8.退職するときに役立つ知識と情報


  • [公開日]2017.05.04
  • [最終更新日]2017.05.04

新たな健康保険証を早く手に入れる

 会社を退職すると、加入している医療保険の資格を失います。今使っている健康保険証(または組合員証)は返さなければなりません。
そこで、

1. 加入していた医療保険に、「個人の資格で任意継続被保険者」として加入する
2. 「国民健康保険」に加入する
3. 「家族が加入している医療保険の被扶養者」になる

のいずれかに加入し、新たな保険証を手に入れる必要があります。保険料などを比較して決めることになります。どの制度に加入しても、受けられる給付の内容は同じです。限度額適用認定証も必要であれば、新たに加入する医療保険で手に入れることになります。

個人の資格で任意継続被保険者として加入する

 医療保険に2か月以上加入期間のある人は、引き続き加入することができます。加入していた医療保険に、退職日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出して手続きします。扶養している配偶者も一緒に加入できます。2年間加入できます。保険料は、退職前に控除されていた額の倍額(上限は月3万3千円程度、額は都道府県の協会けんぽや保険組合、共済組合によって異なります)となります。

国民健康保険に加入する

 市区町村の国民健康保険担当の窓口に、「国民健康保険被保険者資格取得届」と会社からもらった「健康保険資格喪失証明書」を提出して手続きします。保険料は、前年の給与所得や固定資産税額、世帯人数などによって決定されます。

 非自発的な離職(会社からの働きかけによる退職や解雇など)であれば、翌年度末までの間、保険料が軽減されます。手続きには、ハローワークで交付された雇用保険受給資格者証が必要です。

※退職後もすぐに働くことができない状態の場合は、雇用保険受給資格者証を手に入れることはできませんので、直ちにはこの軽減は受けられません。雇用保険受給資格者証は、ハローワークで求職の申し込みをしたときに交付されるものです。

家族が加入している医療保険の被扶養者になる

 家族が勤めている勤務先を通じて手続きします。年収が130万円(60歳以上の人は180万円)以上ある人は、被扶養者になることができません。
※年収は、過去の収入額ではなく、認定を受ける以降の年間収入見込み額をいいます。

失業手当(正しくは基本手当)は、働ける状態でなければ支給されない・働ける状態でない場合は、受給の延長手続きをしておく

 会社を退職したら、雇用保険に加入していると「基本手当」が支給されます。失業の状態にある日について、生活を心配しないで仕事探しに専念できるようにとして、支給されるものです。

支給が受けられる条件

 退職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が12か月以上ある(11日以上働いた月を1か月とする)ことが条件です。退職したときまでの被保険者期間や給料の額により、基本手当の日額や支給される期間が異なります。

手続き

 基本手当が支給されるのは、退職後に住所地を管轄するハローワークで求職の申し込みをした日の7日(待期期間)後からです。自己都合で退職した場合は、その3か月後からとなります。4週間ごとにハローワークへ行って、求職活動の実績を確認され、失業の状態にあることの認定を受け、その日数分の基本手当が支給されます。1週間程度で入金されます。

基本手当の日額

 退職直前の6か月間に支給された給料の合計額を180で割った金額の、およそ80〜45%です。(休職し給料が支給されなかった期間がある場合、11日以上働いた月がない期間は含めずに算定される)

支給される期間の上限

 退職したときまでの被保険者期間によって異なります。

自己都合による退職、契約期間満了で離職、定年で離職した場合
被保険者期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
支給日数 90 120 150
会社からの働きかけ、解雇、倒産などで離職した場合
被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 180日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

 

傷病手当金の支給を受けているときに退職し、基本手当の支給が受けられる場合は、基本手当と傷病手当金は同時に支給されません。支給を受ける時期をずらしてもらうことはできます。

働くことのできない状態の場合は、延長の手続きをしておく

 退職後も入院や自宅療養などで、すぐに仕事に就くことができない状態の場合(30日以上)は、基本手当は支給されません。そのため、体調が回復し、働ける状態になるまでの間、受給を先延ばしする手続きをしておく必要があります。延長は最長3年間できます。

 手続きは、退職後30日経過してから1か月以内の間に、「受給期間延長申請書」と雇用保険被保険者離職票、傷病証明書などを提出します。家族でも手続きできます。体調が回復し、働くことのできる状態になったら、延長の理由が終わったことを届け出て、その後から支給を受けます。

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