TMB-High固形がんに対するキイトルーダや甲状腺がん・甲状腺髄様がんに対するレットヴィモなど、承認了承厚労省薬食審医薬品第二部会にて


  • [公開日]2022.02.15
  • [最終更新日]2022.02.14

2月4日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として3製品の審議を行い、承認を了承した。うち抗がん剤関連は、高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する固形がんに対するキイトルーダとRET融合遺伝子変異陽性の甲状腺がんに対するレットヴィモの2製品であった。また、報告事項として3製品を報告し、いずれもがん関連であった。正式承認は2月中の見込み。

報告事項:医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階において、承認して差し支えないとされ、部会では審議せず報告のみでいいと判断されたもの。

審議品目

キイトルーダ点滴静注100mg

一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:がん化学療法後に増悪した高い腫瘍遺伝子変異量(TMB-High)を有する進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)
申請企業:MSD

キイトルーダは抗PD-1抗体という免疫チェックポイント阻害薬の1つ。がん細胞は、がん細胞上のPD-L1免疫細胞上のPD-1が結合することで、免疫細胞ががん細胞を攻撃をする作用を抑制する。その作用を阻害するための薬剤がキイトルーダある。

腫瘍遺伝子変異量(TMB)とは、腫瘍細胞に生じた遺伝子変異量を指し、ゲノムコーディング領域1メガ塩基(megabase)あたりの非同義体細胞遺伝子変異数として示され、10変異/megabase以上である状態をTMB-Highと定義される。TMB-Highは悪性黒色腫、非小細胞肺がん、大腸がんなどで多く見られ、免疫チェックポイント阻害剤に対して良好に反応する可能性が示唆されている。

がん種横断的に共通するバイオマーカーに基づいた承認は、2018年に承認を取得した高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がんに次いで、MSDとして2つ目となる。

レットヴィモカプセル40mg、同80mg

一般名:セルペルカチニブ
効能・効果:RET融合遺伝子陽性の根治切除不能な甲状腺がん、RET遺伝子変異陽性の根治切除不能な甲状腺髄様がん
申請企業:日本イーライリリー

レットヴィモはRET融合遺伝子を標的として選択的に阻害するRETキナーゼ阻害薬。RET分子内に存在する活性化キナーゼは、がん細胞の生存や増殖に関与しており、RETを介した伝達経路を阻害するためがんの増殖を抑制する作用を有すると考えられている。

日本におけるRET融合遺伝子陽性の甲状腺がん患者は約1690人、甲状腺髄様がん患者は約200人と推計されている。RET遺伝子変異は甲状腺髄様がんの70%に生じており、他の甲状腺がんでRET融合遺伝子が生じることはまれである。

報告品目

レンビマカプセル4mg、同10mg

一般名:レンバチニブメシル酸塩
効能・効果:根治切除不能又は転移性腎細胞がん
申請企業:エーザイ

レンビマは経口投与可能なマルチキナーゼ阻害薬。血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1/2/3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1/2/3/4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する。

腎細胞がんは、成人の腎実質に発生する悪性腫瘍である腎がんの約9割を占めている。日本における腎がんの患者数は、年間約2.5万人、死亡者数は年間約8,550人と推計されている。

今回はキイトルーダとの併用療法で承認を取得。キイトルーダとの併用療法は2021年12月に子宮体がんに次いで2つ目となる。

キイトルーダ点滴静注100mg

一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)
効能・効果:根治切除不能又は転移性の腎細胞がん
申請企業:MSD

上記レンビマとの併用療法で承認を取得した。

トレアキシン点滴静注液100mg/4ml

一般名:ベンダムスチン塩酸塩
効能・効果:低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
申請企業:シンバイオ製薬

トレアキシンは1970年代に海外で使用が開始され、現在50ヵ国以上で用いられている殺細胞性の抗腫瘍薬。現在点滴にて1時間かけて投与されている。今回の申請は10分投与の用法・用量を追加に関するもの。

参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)

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