【治験広告】局所進行・再発類上皮肉腫患者を対象としたEZH2阻害薬タゼメトスタットの多施設共同第II相医師主導治験


  • [公開日]2023.10.05
  • [最終更新日]2023.10.05

本ページは、国立がん研究センター中央病院の 治験調整医師 米盛 勧からの委託による治験広告となります。また、治験を実施する実施医療機関の審査・承認を受けたものを掲載しております。

はじめに

本治験は局所進行・再発類上皮肉腫の方を対象としたEZH2イーゼットエイチツー阻害薬タゼメトスタット)の治験です。
治験参加にはメリット、デメリットがありますので、十分に先生とご相談していただき、ご納得の上でご参加ください。

類上皮肉腫について

類上皮肉腫の治療は手術が第一選択ですが、手術で取り切ることは難しかったり、再発・転移することが多く、このような時は抗がん剤により症状を緩和する治療が中心になります。肉腫とは治療の効き具合や成績の異なる約100種類の病気をまとめた疾患概念で、再発・転移した肉腫に対する治療薬として、ドキソルビシン(いわゆる抗がん剤)やパゾパニブ分子標的薬剤)などが保険適用となっています。しかし、肉腫の一つである“類上皮肉腫”に対して肉腫で保険適用となる薬剤が十分効果的であるかの情報は乏しく、最適な治療(標準的な治療薬)は決まっていないというのが現状です。

この治験について

2020年に海外から、類上皮肉腫に対してEZH2阻害薬であるタゼメトスタットが有効だという臨床試験結果が報告されました。類上皮肉腫の患者さんにタゼメトスタットを投与し、15%の患者で腫瘍の縮小を認めています。この試験結果を参考に、ドキソルビシン(アドリアマイシン)を含む1レジメン以上の化学療法治療後に増悪を認めた日本人の類上皮肉腫の患者さんを対象に、日本人でのタゼメトスタットの有効性を検討する医師主導治験を計画、実施することに至りました。

タゼメトスタットは、EZH2阻害薬という分子標的薬の一つです。類上皮肉腫の患者さんの90%以上で、SMARCB1という遺伝子が働いていないことが分かっています。SMARCB1遺伝子はINI1蛋白の生成に関わっており、INI1 蛋白がないことによって、EZH2という酵素が過剰にはたらき、異常な細胞増殖を引き起こすことがわかっています。このため、タゼメトスタットがEZH2を阻害することで、類上皮肉腫の進行を抑制することが期待されています。

→お申し込み方法はコチラ

治験実施医療機関の所在地(10月5日更新)

治験実施医療機関所在地は以下の通りとなります。

・東北大学病院(宮城県仙台市)
・国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)
・愛知県がんセンター(愛知県名古屋市)
・九州大学病院(福岡県福岡市)

※IRB承認状況と実際の募集状況により掲載内容は変更されます。

→お申し込み方法はコチラ

本治験への参加条件

参加いただける条件

1)類上皮肉腫と診断され、INI1蛋白の欠失が確認されている
2)年齢が16歳以上である
3)身の回りのことはすべてできる
4)根治的な手術はできないと判断されている
5)CTやMRIで測定できる病変がある
6)定期的な処置を要する心嚢液、胸水腹水の貯留がない
7)類上皮肉腫に対する標準治療後に悪化している

参加いただけない条件

1)過去に、EZHイーゼットエイチ阻害薬による治療を受けられた方
2)類上皮肉腫以外のがんに現在かかっている、あるいは2年以内にかかっていた方
3)T細胞(リンパ球の一種)による白血病にかかっていた方
4)脳転移、がん性髄膜炎、脊椎転移による臨床症状があるまたは治療が必要である方
5)治療が必要な感染症、または肝炎等の活動性感染症を合併している方
6)免疫不全症、活動性の消化管潰瘍、間質性肺疾患、高度の心疾患、コントロール不良な静脈血栓、日常生活に支障のある精神病を合併している方

その他にも参加条件があり、医師の診察や検査によって参加可能か判断されます。

→お申し込み方法はコチラ

本治験のデザイン

本治験は、日本人の局所進行・再発類上皮肉腫患者を対象に、タゼメトスタット一回800mgを一日2回服用いただき、有効性および安全性を調べます。

→お申し込み方法はコチラ

本治験で使用するお薬について

がん細胞が発生する際には、正常な細胞の遺伝子に2個から10個程度の傷がつくことからがんの発生がはじまるとされています。さらに、がんの悪性化の過程で、遺伝子の傷の数が増えていくことも知られています。この傷の種類として、遺伝子に異常が生じる突然変異に加えて、遺伝子自体は変わらなくてもその使われ方が変わってしまう変異(エピジェネティック変異)とがあることがわかってきています。
エピジェネティック変異として、ヒストンのメチル化という変化によって、本来細胞がもっているがんを抑制する遺伝子(がん抑制遺伝子)の働きが抑制されてしまうことが分かっています。類上皮肉腫では、エピジェネティック変異を抑制する遺伝子に異常があることが多く、エピジェネティック変異を起こす蛋白質(EZH2イーゼットエイチツー;ヒストンメチル化酵素とも呼びます)が過剰に働いて、がんの成長に関わっていると考えられています。タゼメトスタットは、このEZH2を阻害することで、類上皮肉腫の進行を抑制することが報告されています。

→お申し込み方法はコチラ

治験に参加した場合の費用負担について

本試験に参加された方の治験薬タゼメトスタットはエーザイ株式会社により無償で提供されます。通常診療として行われる検査(血液や尿検査、画像検査など)や、診察(初診料や再診料、入院費、治験薬以外の薬剤費など)は通常の保険診療として行われるため、加入している健康保険の規定に従った自己負担分をお支払いいただくことになります。また、本試験参加に伴い、謝礼や交通費(負担軽減費)をお支払いすることはありません。

お申し込み方法

本治験のご参加を希望される患者さんは、まずは主治医の先生に「医療従事者向けページ」のページをご覧いただくようお願いしてください。

主治医の先生へ

主治医(医療従事者)の方はこちらから本治験の詳細とご紹介の流れをご確認ください。

個人情報の取り扱いについて

あなたの個人情報は保護され、あなたの許可するもしくは法律で必要とされる場合を除き、提供された情報は「オンコロ」の当該治験の担当スタッフ、患者さんの担当医、治験実施施設のスタッフのみが共有します。それ以外の人には、あなたの情報が開示されることはございません。

「オンコロ」の個人情報の取り扱いについて

×

会員登録 ログイン