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多発性骨髄腫に対する新規4剤併用療法登場の意義:強力な初回治療で深く長い効果を狙う ヤンセンファーマ
[公開日] 2025.08.08[最終更新日] 2025.08.05
8月1日、ヤンセンファーマ株式会社主催の「多発性骨髄腫の初回治療は新しい局面へ 移植適応・非適応に関わらず、未治療の多発性骨髄腫患者さんに新たな4剤併用療法が使用可能に」と題したセミナーが実施された。
これには、先日ダラツムマブ(製品名:ダラキューロ)+ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾンの4剤併用療法(DVRd療法)が移植の適応・非適応に関わらず使用可能になった背景がある。
講演の中で鈴木憲史先生(日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイドーシスセンターセンター顧問)は、多発性骨髄腫の治療では、より早く深い奏効(=微小残存病変(MRD)陰性)を達成し、それをできるだけ長く維持することが目標であると強調。特に薬剤に耐性を持つがん細胞が出てくる前の最初の治療が肝心であるとし、DVRd療法を使って初回から強力な治療をすることで、大部分が治らないと考えられてきた多発性骨髄腫においても、今後救える患者さんが増えていくのではないかと期待を述べた。
承認の根拠になったPERUSEUS試験では、MRD陰性率が、対照群の3剤併用群(ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾン)で47.5%に対してDVRd療法群で75.2%、またMRD陰性状態が12ヶ月以上の持続した割合は、29.7%に対して64.8%であった。この結果を受けて鈴木先生は、多くの患者さんが長期にわたり無再発を維持していることを意味するデータであるとコメントし、治癒に近づける可能性に言及した。「“Until PD(再発するまで治療を継続する)”という言葉は良くないと思っています。患者も主治医も、“治すべき”病気だと考え、無再発という目標を決めて治療すべきです」(鈴木先生)
また鈴木先生は、移植適応の患者さんであっても移植を絶対にすべきということではなく、有害事象やライフスタイルへの影響も説明した上で、患者さんの状態や希望によっては、薬剤だけでMRD陰性を狙える症例が出てくる可能性にも言及した。
最後に鈴木先生は、多発性骨髄腫は“ながら治療”ができる時代であり、治療しながら社会生活を送ることの重要性を強調。それにより、多発性骨髄腫の治療は消費ではなく、将来への投資だと考えられるようになると熱く語った。
黒田純也先生(京都府立医科大学大学院医学研究科 血液内科学 教授)は、2000年代に入って新薬が次々と開発されてきた経緯を説明し、特に今回のDVRd療法でも鍵となるダラツムマブが高い臨床ベネフィットをもたらしたことを強調。多発性骨髄腫の悪化は、がん細胞に雑多な遺伝子変異が入ること、免疫機能の働きが落ちることの2つが主な原因だが、骨髄腫細胞に多く発現しているCD38分子を標的とすることで、多様化したがん細胞に広く効果を示すことができ、同時に免疫抑制系細胞への制御効果も報告されている。
効果の高い薬剤が増える中、有害事象などの影響で治療ができない症例もいる一方で、さらに強い治療にも耐え得る元気な患者さんがいることも事実だとし、より強力な4剤併用療法で更なる高みを目指すというのが、今回の4剤併用療法登場の意義であると説明した。
特に最初の1-2サイクルは、できるだけ減量を前提とはせず、規定の用法通りにしっかり薬剤を使うことが重要だと黒田先生。初回の強力な治療によって確実に予後が良くなり、日常生活に戻れる患者さんが出てくる可能性が高まるとコメントした。
ただし、強力な治療であるが故に、全ての患者さんに適した治療ではないことを黒田先生は強調。治療選択肢が増えるほど、医師は目の前の患者さん毎にどの治療をどのタイミングでどのように使うのかを考え、個々に最適な治療法を提示していくことが益々重要であると思っていると、今後の治療に対する展望を示して講演を締めた。
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