相JCOG1611試験の結果が日本から報告された。

試験デザイン

対象

再発または遠隔転移を有する膵がん患者

治療法(レジメン)

mFOLFIRINOX療法:オキサリプラチン、イリノテカン、レボホリナート、フルオロウラシル S-IROX療法:S-1(テガフール、ギメラシル、オテラシル)、イリノテカン、オキサリプラチン GnP療法:アブラキサン+ゲムシタビン

評価項目

主要評価項目:第2相試験部分ではS-IROX群の客観的奏効率(ORR)、第3相試験部分では全生存期間(OS) 副次評価項目:無増悪生存期間(PFS)、ORR、安全性、など

結果

日本国内の45施設から合計527例が登録された。

有効性

S-IROX群における第2相部分の主要評価項目であるORRは30.4%であった。 第3相試験の主要評価項目であるOSの中央値は、GnP療法で17.1ヶ月であったのに対し、mFOLFIRINOX療法で14.0ヶ月(ハザード比:1.31、95%信頼区間:0.97-1.77)、S-IROX療法で13.6ヶ月(ハザード比:1.35、95%信頼区間:1.00-1.82)であった。 またPFSの中央値は、GnP療法で6.7ヶ月であったのに対し、mFOLFIRINOX療法で5.8ヶ月(ハザード比:1.15、95%信頼区間:0.91-1.45)、S-IROX療法で6.7ヶ月(ハザード比:1.07、95%信頼区間:0.84-1.35)であった。 同試験は、GnP療法に対するmFOLFIRINOX療法およびS-IROX療法の優位性を達成する可能性が低いことから、無益性による早期中止に至った。

安全性

グレード3-4の有害事象のうち、好中球減少症は、mFOLFIRINOX療法(51.5%)およびS-IROX療法(38.7%)よりもGnP療法(60.3%)で多く見られた。 一方で、食欲不振および下痢は、GnP療法(それぞれ5.2%、1.1%)よりもmFOLFIRINOX療法(それぞれ22.8%、8.8%)およびS-IROX療法(それぞれ27.6%、23.0%)で多く見られた。

結論

転移性または再発性膵がんの初回治療として、mFOLFIRINOX療法およびS-IROX療法はGnP療法よりも優れた成績を示さなかった。 PFSは同等であったにも関わらず、OSでGnP療法の方が数値的に長い傾向を示したことから、増悪後の治療の効果に差があったことが考えられる。 参照元: Modified Fluorouracil, Leucovorin, Irinotecan, and Oxaliplatin or S-1, Irinotecan, and Oxaliplatin Versus Nab-Paclitaxel + Gemcitabine in Metastatic or Recurrent Pancreatic Cancer (GENERATE, JCOG1611): A Randomized, Open-Label, Phase II/III Trial(J Clin Oncol. 2025 DOI: 10.1200/JCO.24.00936.)
ニュース 膵臓がん mFOLFIRINOXnab-パクリタキセルS-IROXアブラキサンゲムシタビン

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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