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【メルマガコラム】エンターテインメントを通じてみえる医療現場 [vol.58]

[公開日] 2018.03.29[最終更新日] 2018.03.29

コラム

オンコロの中島です。 近年、病院を舞台にした医療ドラマが多く放送されるようになりました。今回は、アメリカのテレビドラマ「ER」について触れたいと思います。 「ER」はNBC放送局が1994年から2009年という15年続いた人気ドラマです。 日本では、NHKのBSチャンネルで1996年から放送を始め、 病院でおこる日常をリアルにテンポよく描いたその魅力に、私も全331エピソードに引き込まれた一人です。 現在も、BSチャンネルで放送をしています。 当時は、病院に無縁の生活を送っていたのでひとつの海外ドラマとして観ていましたが、自分が定期的に通院する縁をきっかけに、内容の理解が少し変わってきました。 まず、ER(Emergency Room:救急救命室)という存在に、重篤な患者が次々と搬送されてくること。 ドラマなので多少の脚色はしてあると思いますが、外科的処置を必要とされる患者さんが次々と搬送されます。 検査の終わりが遅い時間になりERの出入口から外へ出たことがありましたが、 確かに東京でも救急車で搬送されてくる複数台の担架を同じタイミングで見た記憶が何回かあります。 保険制度も日本とアメリカでは大きな違いがあり、「保険に加入していないので、治療は諦める」場面も多く登場します。 日本では健康保険に加入することが必須でありその恩恵を受けることができますが、 アメリカでは保険を「買う」という表現を使う通り、任意で自分で保険を選択し加入する必要があります。 加入している保険によって、病院までも振り分けられると聞きます。 一番の気づきは、「マスク」の存在でしょうか。 登場する「ER」の医師、看護師は誰ひとりとしてマスクを着用していません。 緊急処置の際も、使い捨て紙ガウンや医療用ゴーグル、手袋は着用していますが、そこにマスクは存在していません。 リアルタイムで観ている時はさして気にも留めませんでしたが、自分が頻繁に通院するようになり、 そのたびに院内を見渡すと医師、看護師、患者ともマスクの着用率が非常に高い現状を目にします。 確かに、アメリカではマスクを着用して街を歩くと「不審者」としてみなされるほど、 生活品とはかけ離れた存在ではあります。 ただ、国の文化は違えど同じヒトを治療することに変わりはありませんから、 マスクは衛生上どれぐらいの効果があるのか疑問が自然と生まれてきます。 シーズン1から8まで、ERスタッフドクターとして中心的な医師を演じたマーク・グリーン(アンソニー・エドワーズ)は、劇中で脳腫瘍により、惜しまれながらストーリーから離れました。 10年にわたり、看護師から医師へ転進するアビー・ロックハートを演じた、女優モーラ・ティアニーは、実生活で2009年に乳がんに罹患しました(現在は仕事復帰しています)。 ドラマの中で、私生活で、「ER」に携わった出演者ががんと関係した事実は、 作り話でも現実の世界でも、身近な疾患として捉えることができます。 自分の置かれた状況下で医療ドラマや映画を鑑賞すると、さまざまな視点でいろいろな感想が生まれるのではないでしょうか。 以前に視聴した医療映画やドラマを再鑑賞して、また違った気づきを探してみたいと思っています。 中島 香織
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