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【臨床研究広告】家族性膵がん家系などを対象とした、早期膵がん発見を目指したサーベイランス研究

[公開日] 2023.11.01[最終更新日] 2024.10.03

本ページは、国立がん研究センター中央病院からの委託による臨床研究広告となります。また、臨床研究を実施する実施医療機関の審査・承認を受けたものを掲載しております。

はじめに

この研究は、早期発見が難しい疾患といわれている膵がんをより早期に発見するために、家族性膵がん家系ならびに遺伝性腫瘍症候群など、膵がんの高危険群として知られているリスク因子をもつ方を、膵臓の検査を定期的に行うことで、膵がんの早期診断に有望であるかどうかを明らかにすることを目的としています。 膵癌診療ガイドライン2022版においても、膵がんのリスクファクターとして家族歴(膵癌家族歴、家族性膵癌)、遺伝性膵癌症候群があげられています。

家族性膵がん家系とは

膵がんは家系内発症が認められることが知られており、とくに、第一度近親者(親子または兄弟・姉妹)(図1)に2人以上の膵癌患者さんのいる家系の方に発症した膵癌を、家族性膵がんと定義されています。  図1 第一度、第二度、第三度近親者の家系図 注1) 「1」が第一度近親者、「2」が第二度近親者、「3」が第三度近親者となります。 注2) 第一親等、第二親等などの法律の分野で用いられる用語とは異なります。 家族性膵がんの定義は、環境要因や遺伝的な要因、さらにその他の要因で統計的にその家系に対して膵がんを発症するリスクが高いということであり、必ずしも遺伝性であるということではありません。 (家族性膵癌登録制度公式ページ参照:http://jfpcr.com/risk.html) 欧米では各国に膵腫瘍や膵がんの患者さんおよびその家族の情報を調べる登録制度があります。 アメリカでの家族性膵腫瘍レジストリ研究(National Familial Pancreatic Tumor Registry;NFPTR)では、家族性膵がん家系では、膵がん発症のリスクが9.0 倍であることが示されています。さらに、第一度近親者内に膵がん罹患者が3人以上いる場合の膵がん発症リスクは32倍、2人の場合は6.4倍、1人では4.5倍となると報告されています。 本邦においても、家族性膵がんの頻度は膵がん全体の6.9%~7.3%との報告されており、膵がん患者全体における家族性膵がん家系の頻度は欧米と同様で、家族性膵がんの既往を有する場合は膵がん発症の高リスクであると考えられます。

膵がんのリスクになる遺伝性疾患について

多くのがんでは、がんの原因になる遺伝子の変異はがんになった細胞だけに後天的に生じるもの(体細胞変異たいさいぼうへんいといいます)ですが、がん患者さんの中には、生まれつき「がんにかかりやすい性質を持っている人」がいます。 お父さんやお母さんから受け継いだ「がんに関連する遺伝子」に変異があった場合(生殖細胞系列変異といいます)、その人は、変異のない遺伝子を受け継いだ人よりもがんにかかりやすいということがわかってきました。 がんの患者さん20人のうち1人ぐらい(5%)が、がんの遺伝子に生まれつき変異があるために「がんにかかりやすい性質」を持っていると言われています。 現在、「両親から受け継ぐがんにかかりやすい性質」に関連する遺伝子は数多く見つかっておりますが、膵がんの発症に大きく関与しているものはまだ十分知られていません。しかし、遺伝性膵炎、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、Peutz-Jeghers (ポイツ・ジェガース)症候群、家族性異型多発母斑黒色腫症候群、遺伝性非ポリポーシス大腸がん、家族性大腸腺腫ポリポーシスなどの遺伝性腫瘍においては、膵がんの発症率が高いことが知られています。 欧米では、このような高リスクの方に対するサーベイランス に関する研究がすでに行われています。その報告では、切除可能膵発見率は33-100%とばらつきはあるものの、通常の切除可能膵がん発見率の20~30%と比べると高く、またその他、何らかの膵疾患(慢性膵炎や膵嚢胞)が見つかる割合も7-33%と高頻度で発見されており、このようなサーベイランスは、一定の効果があると認識されています。 本邦においても、全国規模の家族性膵癌登録制度が2014年11月に開始されております。この登録制度では膵腫瘍・膵がんの患者さんやそのご家族、膵がんのリスクが高いとされる遺伝性疾患家系の方々の実態調査を行い、生活習慣、家族の情報などに応じた家族内の膵がん発症頻度を明らかにすることを目的に登録が行われています。しかし膵がんの高リスクの方に対するサーベイランスに関する検討は今まで十分に行われていませんでした。 そこで今回我々はこの研究を計画し、膵がんの早期発見の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。 ※サーベイランスとは 病気の発生状況など継続的に調査し、得られた情報を疾病の予防と対策のために迅速に還元するものです。 お問い合わせはコチラ

