6月3日~7日、米国・イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にて新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する導入療法としてのレナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法±自家造血幹細胞移植(ASCT)、維持療法としてのレナリドミド単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のDETERMINATION試験(NCT01208662)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのPaul G. Richardson氏らにより公表された。
DETERMINATION試験は、18~65歳の新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対して21日を1サイクルとして1~14日目にレナリドミド25mg+1、4、8、11日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+デキサメタゾン併用療法(RVd)を3サイクル実施し、幹細胞動員+RVd療法5サイクルを実施し、その後維持療法としてレナリドミド10mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群(Arm A)、もしくは21日を1サイクルとして1~14日目にレナリドミド25mg+1、4、8、11日目にボルテゾミブ1.3mg/m2+デキサメタゾン併用療法を3サイクル実施し、メルファラン200mg/m2+ASCTとRVd 2サイクルを実施し、その後維持療法としてレナリドミド10mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで実施する群(Arm B)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の患者背景は下記の通りである。年齢中央値はArm Aの57歳に対してArm Bで55歳。ISSステージ病期は、ステージIIIがArm Aの14%に対してArm Bで13%。以上の背景を有する患者に対する本試験のフォローアップ期間中央値76ヶ月時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、Arm Aの46.2ヶ月に対してArm Bで67.6ヶ月を示し、Arm Aで病勢進行または死亡(PFS)のリスクを53%増加(HR:1.53、95%信頼区間:1.23–1.91、P<0.0001)した。
完全奏効率(CR)はArm Aの2%に対してArm Bで62%、最良部分奏効率(VGPR)はArm Aの79%に対してArm Bで83%、部分奏効率(PR)はArm Aの94%に対してArm Bで96%を示した。また、4年全生存率(OS)はArm Aの84%(95%信頼区間:80–88%)に対してArm Bで85%(95%信頼区間:81–88%)を示し、Arm Aで死亡(OS)のリスクを10%増加(HR:1.10、95%信頼区間:0.81–1.47、P=0.274)した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、Arm Aの78%に対してArm Bで94%、血液関連のグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はArm Aの61%に対してArm Bで90%、二次がん発症率はArm Aの10%に対してArm Bで11%であった。
以上のDETERMINATION試験の結果よりPaul G. Richardson氏らは「新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する導入療法としてのレナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法+自家造血幹細胞移植(ASCT)は、レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン併用療法に比べて主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を21.4ヶ月改善しました。今日まで、全生存期間(OS)に関する臨床的ベネフィットは確認されていません」と結論を述べている。
Lenalidomide, bortezomib, and dexamethasone (RVd) ± autologous stem cell transplantation (ASCT) and R maintenance to progression for newly diagnosed multiple myeloma (NDMM):The phase 3 DETERMINATION trial.(2022 ASCO Annual Meeting,Abstract No:LBA4)