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小細胞肺がんの治療-進展型の標準治療-

[公開日] 2020.07.07[最終更新日] 2020.07.07

進展型の治療

進展型では、広範囲のがんに効果が期待できる薬物療法が治療の選択肢です。使用される薬剤は腎臓の状態、PSやと年齢によって決められます。

一般に、70歳以下の若年者でPS良好な患者さんでは白金製剤のシスプラチンにトポイソメラーゼ阻害薬のイリノテカンを加えた、シスプラチン+イリノテカン併用療法(PI療法)が基本となります。ただし、イリノテカンでは重度の下痢や間質性肺炎の副作用が起こりやすいため、こうした症状を起こすリスクが高いPSが0-2の70歳以下、あるいは71歳以上の場合ではシスプラチンにエトポシドを加えたPE療法が選択されます。腎臓の機能が低下傾向にあるため、腎臓への副作用が起こりにくいカルボプラチンにエトポシドを加えたCE療法、あるいはPE療法で使用するシスプラチンを1日で投与せずに3日間に分割して腎臓への負担を軽くするsplit PE療法が行われます。

進展型でPSが3の場合は、PE療法かsplit PE療法を行います。PS4の場合は一般的に細胞障害性抗がん薬による薬物療法は行わず、がんに伴う痛みなど様々な症状を軽減する治療が行われます。ただ、PSが4の場合でも体力が回復してきたときなどは薬物療法を行うこともあります。

2019年に、30年ぶりに新しい治療方法が承認されました。つまり、CE療法に免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体)であるアテゾリズマブ(テセントリク)を併用した3剤併用療法を4サイクル治療後にアテゾリズマブ(テセントリク)を維持療法として再増悪するまで使用する治療方法です。免疫チェックポイント阻害薬を加えたこの新しい治療方法はCE療法単独治療に比較して生存期間を明らかに延長することが証明され、進展型小細胞肺がんの新しい標準治療となりました。

■参照 ・オンコロBOOKシリーズ「小細胞肺がんと診断されたら知っておきたい治療のはなし」 ・特定非営利法人日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン2019年版

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