著しい障害が現れたら、「障害者手帳」を取得する・障害者手帳で、障害福祉サービスや経済的な支援が受けられる

 病状が進行し、肢体や体幹、内臓機能(直腸、肝臓、腎臓、ぼうこう、呼吸器など)、音声機能、言語機能、精神などに著しい障害が現れて、その症状が続くと判断されたときは、「身体障害者手帳」や「精神障害者保健福祉手帳」が交付されます。障害者手帳を持っていると、障害福祉サービスや経済的な支援などが受けられます。治療を継続していく上で、必要なものです。

対象者

 がん患者の場合、初診日から6か月以降において、がんそのものや転移によって内臓機能や手足に著しい障害が現れた、人工肛門や新膀胱を造設した、喉頭を摘出して言語機能を失った、術後にうつ状態になった、などの状態にあれば対象となります。

症状の程度の重さによって、1級から6級まであります。精神障害者保健福祉手帳は1級から3級までです。※障害年金とは制度が異なりますので、等級も異なります。

手続き

 取得の手続きは、主治医に障害等級に該当する状態にあるかどうかを確認し、該当することであれば、市区町村の障害福祉担当の窓口に「手帳交付申請書」と診断書などを提出し、交付を受けます。交付されるまで2か月ぐらいかかります。

障害福祉サービスや税金の控除、料金の割引などが受けられる

 ストーマ装具や補装具などの購入費用の軽減、日常生活用具の給付、所得税や住民税の控除、自動車税の減免、JR運賃の割引などが受けられます(等級によって異なります)。

治療費が軽減される

 身体障害者手帳を持っていると、障害を軽くするための手術を受ける場合の治療費が軽減されます(自立支援医療制度(更生医療))。著しい障害が現れたことによって行う手術が対象です。精神障害者保健福祉手帳を持っていると、精神科の通院の治療費が軽減されます(自立支援医療制度(精神通院医療))。

 重度(1級・2級)の身体障害者手帳を持っていると、あらゆる治療に市区町村から助成が受けられます(都道府県の重度心身障害者等医療費助成制度)。※所得制限があります。

日常生活や仕事をする上で制約を受けるようになったら、「障害年金」の支給が受けられる

 治療をしたけれども、著しい障害が現れて、日常生活に制約を受けるようになった、仕事をする上で制約を受けるようになった、という状態になったときには、「障害年金」の支給が受けられます。生活や仕事に制約されるようになったことによる所得保障制度です。

 がんの治療で初めて病院で受診した日(初診日)に年金制度に加入していて、そのとき以前の期間に保険料の納付要件(直近の一年間に、国民年金の保険料未納期間がない、厚生年金や共済年金に加入していたなど)を満たしている人が対象です。

 初診日が、国民年金に加入しているときであれば「障害基礎年金」が、厚生年金(または共済年金)に加入しているときであれば障害基礎年金に上乗せされて「障害厚生年金」が支給されます。※初診日が、国民年金に加入する前(20歳未満)であったり、60歳以上65歳未満であるときは、障害基礎年金となります。

支給額

 支給される年金額は、障害基礎年金は定額です。障害厚生年金は、障害認定日以前の給料の平均額や勤めていた期間をもとにして計算された額に、障害基礎年金が加算された額となります。配偶者や18歳以下の子どもがおれば、さらに加算されます。
※障害基礎年金の支給額は、1級は月額81千円程度、2級は月額65千円程度です。障害厚生年金が支給されている人の平均支給額(障害基礎年金を含めた額)は、1級は月額160千円程度、2級は121千円程度、3級は54千円程度です。

障害年金が受けられる障害状態

 がん患者の場合、初診日から1年6か月以降において、以下のような状態にあれば、支給の対象となります。症状の程度の重さによって、障害等級が異なります。

・がんそのものや治療による副作用の全身衰弱で、日常生活や働く上で制約がある
・術後の後遺症で、日常生活や働く上で制約がある
・喉頭全摘出による言語機能障害、転移による肢体障害・末梢神経障害・中枢神経障害、術後の精神障害などで、日常生活や働く上で制約がある
・人工肛門を造設した、新膀胱を造設した、尿路変更術をした、完全排尿障害の状態にある(※初診日から1年6か月以内に、人工肛門の造設や尿路変更術をしたときはその時点から6か月後に、新膀胱の造設をしたときはその時点で、さらに完全排尿障害の状態にある場合にはその6か月後に、請求手続きができる)

手続き

 請求の手続きは、年金事務所や街角の年金相談センター(初診日が共済年金に加入しているときであれば共済組合)に、「障害年金請求書」と「診断書」、「病歴・就労状況等申立書」、「受診状況等証明書」などを提出します。決定されるまで3か月ぐらいかかります。(不支給となることもあります)手続きできるのは、基本的には65歳までです。