早期乳がんに対する術前療法としての化学療法+免疫チェックポイント阻害剤のメタ解析JAMA Oncologyより


  • [公開日]2024.09.12
  • [最終更新日]2024.09.06
この記事の3つのポイント
・早期乳がんを対象としたメタ解析
周術期における化学療法免疫チェックポイント阻害剤有効性安全性を検討
トリプルネガティブ乳がんおよびホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がんにおける術前療法としての有効性を認める

2024年8月29日、医学誌『JAMA Oncology』にて、早期乳がんに対する術前療法として化学療法+免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の有効性、安全性を比較検証したメタ解析の結果がSOLTI Cancer Research GroupのGuillermo Villacampa氏らにより公表された。

本試験は、2023年10月時点でPubmedで登録された早期乳がんに対する術前療法としての化学療法+ICIの有効性、安全性を比較検証したランダム化比較試験(RCT)を対象にして、病理学的寛解率(pCR)、無イベント生存期間(EFS)、有害事象発症率を検証した報告である。

解析対象は、9つのランダム化比較試験(RCT)に登録された5,114人の早期乳がんであり、そのうちトリプルネガティブ乳がんが2,097人、ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がんが1,924人、HER2陽性乳がんが1,115人である。

本試験の結果、pCRに関しては、トリプルネガティブ乳がんではPD-L1ステータスに関係なくICIの追加の効果が認められ、ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がんではPD-L1陽性群のみで効果が認められたが、HER2陽性乳がんではICIの追加の効果は認められなかった。

pCRを達成したトリプルネガティブ乳がんにおけるEFSは、ICIの追加投与により改善傾向を示し(HR:0.65,95%信頼区間:0.42-1.00)、5年無イベント生存率はICI追加投与群で92.0%、ICI非投与群で88.0%を示した。また、残存病変を有する(pCRが得られていない)場合でも、ICI投与群の方がEFSが良好であり(ハザード比0.77、95% CI 0.61~0.98)、ICI追加投与群では5年無イベント生存率が63.3%、ICI非投与群では56.1%となった。一方、術後ICIでは、pCRまたは残存病変を有する患者のいずれにおいても、生存率の数値的な改善は見られなかった。

一方の安全性として、グレード3以上の免疫関連有害事象発症率は10.3%を示した。

以上のメタアナリシスの結果よりGuillermo Villacampa氏らは”早期乳癌患者に対する術前療法としての化学療法+ICIは、トリプルネガティブ乳がんおよびホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がんに対して良好な抗腫瘍効果を示し、安全性プロファイルも問題ありませんでしたが、術後ICIによる利点は認められませんでした”と結論付けた。

参照元:
Neoadjuvant Immune Checkpoint Inhibitors Plus Chemotherapy in Early Breast Cancer(JAMA Oncology 2024 doi:10.1001/jamaoncol.2024.3456)

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