既治療のHER2活性型変異陽性進行固形がんに対するエンハーツ、良好な奏効率を認めるThe Lancet Oncologyより


  • [公開日]2024.05.16
  • [最終更新日]2024.05.14
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるHER2活性型変異陽性進行固形がんを対象とした第2相のDESTINY-PanTumour01試験
・抗HER2抗体薬物複合体であるエンハーツ有効性安全性を比較検討
・有効性・有害事象ともに良好な結果を示す

2024年05月03日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、治療歴のあるHER2活性型変異陽性進行固形がんに対する抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン, T-DXd)の有効性、安全性を比較検証した第2相のDESTINY-PanTumour01試験(NCT04639219)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのBob T Li氏らにより公表された。

DESTINY-PanTumour01試験は、複数の治療歴があり特定のHER2活性型変異を有する進行固形がんに対して、3週を1サイクルとしてエンハーツ5.4mg/kgを投与し、主要評価項目として独立中央判定(ICR)評価による客観的奏効率ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)などを検証した国際多施設共同オープンラベルの第2相試験である。

本試験に登録された102人の患者背景は、年齢中央値が66.5歳(58-72歳)、性別は女性が61%(N=62人)、男性が39%(N=40人)、人種は白人が50%(N=51人)、黒人/アフリカ系アメリカ人が2%(N=2人)、アジア人が37%(N=38人)、前治療歴中央値は3レジメン(2-4レジメン)であった。

追跡期間中央値8.61ヵ月時点において、主要評価項目であるORRは29.4%(95%信頼区間:20.8-39.3%,N=30/102人)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は51%(N=52人)を示し、最も多く確認されたTRAEは、貧血が16%(N=16人)、好中球数減少が8%(N=8人)を示した。薬剤関連の間質性肺疾患または肺炎は11%(N=11人)の患者で確認され、グレードはそれぞれグレード1が3人、グレード2が5人、グレード3が1人、グレード5が2人であった。

以上のDESTINY-PanTumour01試験の結果より、Bob T Li氏らは「治療歴のあるHER2活性型変異陽性進行固形がんに対するエンハーツ療法は、良好な抗腫瘍活性を示し、新たな安全性シグナルは認められませんでした」と結論付けた。

参照元:
Trastuzumab deruxtecan in patients with solid tumours harbouring specific activating HER2 mutations (DESTINY-PanTumor01): an international, phase 2 study(The Lancet Oncology 2024. doi:10.1016/S1470-2045(24)00140-2)

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