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骨髄線維症とは

[公開日] 2023.10.03[最終更新日] 2024.10.07

骨髄線維症とは

骨髄は、骨の中心部にあり、血液中の様々な細胞を作るもととなる造血幹細胞が存在する場所です。 骨髄線維症とは、造血幹細胞の異常などが原因で発症する骨髄増殖性腫瘍のひとつ。線維組織が過剰に増えることで骨髄が線維化し、骨髄内で正常な血球(赤血球、白血球、血小板などの血液細胞)を作ることができなくなる病気です。 造血幹細胞自体に異常が生じる「原発性骨髄線維症」と、他の血液疾患が原因で生じる「二次性骨髄繊維症」があります(原発性骨髄線維症が一般的です)。

骨髄線維症の罹患数

日本における骨髄線維症の正確な年間罹患数は分かっていません。ただし、米国の疫学研究では、原発性骨髄線維症の推定発症数が、人口10万人あたり年間で0.3人と報告されており、これを日本の人口(1.27億人、2016年時点)に外挿すると、年間罹患数はおおよそ380人と推定されます(「骨髄線維症診療の参照ガイド第6版」より)。 発症年齢のピークは50-70代で、40歳未満の発症は極めて稀です。また、男女比は2:1と、男性に多いと言われています。

骨髄線維症の原因

原発性骨髄線維症の主な原因は、造血幹細胞の遺伝子異常と考えられています。原因となる遺伝子は複数ありますが、高い頻度で変異が認められる遺伝子の代表例としてヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子があります。JAK2遺伝子の異常より、造血幹細胞が異常に増殖し、増殖因子やサイトカインを産生することで、骨髄の線維化・骨硬化を誘発します。 一方、二次性骨髄線維症は、他の血液疾患(特に慢性骨髄性白血病、真性多血症、血小板血症、多発性骨髄腫、リンパ腫など)や結核、肺高血圧症、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、HIV感染症、またがんの骨転移などが原因で骨髄の線維化が続発します。

骨髄線維症の症状

骨髄線維症の初期には、臨床症状が現れずに検診により見つかることも少なくありません。 自覚症状として最も多いのが、貧血に伴う倦怠感や動悸・息切れです。また線維化した骨髄で正常な血液細胞が作れなくなるため、肝臓や脾臓が血液を作る役割を代行しようとしますが(髄外造血)、成熟した血液細胞は作ることができず、また脾臓などが腫れることによる腹部膨満感や腹痛につながります。 更に血小板が減少することによる紫斑(あざ)や歯茎からの出血、また体重減少や発熱などが起きる場合もあります。

骨髄線維症の予後

骨髄線維症の進行は比較的遅いため、長期の生存が望める場合も多い一方で、患者さんごとにばらつきが大きいため、実際には予後因子をスコア化することで個々の予後を予測します(後述)。 幹細胞移植により根治が可能ですが、その他の大部分の治療は、病気の進行を遅らせること、および合併症を軽減することが目標になります。 二次性骨髄線維症の場合の予後は、もととなる疾患に大きく依存し、例えば真性多血症などの疾患により続発した骨髄線維症は、予後が悪いと言われています。

骨髄線維症の診断

骨髄線維症の検査

骨髄線維症の検査は、まず血液検査により貧血の有無やその他の血液細胞の状態を調べます。また、採取した血液を使って、血液細胞の携帯を顕微鏡で観察します。 骨髄の線維化を確かめる最も重要な検査は、骨髄検査です。骨髄に針を刺して骨髄液を吸引する穿刺吸引検査と、骨髄の組織を採取する生検検査の二種類があります。骨髄線維症の場合、骨髄の線維化が進んで固くなっているため、骨髄液の吸引が難しく、多くの場合生検が必要になります。 また、遺伝子検査、特に原発性骨髄線維症において頻繁に変異が見られるJAK2遺伝子などの特定の遺伝子検査をすることで、診断につながります。

骨髄線維症のリスク分類

原発性骨髄線維症のリスク分類には、臨床情報に基づく3種類の国際的予後分類IPSS、DIPSS、DIPSS plusが推奨されています。どの分類も、現在の治療選択を考える上では十分な分類法ではありますが、より精密な予後予測という観点では、日本においてDIPSS plusが最も適していると考えられています。 IPASSは、「年齢」「症状(体重減少、寝汗、発熱など)」「ヘモグロビン値(Hb)」「診断時の白血球数(WBC)」「血中の芽球割合」の5つの因子をもとにしており、この5つの因子に対して点数による重みづけ調整をしたものが「DIPASS(このうち65歳未満を対象としたものがaaDIPASS)」です。また、DIPASSに更に「血小板数」「輸血依存性」「染色体異常」を追加したものが「DIPSS Plus」です(下図)。 一方、二次性骨髄線維症のリスク分類には、MYSEC-PMの分類が推奨されています。 これは、「年齢」「症状(体重減少、寝汗、発熱など)」「血小板数」「ヘモグロビン値(Hb)」「CALR遺伝子変異がないこと」「血中の芽球割合」の6つの独立した予後不良因子からリスク分類を判定します。

骨髄線維症の治療

骨髄線維症の予後は均一ではなく、個々のばらつきが大きいため、リスク分類に基づく予後予測などに基づき、治療方針を決定する必要があります。原発性骨髄線維症と二次性骨髄線維症は、基本的な症状が類似しているため、同様の方針に基づいて治療します。

低リスクおよび中間-1リスクの治療

低リスクおよび中間-1リスクの骨髄線維症は、比較的予後が良好であり、長期の生存が期待できるため、臨床症状や貧血症状が認められない場合、まずは経過観察を行います。一方、脾臓が腫れていたり全身症状(倦怠感や貧血など)を有したりする場合には、JAK阻害剤ジャカビ(一般名:ルキソリチニブ)を投与します。 ジャカビは、造血に重要な酵素であるJAK(4種類あるうちの特にJAK1とJAK2)を標的とする分子標的薬です。骨髄線維症では、JAK-STATと呼ばれる造血シグナルの伝達経路が亢進し、炎症反応や造血不良に伴う様々な全身症状が現れます。そのため、ジャカビによりJAKの働きを阻害することで、骨髄線維症の症状緩和や予後の改善につながると考えられています。 ジャカビの副作用で特に注意が必要なものとして、血小板減少などの血液毒性や、帯状疱疹などの感染症などがあります。症状によっては一時的な薬の減量、休薬が必要になるので、必ず主治医に相談するようにしましょう。

中間-Ⅱリスクおよび高リスクの治療

中間-Ⅱリスクおよび高リスクの骨髄線維症においては、比較的若年で合併症がなく、適切なドナーが得られる場合は、同種造血幹細胞移植が推奨されています。 移植を実施する際には、まず患者さんの体内の異常な造血幹細胞を、大量の抗がん剤や強度の強い放射線療法によって破壊します。その後、健康なドナーから採取された正常な造血幹細胞を静脈内に注入します。 同種造血細胞移植は、現時点で骨髄線維症の根治が望める唯一の治療法とされています。ただし、移植に伴う重篤な合併症などのリスクも伴うため、実施の決断に際しては、主治医と十分に話し合う必要があります。 移植の適応とならない場合には、低リスクおよび中間-1リスクと同様にジャカビによる治療が実施されます。
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