悪性リンパ腫の放射線療法


  • [公開日]2017.07.04
  • [最終更新日]2017.07.04

放射線療法について

悪性リンパ腫は放射線が効きやすいがんです。初期の低悪性度のリンパ腫でかたまりが小さければ、放射線療法だけで治癒する人も少なくありません。タイプや悪性度によっては、薬物療法と組み合わせたほうが効果的なこともあります。

放射線療法は、悪性リンパ腫が1か所、あるいは同じような場所に限局しているときに、体の外から病変部に放射線(高エネルギーのX線など)を当ててがん細胞を死滅させる局所治療です。悪性リンパ腫のタイプによっては、薬物療法と併用して治療します。併用するときには最初に薬物療法を数回行い、その後、病変部に放射線を照射します。

悪性リンパ腫の放射線療法は一般的に外来治療で、多くの患者さんでは毎回2グレイ(放射線量の単位)ずつ40グレイ(20回)照射します。1回の照射時間は1~2分、準備を含めても治療時間は30分程度ですが、原則的に平日は毎日4週間通院することになります。希望の時間帯があるときは、担当医や医療スタッフに伝えましょう。

放射線療法が長期にわたるのは、一度にたくさん照射すると、がん細胞だけではなく周りの正常細胞もダメージを受けてしまうからです。少しずつ当てることで、正常細胞への影響を最小限にしつつ悪性リンパ腫のかたまりの芯までたたく効果があります。

放射線を照射している間は、痛みや熱を感じることはありません。副作用は照射する部位によって異なりますが、皮膚が日焼けしたようになることがあります。個人差があるものの、なかには疲労感や吐き気が出たり、食欲が低下したりする人もいます。

発生頻度はまれですが、放射線療法を受けて6か月以上、場合によっては何年も経ってから、心筋梗塞、心不全や呼吸不全を起こす放射線性肺臓炎など、「晩期障害」と呼ばれる副作用が出ることがあります。

若い世代では、照射した場所の近くに別のがん(二次がん)が発生したり、照射する場所によっては不妊になったりする危険性もあります。ただ、放射線治療機器の進歩で正常組織に強い放射線が当たらないようになってきており、今後は晩期障害の減少が期待されます。なお、放射線療法は、病変が神経などを圧迫しているとき、あるいは骨転移の痛みなど局所的な症状の軽減にも有効です。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい悪性リンパ腫のこと」より抜粋・転記しております。

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