実施医療機関所在地(11月1日更新)

臨床研究実施医療機関所在地は以下の通りとなります。 手稲渓仁会病院  北海道札幌市 北海道大学    北海道札幌市 札幌医大     北海道札幌市 斗南病院     北海道札幌市 北海道がんセンター 北海道札幌市 東北大学     宮城県仙台市 仙台市医療センター宮城県仙台市 自治医科大学   栃木県下野市 獨協医科大学   栃木県下都賀郡 筑波大学     茨城県つくば市 国立がん研究センター東病院  千葉県柏市 自治医科大学さいたま医療センター 埼玉県さいたま市 東京医科大学   東京都新宿区 東京女子医科大学 東京都新宿区 東京医科歯科大学 東京都文京区 東京大学医学部  東京都文京区 慶應大学附属病院 東京都新宿区 順天堂大学    東京都文京区 がん研究会有明病院 東京都江東区 国立がん研究センター中央病院 東京都中央区 がん・感染症センター都立駒込病院 東京都文京区 都立墨東病院   東京都墨田区 東京都立多摩総合医療センター 東京都府中市 国立国際医療センター 東京都新宿区 国際医療福祉大学 三田病院  東京都港区 神奈川県立がんセンター 神奈川県横浜市 横浜市大 神奈川県横浜市 横浜市大市民総合医療センター 神奈川県横浜市 横浜労災病院 神奈川県横浜市 山梨大学 山梨県甲府市 北里大学 神奈川県相模原市 静岡県立静岡がんセンター 静岡県駿東郡 新潟がんセンター 新潟県新潟市 富山大学 富山県富山市 金沢大学 石川県金沢市 岐阜大学 岐阜県岐阜市 浜松医科大学 静岡県浜松市 愛知県がんセンター中央病院 愛知県名古屋市 名古屋大学 愛知県名古屋市 名古屋市立大学 愛知県名古屋市 三重大学 三重県津市 松坂中央総合病院 三重県松阪市 鈴鹿中央総合病院 三重県鈴鹿市 和歌山県立医科大学 和歌山県和歌山 市立長浜病院 滋賀県長浜市 滋賀医科大学 滋賀県大津市 京都大学 京都府京都市 医仁会武田総合病院 京都府京都市 大阪大学 大阪府吹田市 大阪医科大学 大阪府高槻市 北野病院 大阪府大阪市 大阪市立総合医療センター 大阪府大阪市 近畿大学 大阪府東大阪市 大阪国際がんセンター 大阪府大阪市 大阪医療センター 大阪府大阪市 兵庫医科大学 兵庫県西宮市 神戸大学 兵庫県神戸市 姫路赤十字病院 兵庫県姫路市 島根県立中央病院 島根県出雲市 島根大学医学部附属病院 島根県出雲市 岡山大学 岡山県岡山市 岡山赤十字病院 岡山県岡山市 広島大学 広島県広島市 JA尾道総合病院 消化器内科 広島県尾道市 広島赤十字原爆病院 広島県広島市 県立広島病院 広島県広島市 九州大学 福岡県福岡市 九州がんセンター 福岡県福岡市 福岡大学筑紫病院 福岡県筑紫野市 久留米大学 福岡県久留米市 福岡大学 福岡県福岡市 小倉記念病院 福岡県北九州市 北九州市立医療センター 福岡県北九州市 産業医科大学病院 福岡県北九州市 長崎大学 長崎県長崎市 熊本大学 熊本県熊本市 鹿児島大学  鹿児島県鹿児島 鹿児島市立病院 鹿児島県鹿児島市 浦添総合病院   沖縄県浦添市 沖縄県立中央病院   沖縄県うるま市 友愛医療センター   沖縄県豊見城市 中頭病院   沖縄県沖縄市 ※実際の臨床研究実施医療機関名は参加の可能性がある患者さんにお伝えします。 ※IRB承認状況と実際の募集状況により記載は変更されます。 お問い合わせはコチラ

