多発性骨髄腫 デノスマブ(ランマーク)のゾレドロン酸(ゾメタ)に対する非劣勢試験


  • [公開日]2016.02.14
  • [最終更新日]2016.08.03

ポイント

この試験は、多発性骨髄腫に対する初回治療としてランマークとゾメタの非劣性を確認する第4相試験となります。ランマークは既に効能取得済みであり、追試試験のようなものです。

<一般的な説明>

試験概要

この治験は、骨病変を有する未治療の多発性骨髄腫患者に対して、デノスマブが骨関連事象を抑制する効果及び安全性に関してゾレドロン酸と同等の効果があるかどうかを評価する試験です(非劣性試験)。なお、デノスマブは既に「多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変」の適応を取得済みとなり、本試験は第4相試験となります。第4相試験は追試試験のようなものです。

治験薬剤の説明

RANKリガンド(RANKL)は、骨を破壊する作用のある破骨細胞の活性化に関わっており、骨髄腫細胞ではその働きが亢進しています。デノスマブ(商品名ランマーク)は抗体の一種であり、RANKリガンド(RANKL)を選択的に抑制することができます。それによって、破骨細胞の働きを抑え、異常に骨が壊されていく過程を抑えることによってがん患者での骨病変を抑制することが出来ます。

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 18歳以上の方
  2. 画像検査により1個所以上の骨病変を有する方
  3. 最善の結果をもたらすと考えられる多発性骨髄腫治療が予定されている方

この試験の対象とならない方

  1. 非分泌型骨髄腫の方(ただし、ベースラインのfree light chainが上昇している者は除外しない)
  2. 形質細胞白血病の方
  3. POEMS症候群の方
  4. 過去に多発性骨髄腫の治療を受けている方
  5. 過去にデノスマブの投与を受けた方
  6. 過去1年以内に経口ビスフォスフォネート製剤の投与を受けた方
  7. 過去又は現在にビスフォスフォネート製剤の静脈内投与を受けている方
  8. 過去又は現在に顎部の骨壊死又は骨髄炎を合併している方

臨床試験公開情報

JAPIC No :   JapicCTI-121876 (最終更新日2015/12/18)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT01345019 (最終更新日2015/11/20)詳細はコチラ

治験概要

未治療の多発性骨髄腫患者を対象としたデノスマブのゾレドロン酸(ゾメタ)対照無作為化二重盲検多施設共同比較試験

対象がん種 多発性骨髄腫
フェーズ P3(P4)
実施期間 2012年5月~2016年5月
実施国 日本、米国、オーストラリア、オーストリア、ブルガリア、カナダ、チェコ、フランス、ドイツ、ギリシャ、香港、ハンガリー、アイルランド、イタリア、韓国、リトアニア、マレーシア、ニュージーランド、ポーランド、ポルトガル、ロシア、シンガポール、スロバキア、スペイン、スイス、台湾、トルコ、ウクライナ、イギリス
目標症例 1520(1700)
状況 募集中
手法 ランダム化、二重盲検
(一般名:デノスマブ、商品名:ランマーク、プラリア)
種類 ヒト型モノクローナル抗体(抗NF‐κB活性化受容体リガンド(抗RANKL)抗体)
投与経路 皮下投与/静脈内投与

<専門的な説明>

試験概要

骨病変を有する未治療の多発性骨髄腫患者を対象として、デノスマブの骨関連事象(Skeletal Related Event: SRE)抑制における効果及び安全性をゾレドロン酸(ゾメタ)を対照とした無作為二重盲検比較試験にて検討する(JAPIC)

The purpose of this study is to determine if denosumab is non-inferior to zoledronic acid in the treatment of bone disease from multiple myeloma.(Clinical trials.gov)

治験薬剤の説明

デノスマブはヒト型モノクローナル抗体で、RANK リガンド(破骨細胞の形成、機能及び生存に必須のタンパク質)を標的とする世界初の抗体です。当社は、本抗体を創製したAmgen Inc.(米国)から日本国内での開発・販売権を2007 年に取得し、開発を進めてきました。
(第一三共HPより:http://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/005142.html
ゾメタは骨に対して高い親和性を示して骨表面に吸着し、破骨細胞の機能障害およびアポトーシスを誘導することで破骨細胞を減少させ、骨吸収を抑制すると考えられています。
(ノバルティスファーマHPより:http://www.novartis.co.jp/news/2006/pr20060420_01.html

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

臨床試験(治験)とは

・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。

初回作成:可知 健太

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