2017年9月8日から12日までスペイン・マドリードで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO)にて、ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性進行乳がん患者に対する一次治療としてホルモン療法+サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4/6阻害薬であるアベマシクリブ併用療法の有効性を検証した第III相のMONARCH3試験(NCT02246621)の結果がSandro Pitigliani Medical Oncology Department, Hospital of Prato, Istituto Toscano TumoriのAngelo Di Leo氏より発表された。

本試験は、HR陽性HER2陰性進行閉経後乳がん患者(N=493人)の一次治療としてホルモン療法(レトロゾール、アナストロゾール)+プラセボ、またはホルモン療法+アベマシクリブを投与し、主要評価項目である無病悪生存期間(PFS)を比較検証した第III相の国際共同二重盲検ランダム化試験である。

今回は本試験の18ヶ月時点における結果であるが、主要評価項目である病勢進行または死亡のリスク(PFS)がプラセボ群に対してアベマシクリブ併用群で45.7%(p = 0.000021)と統計学的有意に減少することが証明された。また、客観的奏効率(ORR)はプラセボ群44%に対してアベマシクリブ群59%(p = 0.004)であった。

一方、有害事象である下痢、好中球減少の発症割合はプラセボ群でそれぞれ29.8%および1.9%であるのに対してアベマシクリブ群で81.3%および41.3%と高率であった。

また、本発表からはアベマシクリブにより良好な治療成績が得られる可能性が高い患者、低い患者の特徴が示唆された。例えば、肝転移を有する患者はアベマシクリブ治療に対して良好な治療成績を示す一方で、骨転移のみ、低悪性度の腫瘍、術後ホルモン療法後より数年経過しての再発歴などを有する患者ではホルモン療法単独でも十分な治療成績が得られることが示唆された。

本件に関してAngelo Di Leo氏はこう述べている。”骨転移のみ、低悪性度の腫瘍、術後ホルモン療法後より数年経過しての再発歴などを有する患者では肝転移、肺転移、術後ホルモン療法後の早期再発などの背景を有する患者に比べて予後が良好である。本試験で得られた知見より、HR陽性HER2陰性進行閉経後乳がん患者に対してはホルモン療法単独でも十分な治療成績が得られるため、CDK4/6阻害薬は次の治療ラインの選択肢として温存できる。本試験においては骨転移のみ、術後ホルモン療法後の早期再発患者は全症例の1/3を占めたが、このような患者に対してはCDK4/6阻害薬による治療が必要ないため、CDK4/6阻害薬上乗せるすることで生じる副作用と治療費を避けることができる”

そして、イタリア・ミラノ大学のGiuseppe Curigliano氏はこう結論づけた。”HR陽性HER2陰性進行閉経後乳がん患者の一次治療としてCDK4/6阻害薬をホルモン療法に併用するべきか?もしくはホルモン療法単独で開始し、その後病勢進行時点でCDK4/6阻害薬を追加すべきか?今後はこのクリニカル・クエスションに対する答えを発見する臨床試験の設計が必要である”

以上の発表より、HR陽性HER2陰性進行閉経後乳がん患者に対する一次治療としてのアベマシクリブ併用療法は、患者背景の違いを考慮することで無病悪生存期間(PFS)をはじめ良好な治療成績が得られる可能性が示唆された。


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