参加条件

この研究の対象となる方は、先に挙げた家族性膵がん家系もしくは遺伝性腫瘍症候群を有する方で、膵がん発症のリスクがある一定以上(膵がん発症のリスクが一般人の5倍以上を想定)の方を対象としています。 具体的には下記に示す方々が対象です。 年齢は、50歳~75歳を基本としていますが、40歳以下で膵がんを発症したご家族がいらっしゃる方や膵がん発症のリスクがより高い方は、40歳以上も対象となります。 本研究の対象となる方(主な適格規準) 1) 以下の①~⑧のいずれかの項目を満たす膵がん発症高リスク因子を有している。 ①②④⑤の「家系」とは、父方あるいは母方の片側のことです。 ① あなたの家系に、第一度近親者(親、兄弟、姉妹、または子供)の関係にある方の中に膵がんに罹患された方が2人以上いて、膵がんに罹患された方の少なくともお一人と、あなたが第一度近親者の関係にある、年齢50歳以上の方。 ② あなたの家系に、第一度近親者(親、兄弟、姉妹、または子供)の関係にある方の中に膵がんに罹患された方が2人以上いて、かつその方のうち、少なくともお一人の膵がん発症年齢が40歳以下であり、膵がんに罹患された方の少なくともお一人と、第一度近親者の関係にある、年齢40歳以上の方。 ③ あなたと第一度近親者内(両親、兄弟、姉妹、または子供)の関係にある方の中に膵がんに罹患された方が1人以上いて、かつあなたが、BRCA1/2, PALB2, ATM、ミスマッチ修復遺伝子変異のいずれかの変異を有する、年齢45歳以上の方。 ④ あなたの家系に、第三度近親者(曾祖父母、大叔父叔母、いとこ、甥姪の子供)以内の関係にある方の中に膵がんに罹患された方が2人以上いて、かつあなたが、BRCA1/2, PALB2, ATM、ミスマッチ修復遺伝子変異のいずれかの変異を有する、年齢45歳以上の方。 ⑤ あなたの家系に、第一度近親者内(親、兄弟、姉妹、または子供)の関係にある方の中に膵がんに罹患された方が1人以上いて、かつあなたの第三度近親者(曾祖父母、大叔父叔母、いとこ、甥姪の子供)以内の血族内で、3人以上(父方もしくは母方の片側で3人以上)に膵がんに罹患された方がいる、年齢50歳以上の方。 ⑥ がんの家族歴の有無によらず、Peutz-Jeghers症候群(STK11遺伝子変異)の家系で、年齢40歳以上の方(遺伝子診断もしくは診断基準を満たす)。 ⑦ がんの家族歴の有無によらず、遺伝性膵炎(PRSS1,SPINK1遺伝子変異)の家系で、年齢40歳以上の方(遺伝子診断もしくは診断基準を満たす)。 ⑧ がんの家族歴の有無によらず、家族性多発性メラノーマ症候群(CDKN2A/p16遺伝子変異)の家系の、年齢40歳以上の方。 2) 登録時の年齢が75歳以下である。 その他にも参加条件があり、医師の診察や検査によって参加可能か判断されます。 ご不明点はお問い合わせください。 お問い合わせはコチラ

本臨床研究のデザイン

膵臓の精密検査を、血液検査の他、造影CT検査、MRI(MRCP、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調)検査、超音波内視鏡(EUS)検査を用いて、年2回の検査を最低5年間(最長15年間)行います。 初回検査は、医療面接、腫瘍マーカー(CEA,CA19-9)、アミラーゼ、HbA1cを含む血液検査および画像検査を行います。画像検査は、初回は、MRIとEUSの両者を行い、膵病変の有無を確認します。これは保険診療として行います。ただし、現在の本邦の診療保険制度は、何らかの異常所見がないと保険診療として検査を行うことが認められていませんので、自費診療となります。 サーベイランスの途中で精査やフォローアップが必要な病変が見つかった場合には、保険診療による精査を行います。自費診療の場合は、その後、6か月毎に血液検査および画像検査として、MRI→EUS→MRIと交互に行っていきます。 初回検査にて膵および胆道疾患などに何らかの異常所見を認めた場合には、保険診療として必要に応じた精査を行います。 初回および6か月毎の検査において、膵がんや外科治療もしくは薬物治療を必要とする膵腫瘍が見つかった場合には、サーベイランスはそこで中止し、診断確定後に、それらの治療を行います。一方、定期的な検査の結果、経過観察可能な膵疾患や胆道疾患などEUSやMRIによる定期チェックが妥当と判断される疾患が見つかった場合は、引き続き6か月毎に画像検査として、MRI→EUS→MRIと交互に行っていきます。 5年間以上の予定されている観察期間が終了したら、何らかの異常所見がある場合には、通常の保険診療として必要に応じて定期的に経過観察とします。何も異常がなければ、その後は、ご自身で検診や人間ドックなどを受けていただきます。また、サーベイランス中に、膵疾患以外の悪性腫瘍が見つかった場合、膵サーベイランスを継続した方が有益と判断した場合はサーベイランスを継続とし、膵疾患以外の悪性腫瘍の治療に時間を要するなどの場合で、膵サーベイランスを行う事が、あまり有益ではないと判断される場合は、サーベイランスは中止します。 お問い合わせはコチラ

お申し込み・お問い合わせ

本臨床研究のご参加を希望される患者さんは、主治医の先生に「主治医の先生へ」のページをご覧いただくようお願いしてください。

主治医の先生へ

主治医(医療従事者)の方はこちらから本臨床研究の詳細とご紹介の流れをご確認ください。
 

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