米国臨床腫瘍学会1日目速報版レポート~多発性骨髄腫、肺がん(PD-L1+ALK阻害薬)セッションより~米国臨床腫瘍学会 ASCO2018


  • [公開日]2018.06.02
  • [最終更新日]2018.06.02

米国臨床腫瘍学会に参加しているますオンコロの前原です。ASCO2018 1日目速報版レポートとなります。

多発性骨髄腫のセッション

多発性骨髄腫のセッションより以下、2つを報告。

A.R.R.O.W フェーズ3試験 #8000

カルフィルゾミブと低用量デキサメタゾン併用の再発と治療不応性の骨髄腫に対してカルフィルゾミブ投与を1週間に1回投与と1週間に2回投与することを比較。カルフィルゾミブの用量は1週間に1回投与は1日目に20mg/㎡、8日目と15 日目からは70mg/㎡を投与(1サイクル)。一方、1週間に2回投与は1日目と2日目は20mg/㎡、8日目と9日目からは27mg/㎡を投与(1サイクル)。

双方に病勢進行まで継続投与。主要評価項目無増悪生存期間で1週間に1回投与群は11.2ヶ月、1週間に2回投与群は7.6ヶ月。病勢進行または死亡リスクを1週間1回投与群で31%減少。1週間に1回投与群で有意に3.6ヶ月無増悪生存期間を延ばすことが示された。

なお、この臨床試験は6月1日(米国・シカゴ時間)、ランセットオンコロジーに掲載された。

OPTIMISSMM フェーズ3試験 # 8001

レナリドミド投与歴があり再発もしくは治療不応性の骨髄腫に対して、ポマリドマイド+ボルテゾミブ+低用量デキサメタゾンの3剤併用とボルテゾミブ+低用量デキサメタゾンの2剤併用を比較。

主要評価項目は無増悪生存期間で3剤併用群11.2ヶ月、2剤併用群は7.1ヶ月。病勢進行または死亡までのリスクを3剤併用群で39%減少。またひとつの前治療を受けた患者の無増悪生存期間は、3剤併用群が20.7ヶ月、2剤併用群が11.6ヶ月。病勢進行または死亡までのリスクを3剤併用群で46%減少。副作用発現内容は3剤併用群で好中球減少、感染症と肺臓炎、高血糖、末梢性神経障害が高かったが、既知のものとほぼ同等であり、この臨床試験に特別なものはなかった。

肺がんセッション。免疫チェックポイント阻害薬とALK阻害薬併用

肺がんセッションより、免疫チェックポイント阻害剤とALK阻害剤併用試験の結果について以下、2つを報告。

JAVELIN Lung 101 フェーズ1b試験 # 9008

グループAは、進行ALK陰性非小細胞肺がんで、1つ以上全身薬物治療を受け、PD-1/PD-L1などの免疫チェックポイント阻害剤の治療歴がない患者を対象にクリゾチニブ+アベルマブを併用。グループBは進行ALK陽性非小細胞肺がんで、治療歴は問わず(初回治療、2レジメン以降の治療を含む)、PD-1/PD-L1などの免疫チェックポイント阻害剤の治療歴がない、さらに無症候性の脳転移を有するが治療歴がない患者を対象にアベルマブ+ロルラチニブを併用。

主な評価項目の用量規定毒性ではグループAで41.7%、グループBは0%。副作用発現ではグレード3以上に焦点を絞ると、グループAで58.3%、グループBは53.6%。重篤な副作用発現では、グループA 41.7%、グループB 39.3%。腫瘍縮小効果はグループA 16.7%(部分奏効以上)、グループ B 46.4%(部分奏効以上)。この臨床試験の結果を受け、ALK陰性のグループA は副作用発現率が高く、有効性は低いことから試験は中止。一方、ALK陽性のグループBは前治療を受けた患者が多くいる中で、副作用発現内容は許容範囲であり、有効性も認められたと結論づけられた。なお、この臨床試験は日本も参加している。

ALK陽性進行非小細胞肺がんに対し1次治療におけるアレクチニブ+アテゾリズマブ併用 フェーズ1b 試験 # 9009

主要な評価項目である用量規定毒性は認められなかったが、全ての副作用発現内容は100%で、そのうちグレード3は66.7%、重篤な副作用は33.3%。治療関連の副作用発現でグレード3が認められたのは皮疹(18.9%)とALT上昇(9.5%)。

有効性の評価では奏効率85.7%(完全奏効:9.5%、部分奏効76.2%)、無増悪生存期間は暫定で21.7ヶ月であった。この結果を受け、副作用発現率は高い傾向にあるものの許容可能なものであり、有効性も高いことからさらにフォローアップを行い、併用療法における生存ベネフィットを評価するとした。

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