[公開日] 2015.01.25[最終更新日] 2015.01.25
膀胱とは
膀胱は、腎臓でつくられた尿を一時的に溜めて体外に排出する働きを持つ、骨盤内の袋状の臓器です。内側の大部分が尿路上皮(移行上皮)という粘膜で覆われています。
膀胱がんは、膀胱から発生するがんの総称であり、その約90%以上が尿路上皮にできるがん(尿路上皮がん)です。尿路上皮がんの他には、扁平上皮がん、腺がん、小細胞がんなどの種類もありますが、ここでは主に尿路上皮がんについて記載していきます。
*尿路:腎臓でつくられた尿は、腎杯、腎盂、尿管を通って膀胱にたまり、尿道を通って体外に排出されます。この尿の通り道を尿路といい、膀胱に限らず尿路の内側のほとんどが尿路上皮で覆われています。
膀胱がんの罹患率と生存率
2019年に日本で膀胱がんと診断された症例数は、23,383例(男性17,498例、女性5,885例)です。男女ともに60歳代から発症率が高くなり、40歳未満は低い傾向があります。
膀胱がんの病期毎の5年相対生存率は、I期:86%、II期:57%、III期:43%、IV期:19%と報告されています。[院内がん登録生存率集計(2013-2014年診断例)]
膀胱がんの原因
膀胱がんの危険因子としては、喫煙や染料として使われる芳香族アミン(職業性暴露)、医原性(骨盤内放射線治療歴による膀胱暴露など)、尿路の慢性炎症などが挙げられます。
特に喫煙者に関しては、膀胱がんの発症リスクが非喫煙者の2-3倍と報告されています。また、加齢とともに発症率は増加し、90%以上の症例が50歳以上で発症します。
膀胱がんの症状
最も膀胱がんを疑う症状としては、痛みなどの症状を伴わない血尿(無症候性血尿)が挙げられます。特に見た目で分かるほど尿に血が混じっている場合(肉眼的血尿)は注意が必要です。
また、見た目では分からなくても、顕微鏡で確認できる血尿の場合もあります(顕微鏡的血尿)。他には、膀胱炎に似た症状や、排尿時痛、頻尿や残尿感などが見られることもあります。
膀胱がんの予後
がんが筋層まで入り込んでいたり、リンパ節に転移が見られる場合には、予後が悪い傾向にあります。またがんが膀胱内に多発している場合、治療をしても何度も再発する傾向があります。
再発を繰り返すうちに筋層まで入り込んだ浸潤性のがんへと進行することもあるため、定期的な検査が重要です。
がん種一覧
膀胱がん