この記事の3つのポイント
・再発または転移性頭頸部扁平上皮がんを対象とした第2b相のTACTI-003試験
・抗PD-1抗体薬キイトルーダ+可溶性LAG-3タンパクeftilagimod alphaの有効性・安全性を検討
・併用療法により有望な奏効率を示す
2024年7月11日、ESMO(欧州臨床腫瘍学会) Virtual Plenaryにて、再発または転移性頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)+可能性LAG-3タンパクeftilagimod alpha併用療法の有効性、安全性を検証した第2b相のTACTI-003試験のコホートB(PD-L1陰性症例)の結果が公表された。
TACTI-003試験のコホートBでは、PD-L1陰性の再発または転移性HNSCC(下咽頭、喉頭、口腔、中咽頭を含む)患者に対して、6週を1サイクルとして2週に1回のeftilagimod alpha 30mg+3週に1回のキイトルーダ 400mg併用療法を最大24ヶ月投与し、評価項目として客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、安全性を検証した多施設共同の第2b相試験である。
同試験の結果、ORRは35.5%(95%信頼区間:19.2%-54.6%)、DCRは58.1%、完全奏効率(CR)は10%を示し、臨床的に意義のある抗腫瘍効果が認められた。なお奏効はヒトパピローマウイルス(HPV)の状態に関係なく確認された。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は72.7%(N=24/33人)、グレード3以上のTRAE発症率は15.2%(N=5/33人)、TRAEによる治療中止率は9.1%(N=3/33人)を示した。
15%以上の患者で確認された有害事象(AE)は、疲労が21.2%(N=7人)、体重減少が18.2%(N=6人)、甲状腺機能低下症が18.2%(N=6人)、発熱が15.2%(N=5人)、関節痛が15.2%(N=5人)、γグルタミルトランスフェラーゼ増加が15.2%(N=5人)、貧血が15.2%(N=5人)であった。
以上の結果を受けてMarc Oliva氏は「LAG-3は、頭頸部扁平上皮がんを含むさまざまながんで最も有望な治療標的の1つです。今後LAG-3に対する薬剤の恩恵を受ける患者を特定するために、バイオマーカーの開発が重要になります」と述べている。
参照元:・抗PD-1抗体薬キイトルーダ+可溶性LAG-3タンパクeftilagimod alphaの有効性・安全性を検討
・併用療法により有望な奏効率を示す
ESMO Virtual Plenary VP5-2024