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膀胱がんの治療

[公開日] 2015.01.25[最終更新日] 2015.01.25

膀胱がんの治療の決め方

治療方針の決定の際には、病期と併せてがんの悪性度や患者さんの全身状態、患者さんの希望などを総合的に検討していきます。

膀胱がんのTURBT(経尿道的膀胱腫瘍切除術)

内視鏡を尿道から膀胱内に挿入し、がんを電気メスで切除する治療法です。がんの深達度を確かめるための検査も兼ねて実施されます。筋層非浸潤性膀胱がんの場合、TURBTでそのままがんを切除できる場合もあります。 一度目のTURBTで、T1以上、高リスク群と診断された場合には、後日second TURBTと呼ばれる追加の切除が行われます。 膀臓がんの診断と病期(ステージ)分類の詳細はこちら

膀胱がんの膀胱内注入療法

筋層非浸潤性がんの再発や進行を予防する目的で実施する治療法です。尿道からカテーテルを通し、膀胱内にBCG(ウシ型弱毒結核菌)や細胞障害性抗がん薬を注入します。治療の効果は、膀胱内の組織を採取して顕微鏡で確認します。 特にBCG注入療法は、良好な成績が得られる一方で、副作用として頻尿や排尿時の痛み、発熱などに加え、間質性肺炎や感染などのリスクもあるため、注入のスケジュールや寮の管理が重要です。

膀胱がんの手術

転移のない筋層浸潤性膀胱がん(T2以上)では、全身麻酔下で下腹部を切開し、膀胱をすべて取り除く膀胱全摘除術を行います。 男性では、膀胱、前立腺、精のう、遠位尿管と骨盤内のリンパ節を、また尿道再発のリスクが高い場合には尿道も同時に切除します。女性では、膀胱、子宮、腟の一部、遠位尿管、尿道を摘出し、骨盤内のリンパ節を摘出します。 膀胱を切除した後は、尿路変向(変更)術を行い、尿を体の外に出す新しい経路を作成します。尿路変向術には、回腸導管造設術、自排尿型新膀胱造設術、尿管皮膚ろう造設術などがあります。 それぞれの方法に特徴があり、がんの位置や全身の状態、生活状況などを考慮して決めます。 合併症として、腸閉塞や縫合部からの尿漏れ、またそれに伴う腹膜炎などのリスクがあり、緊急手術が必要になる場合もあるため、注意が必要です。

膀胱がんの放射線治療

放射線治療自体は、膀胱がんの標準治療ではありません。しかし、筋層浸潤性膀胱がんで膀胱温存を希望する場合や、全身状態などから膀胱全摘除術が難しい場合、TURBTや薬物療法などと組み合わせた治療の一部として行うことがあります。 また、がんの進行に伴う膀胱出血や、骨転移などによる痛みの緩和目的で、放射線治療を行う場合もあります。

膀胱がんの薬物療法

がんの進行により切除が難しい場合や、転移が見られる場合には、薬物療法が行われます。 膀胱がんで最初に使われる薬物療法は、細胞障害性抗がん薬であるゲムシタビンとシスプラチンを併用するGC療法です。腎機能に障害がある場合には、ゲムシタビンとカルボプラチンを併用するGCarbo療法が使われます。 また、手術の効果を高めることを目的として、膀胱全摘除術の前にシスプラチンを基本とした薬物療法を行うこともあります。 細胞障害性抗がん薬を用いた薬物療法の効果が得られずがんが再発・進行してきた際には、二次治療として免疫チェックポイント阻害薬の使用を検討します。膀胱がんでは、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の使用が、生存期間の延長に寄与すると報告されています。 三次治療としては、タキサン系の薬剤が使われる傾向にあります。

膀胱がんの転移・再発に対する治療

膀胱がんは、初筋層非浸潤性膀胱がんが膀胱内に再発した場合には、初回診断と同様にTURBTを行います。病理診断の結果によって、BCGの膀胱内注入療法や膀胱全摘除術などを行うことがあります。 筋層浸潤性膀胱がんは、リンパ節、肺、肝臓、骨などに遠隔転移することがあります。膀胱全摘除術後に遠隔転移をしたり、もともと膀胱があったあたりや上部尿路、尿道などにがんが再発したりすることもあります。 遠隔転移をした場合や、膀胱を全摘除した後にがんが再発した場合には、細胞障害性抗がん薬や免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法が検討されます。
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