5.職場復帰をするときに役立つ知識と情報


  • [公開日]2017.05.02
  • [最終更新日]2017.05.04

職場復帰を考えているが、仕事ができるかどうか不安

 治療が一通り終わり、体調が落ち着いてきたら、復職の判断が必要となります。長く休職していると、職場復帰をする時期をいつにしようか、と思案します。以前と同じように仕事ができるだろうか、との不安も高まります。

主治医に相談する、職場に伝える

 体調が落ち着いてきたら、復帰後の仕事の内容などを主治医に伝え、復職することに支障がないかどうかを相談し、アドバイスをいただきましょう。支障がないと言っていただければ、復職できそう時期を決めて、仕事上で気をつけることや制限する必要があると指示されたこと、通院の頻度などを上司や人事労務担当者に伝え、話し合ってください。必要な配慮をしてもらいましょう。体力に見合った働き方について、調整してもらいましょう。

慎重さが必要

 仕事ができるには、日常生活を支障なく行えることが前提です。通勤や仕事にも負担がかかりますので、耐え得る体力を備えていることが必要です。迷惑をかけたので、その分早く取り戻そうと頑張ってしまいがちですが、すぐには休職する前と同じように仕事ができないのは当然です。職場復帰を急いだあまり、体調が万全でないのに復職し、悪化させて退職に至るケースもありますので、慎重さが必要です。

職場復帰をするときの手順は?

職場復帰の手順は

 職場復帰をするときは、一般的には「復職申出書」に主治医の診断書を添えて会社に提出し、承認を受けます。会社は、診断書をもとに、本人の意向や、上司や産業医(産業医のいる職場)などとの面談を通じ、復職が可能かどうかを判断されるのが一般的です。その際には、復職後のフォローアップなども検討されます。復職が認められると、体力に見合ったサポートを受けながら仕事をすることになります。

 主治医の診断書のほかに、復職が可能かどうかなどを判断するために、会社の仕事の事情をよく知っている産業医の診断を求められることもあります。また、治療の経過や仕事上で配慮が必要とすること、通院のための必要な期間などについて、本人の同意を得た上で主治医に照会することもあります。

職場復帰後に心掛けることは

 実際に働いていく状況のなかで、抗がん剤の副作用や後遺症などによる影響に加え、集中力の低下や倦怠感などから、思うように仕事ができない場合があるかもしれません。何らかの障害や制約などが発生することがあれば、上司や産業医などの産業保健スタッフに申し出ましょう。

 配慮してもらっていたり、負担や迷惑をかけていることもあって、なかなか言い出せないことですが、できる限り伝えましょう。職場生活のリズムが取り戻せるまでの間は、無理をしないよう、焦らずに、少しずつ仕事量を増やしていきながら、体力に見合った働き方と治療計画に影響しない働き方に心掛けてください。

職場復帰が認められない。

 復職を申し出ても、回復の程度が不完全と判断されて、職場復帰が認められない場合があるかもしれません。復職が認められるには、どの程度まで回復している必要があるのか、という問題もあります。直ちには従前の職務に復帰できないような場合には、比較的負担の軽い業務への変更や、短期間で復帰可能と思われるような場合には、復帰に向けて徐々に心身を慣らしていく準備期間の提供(時差出勤、短時間勤務、勤務日数の短縮、在宅勤務など)など、柔軟な勤務の取り組みもあってもよいものかと思われます。

 仕事ができると思われる状態にあるにもかかわらず、復職がかなわないときは、会社に理由を確認し、話し合ってください。それでも納得できないことであれば、労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーに救済を求める相談をしてください。

職場復帰をしたが、思うように仕事ができない

 職場復帰をしたものの、体力的に厳しい、会社の理解や配慮が得られない、体調がよくないことをなかなか理解してもらえない、これ以上周囲に迷惑をかけたくない、職場の様相が一変している、などで仕事を続けることがつらくなることも考えられます。

 体調が今なお不安定な状態が続くようであれば、一時的に仕事量を減らしてもらったり、仕事の内容を見直してもらう、勤務時間や勤務日数を調整してもらう、などの配慮をしてもらえるよう、上司や産業医などの産業保健スタッフに伝えましょう。

 体調の厳しい状況が続いていたり、体力に見合った働き方ができない、会社の対応に期待ができない、職場に居づらい、ストレスを抱えている、というようであれば、体調を崩してしまっては大変ですので、今後の療養の仕方や働き方などについて、主治医や家族とよく相談することが大切です。

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