膀胱がんの検査と診断


  • [公開日]2015.01.25
  • [最終更新日]2022.12.27

膀胱がんの検査

膀胱がんの検査は、まず尿の中に血液やがん細胞が含まれていないかどうかを尿検査によって確かめます。そこでがんが疑われた場合には、超音波検査や膀胱鏡検査により詳しい検査をします。更に、がんの広がりや転移の有無を調べるためには、画像検査も必要です。

尿検査

尿を採取し、血液やがん細胞の含有を確かめる検査です。また、膀胱がんの腫瘍マーカー(NMP22やBTA)の有無も併せて確認します。この検査だけでがんと確定することはできないため、少しでもがんが疑われる場合には、更に詳しい検査を受ける必要があります。

超音波検査(エコー検査)

体の表面に超音波の出る超音波プローブをあて、体内の臓器からはね返ってくる超音波を利用して画像化し、がんの位置や形などを把握します。痛みや侵襲性のない簡便な検査法です。

膀胱鏡検査(内視鏡検査)

尿道から内視鏡を膀胱に入れ、がんの有無やがんの状態を確認する検査です。がんの確定に加え、治療方針の決定のためにも重要な検査です。最近では、やわらかい素材のファイオバースコープが使われるようになり、検査時の痛みは軽減されてきています。

CT検査

周囲からX線をあて、体の断面を画像化し、がんの広がりを調べる検査です。より詳しい検査をするために、造影剤を使う場合もあります。

膀胱がんで使われる尿路造影(CTウログラフィー)は、腎盂、尿管、膀胱の尿路全体を3次元画像として見ることができるため、膀胱のほかに上部尿路(腎盂と尿管)にがんがあるかどうかを調べることができます。

MRI検査

磁気を利用して体の断面を画像化し、がんの広がりやほかの臓器への転移を確認するために使われます。膀胱がんにおいては、がんの深さ(深達度)の評価に有用な検査で、特にがんが筋層に及んでいる可能性がある場合に使われます。

がんの進行を調べる方法のひとつに、「TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)」がありますが、これは治療を兼ねた手術の方法なので、治療のページで詳しく説明します。

TURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)の詳細はこちら

膀胱がんの診断と病期(ステージ)分類

膀胱の壁には、内側から粘膜上皮、上皮下結合組織、筋層があり、がんが筋層まで及んでいるかどうかによってがんの深さ(深達度)が評価されます。Ta、Tis、T1を「筋層非浸潤性がん」、T2~T4を「筋層浸潤性がん」と分類します。


(「がんプラス」より許諾を得て転載)

  Ta 乳頭状非浸潤癌
  Tis  上皮内癌(CIS)
  T1 上皮下結合組織に浸潤する腫瘍
  T2 筋層に浸潤する腫瘍
     T2a  浅筋層に浸潤する腫瘍
     T2b  深筋層に浸潤する腫瘍
  T3 膀胱周囲脂肪組織に浸潤する腫瘍
     T3a  顕微鏡的
     T3b  肉眼的(膀胱外の腫瘤
  T4 次のいずれかに浸潤する腫瘍
     T4a  前立腺間質、精嚢、または子宮または膣に浸潤する腫瘍
     T4b  骨盤壁、または腹壁に浸潤する腫瘍

そして、がんの深達度であるT分類と併せて、N分類(骨盤内のリンパ節への転移の有無や程度)、M分類(がんができた場所から離れた臓器やリンパ節への遠隔転移の有無)によって、病期を決定します。

更に、筋層非浸潤性膀胱がんは、病変の数や大きさ、深達度、異型度、上皮内がん(CIS)を併発しているかどうかなどによって、低リスク群、中リスク群、高リスク群、超高リスク群にリスク分類されます。

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