切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者に対する術前化学療法としての化学療法+CTGFモノクローナル抗体薬Pamrevlumab、切除率33.3%を示す米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)より


  • [公開日]2018.06.06
  • [最終更新日]2018.06.08
この記事の3つのポイント
・本試験は切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者に対する術前化学療法として完全ヒト型抗CTGFモノクローナル抗体薬であるPamrevlumabの上乗せ効果の安全性有効性を検証した第I/II相試験である
・切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者に対する術前化学療法の投与中止率はPamrevlumabを投与する群25%に対して投与しない群46.2%を示した
・切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者に対する術前化学療法により手術適格性基準を満たした症例率はPamrevlumabを投与する群70.8%に対して投与しない群15.4%、切除に至った症例率はPamrevlumabを投与する群33.3%に対して投与しない群7.7%を示した。

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者に対する術前化学療法としてのゲムシタビン(商品名ジェムザール;以下ジェムザール)+ナブパクリタキセル(商品名アブラキサン;以下アブラキサン)±完全ヒト型抗CTGFモノクローナル抗体薬であるPamrevlumab(FG-3019)の併用療法の安全性、有効性を検証した第I/II相試験(NCT02210559)の結果がVirginia Mason Hospital and Medical Center・Vincent J. Picozzi氏らにより公表された。

本試験は、切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者(N=37人)に対して術前化学療法として28日を1サイクルとして1日目、8日目、15日目にジェムザール1000 mg/m2+1日目、8日目、15日目にアブラキサン±1日目、15日目(※1サイクル目のみ1日目、8日目、15日目)にPamrevlumab 35mg/kg併用療法を6サイクル投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目として切除率、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した第I/II相試験(NCT02210559)である。

本試験の結果、投与中止に至った患者はPamrevlumabを投与する群25%に対して投与しない群46.2%を示した。なお、投与中止の主な理由は病勢進行または治療関連有害事象(TRAE)であった。副次評価項目である手術適格性基準を満たした症例率はPamrevlumabを投与する群70.8%に対して投与しない群15.4%、切除に至った症例率はPamrevlumabを投与する群33.3%に対して投与しない群7.7%を示した。

また、全生存期間(OS)中央値は手術適格症例においてはPamrevlumabを投与する群27.73ヶ月に対して投与しない群18.40ヶ月(P=0.0766)、切除症例においてはPamrevlumabを投与する群未到達に対して投与しない群18.56ヶ月(P=0.0141)を示した。

無増悪生存期間(PFS)中央値は手術適格症例においてはPamrevlumabを投与する群16.39ヶ月に対して投与しない群 10.09ヶ月(P= 0.1049)、切除症例においてはPamrevlumabを投与する群16.39ヶ月に対して投与しない群10.38ヶ月(P=0.3778)を示した。

以上の第I/II相試験の結果よりVincent J. Picozzi氏らは以下のように結論を述べている。”切除不能局所進行膵がん(LAPC)患者さんに対する術前化学療法として完全ヒト型抗CTGFモノクローナル抗体薬であるPamrevlumabを上乗せする治療法は、有害事象(AE)を増加させることなく切除率を向上させます。”

Effect of anti-CTGF human recombinant monoclonal antibody pamrevlumab on resectability and resection rate when combined with gemcitabine/nab-paclitaxel in phase 1/2 clinical study for the treatment of locally advanced pancreatic cancer patients.(ASCO 2018, Abstract No.4016)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン