治療歴のある転移性非小細胞肺がんに対するサシツズマブ ゴビテカン、ドセタキセル単剤群に比べて全生存期間有意に改善せずASCO2024


  • [公開日]2024.06.28
  • [最終更新日]2024.06.28
この記事の3つのポイント
・治療歴のある転移性非小細胞肺がんを対象とした第3相のEVOKE-01試験
・抗Trop-2抗体薬物複合体であるサシツズマブ ゴビテカンとドセタキセル単剤療法の有効性安全性を比較検証
全生存期間の統計的有意な改善は認められず

2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、治療歴のある転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する抗Trop-2抗体薬物複合体であるサシツズマブ ゴビテカンとドセタキセル単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のEVOKE-01試験の結果がHospital Universitario 12 De OctubreのLuis G. Paz-Ares氏らにより公表された。

EVOKE-01試験は、治療歴のある転移性NSCLC患者に対して、21日を1サイクルとして1、8日目にサシツズマブ ゴビテカン 10mg/kgを投与する群、もしくは1日目にドセタキセル75mg/m2を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、重要な副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)、安全性等を比較検証した第3相試験である。

本試験に登録された603人の患者背景は、年齢中央値が65歳(31-84歳)、前治療歴は1レジメンが55%であった。

本試験の結果、主要評価項目であるOSは、サシツズマブ ゴビテカン投与群とドセタキセル投与群で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.84,95%信頼区間:0.68–1.04,P=0.0534)。OSの中央値は、サシツズマブ ゴビテカン投与群の11.1ヶ月(95%信頼区間:9.4–12.3ヶ月)に対してドセタキセル投与群で9.8ヶ月(95%信頼区間:8.1–10.6ヶ月)を示した。

副次評価項目であるPFSの中央値は、サシツズマブ ゴビテカン投与群の4.1ヶ月(95%信頼区間:3.0–4.4ヶ月)に対してドセタキセル投与群で3.9ヶ月(95%信頼区間:3.1–4.2ヶ月)、サシツズマブ ゴビテカン投与により、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを8%改善した(HR:0.92,95%信頼区間:0.77–1.11)。ORRは、サシツズマブ ゴビテカン投与群の13.7 %(95%信頼区間:10.0%–18.1%)に対して、ドセタキセル投与群で18.1%(95%信頼区間:13.9%–22.9%)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、サシツズマブ ゴビテカン投与群の66.6%に対してドセタキセル投与群で75.7%を示した。TRAEによる治療中止率は、サシツズマブ ゴビテカン投与群の6.8%に対してドセタキセル投与群で14.2%を示した。

以上の結果よりLuis G. Paz-Ares氏らは、「治療歴のある転移性NSCLCに対する抗Trop-2抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンは、ドセタキセルに比べて忍容性が高く、またOSを数値的には改善したものの、統計学的有意差はありませんでした」と結論付けた。

参照元:
Sacituzumab govitecan (SG) vs docetaxel (doc) in patients (pts) with metastatic non-small cell lung cancer (mNSCLC) previously treated with platinum (PT)-based chemotherapy (chemo) and PD(L)-1inhibitors (IO): Primary results from the phase 3 EVOKE-01 study.(ASCO 2024)

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