国立がん研究センター東病院は7月19日、MONSTARプロジェクトで実施された4つの多施設共同研究に参加された患者さんの分子プロファイル及び治療成績や生存期間等に関する統合解析を行った結果を報告した。
MONSTARプロジェクトは、産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の一環であり、広範な固形がんを対象として数多くの研究を実施しており、24,000人以上の患者さんの遺伝子や分子の特徴を調べたマルチオミクス解析の結果と詳しい臨床情報もデータベース化されている。
今回は、MONSTARプロジェクトで行われたGI-SCREEN、GOZILA、MONSTAR-SCREEN、MONSTAR-SCREEN-2の4つの大規模な臨床研究に参加された16,144人の患者さんのデータを統合解析し、患者さんの特徴や治療の標的となったバイオマーカーの種類、治療薬の効果などを調べた。
その結果、治験に参加された患者さんの割合は全体の5.0%で、大腸がん(51.8%)、胆道がん(9.5%)、胃がん(9.0%)、食道がん(5.3%)、膵臓がん(5.0%)が多くを占めていた。また、治験に参加するタイミングは4次治療以降が46.4%と最も多く、一次治療での参加は9.6%にとどまっていた。治験薬による治療を受けた患者さん(n=674人)のうち、奏効した患者さんは29.2%(n=197人)で、全生存期間の中央値は14.8ヶ月であった。
また、バイオマーカーに適合する治療を受けた患者さんの生存期間中央値は19.1ヶ月であったのに対し、適合する治療を受けなかった患者さんの生存期間中央値は15.3ヶ月であった。これにより、バイオマーカーに基づく「がん個別化医療」の重要性を明確に示す結果となった。
現在MONSTARプロジェクトでは、新たな大規模研究「MONSTAR-SCREEN-3」を開始予定であり、進行固形がんに加え治癒切除が可能な早期の固形がんや血液がんにも対象を広げ、最先端のマルチオミクス解析を行う予定だ。今後ますますがん個別化医療を発展させ、より多くのがん患者さんに有効な治療薬をいち早く届けられることが期待される。
なお同研究成果は、7月18日付で米国癌学会旗艦誌「Cancer Discovery」に掲載されている。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
あなたは医師ですか。