オンコビン(ビンクリスチン)


  • [公開日]2017.08.16
  • [最終更新日]2017.09.14

本ページは株式会社インテリムとオンコロで共同で作成しています。

概要

一般名 ビンクリスチン
商品名 オンコビン
治験薬コード
一般名英語表記 Vincristine
商品名英語表記 Oncovin
種類 植物アルカロイド
種類
投与経路 注射
適応がん種 1.白血病
2.悪性リンパ腫
3.小児腫瘍
4.以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
多発性骨髄腫悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫
5.褐色細胞腫

特徴

オンコビンは「ツルニチニチソウ」という植物に含まれる成分から生成された抗がん剤です。細胞分裂の際に、染色体を新しい細胞に移す役目をする微小管の働きを阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。多剤との併用によりさまざまながん治療に用いられており、とくに小児がんでは、最もよく使用されている薬のひとつとなっています。

適応としては急性白血病、慢性白血病の急性転化、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、神経膠腫。それに神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫などの小児がんなどがあります。オンコビンが使われる非ホジキンリンパ腫の「R-CHOP療法」は標準治療となっています。副作用としては、神経毒性が特徴的です。手足の指のしびれや皮膚の感覚異常、重い場合には筋まひや歩行困難などが起こり状態に応じて減量や休薬などの処置が必要となります。併用薬にも注意が必要で抗てんかん剤のフェニトイン、抗腫瘍酵素製剤のL-アスパラギナーゼを併用すると、副作用が増強する恐れがあります。マイトマイシンCとの併用で、呼吸困難や気管支痙攣を発症しやすいとの報告があります。

また、オンコビン(ビンクリスチン)と似た構造をもつ化合物にエクザール(ビンブラスチン)という抗がん剤があります。ただ、オンコビンとエクザールでは、その抗がん作用や副作用の出現などに大きな違いがあります。マウスを用いた実験では、エクザールよりも、オンコビンの方が強い効果を得られることが分かっています。

効能・効果

1.白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)
2.悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)
3.小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)
4.以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
多発性骨髄腫悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫
5.褐色細胞腫

用法及び用量

1.白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)及び小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)の場合
通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05~0.1mg/kg、成人0.02~0.05mg/kgを週1回静脈注射する。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

2.多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、標準的なビンクリスチン硫酸塩の投与量及び投与方法は、1日量0.4mgを24時間持続静脈注射する。これを4日間連続で行い、その後17~24日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

3.悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
ビンクリスチン硫酸塩として1.4mg/m 2 (体表面積)を、2回静脈注射する。1回目の投与の3週間後に2回目の投与を行い、6~8週を1クールとし、投与を繰り返す。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。

4.褐色細胞腫の場合
シクロホスファミド水和物、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはビンクリスチン硫酸塩として、1日1回1.4mg/m 2 (体表面積)を静脈注射し、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。なお、患者の状態により適宜減量する。

重大な副作用

末梢神経障害骨髄抑制、錯乱、昏睡、イレウス、消化管出血、消化管穿孔、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、アナフィラキシー、心筋虚血、脳梗塞、難聴、呼吸困難及び気管支痙攣、間質性肺炎肝機能障害黄疸

参考リンク

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/GeneralList/4240400D1

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