オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン!
その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています!
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質問
「BRCA遺伝子検査を受けたことがありますか?」
結果・解説
皆さんはがんの遺伝子変異の一つ「BRCA遺伝子変異」とは何かご存じでしょうか?
今回のオンコロ・ワンクエスチョンの質問のテーマである「BRCA遺伝子検査」について、検査があることを知らなかったという方も多くいらっしゃったため、解説では「BRCA遺伝子変異とは何か」から「BRCA遺伝子検査とは」についてご案内いたします。
なお、BRCA遺伝子変異がおこりやすいがんに罹患していない方でも、BRCA遺伝子変異は遺伝することがありますので知識として知っていただければと思います。
BRCA遺伝子変異とは
通常、遺伝子は何らかの影響(化学物質・放射線・タバコ・加齢・その他)によって、遺伝子に変化が起こったとしても、修復システムによって変化した箇所が修復されます。
しかし、その修復システムを司る遺伝子の一つBRCA遺伝子自体に問題があった場合、修復システムが機能せず、遺伝子に変化が残ったままになってしまいます。
その結果、遺伝子にできた変化を修復できない細胞として残ってしまい、がん細胞として増殖する可能性が出てきてしまうのです。
このように、遺伝子に変化が起こった際にがんになりやすい遺伝子変異がもともとあり、それがBRCA遺伝子にある場合、BRCA遺伝子変異と呼びます。
BRCA遺伝子には2つの種類があり、BRCA1とBRCA2があります。
なお、BRCA遺伝子変異には、上記の生殖細胞変異(germline)のほか、がん細胞由来の変異(somatic)もあります。
がん種によってBRCA遺伝子変異内の変異の比率は異なりますが、例えば前立腺がんではBRCA遺伝子変異によるものが約15%あり、その半数がsomaticになります。
BRCA遺伝子変異によって起こりやすいがん
BRCA1/2遺伝子変異によって起こりやすいとされているがんは、乳がん・卵巣がん・前立腺がん・膵臓がんです。
それぞれのがんの患者さんの中で、BRCA遺伝子変異が確認される頻度は下記のようになります。
乳がん…約5%
卵巣がん…約15%
前立腺がん…約15%
膵臓がん…約5%
BRCA遺伝子検査とは
2024年8月現在、乳がん・卵巣がん・前立腺がん・膵臓がんのがんにBRCA遺伝子変異が確認された場合、それに対応する薬剤「PARP阻害剤」があります。
そのためBRCA遺伝子変異が起きている可能性のあるがんに対しては、BRCA遺伝子検査を調べることで、PARP阻害剤を使えるかどうか検査します。
なお、この検査はコンパニオン診断、対応する薬剤は分子標的薬とよばれます。
※遺伝子検査に関する詳細は過去のオンコロ・ワンクエスチョンで解説しておりますのでぜひご覧ください。
▼オンコロ・ワンクエスチョンvol.33「がんの遺伝子検査について調べたことはありますか?」
BRCA遺伝子検査の保険適用範囲について
BRCA遺伝子検査をはじめとした遺伝子検査はかなり高額になります。
しかし、保険適用となる対象がありますので、BRCA遺伝子変異によって起こり得る乳がん・卵巣がん・前立腺がん・膵臓がんのそれぞれの対象基準をご紹介いたします。
■乳がんと診断された方
遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)の可能性が疑われる特徴のいずれかに該当する方
・45歳以下で乳がんと診断された
・60歳以下でトリプルネガティブ乳がんと診断された
・両側の乳がんと診断された
・片方の乳房に2個以上の原発性乳がんが見つかった
・第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がんまたは膵臓がん発症者が1名以上いる
・乳がんと診断された男性
上記に該当しなくても、下記に該当する方
・PARP阻害薬オラパリブに対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合
(化学療法を受けていてHER2陰性の手術不能または再発がん)
■卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された方
・すべての方
・ステージIII/IVの卵巣がんで、術後化学療法としてPARP阻害薬オラパリブでの治療を検討している場合
■膵臓がんと診断された方
・PARP阻害薬オラパリブに対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合
(化学療法を受けていてHER2陰性の手術不能または再発がん)
■前立腺がんと診断された方
・PARP阻害薬オラパリブに対するコンパニオン診断の適格基準を満たす場合
(化学療法を受けていてHER2陰性の手術不能または再発がん)
なお、上記の条件に当てはまらない場合には、自費診療という形で検査を行うことも可能です。
検査を受けるかどうかについては、ご自身の治療状況によってタイミングが適さないなどありますので、ぜひ医師などの医療関係者とご相談ください。
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