膀胱の摘出について

膀胱を摘出したときには、尿の出口とためておく場所をつくる尿路変向術を受け、排尿するためのリハビリテーションを行います。尿路変向術にはいくつか種類があり、自分のライフスタイルに合わせて選ぶ必要があります。

膀胱を摘出する手術を受けた場合、新たに尿の出口をつくる尿路変向(変更)術を受ける必要があります。尿路変向術には、主に、尿の出口であるストーマをつける回腸導管造設術、ストーマを使わず新たに膀胱を再建する自排尿型新膀胱造設術、そして、尿管を切断して直接皮膚に縫いつける尿管皮膚瘻造設術という3つの方法があります。

合併症が少ない回腸導管造設術

小腸の一部を切除して左右の尿管をつなぎ、尿を導く回腸導管をつくり、尿の出口を腹部の右側の皮膚に出す方法です。その出口を「ストーマ」と呼びます。回腸導管造設術の利点は術式が簡単で合併症が少なく、新膀胱をつくる方法より手術時間が短くて済むことです。

しかし、ストーマの先に尿をためるパウチをつけなければならない不便さがあります。また、ストーマの周囲の皮膚はかぶれやすいので、清潔を保ちこまめに手入れするストーマケアが重要です。

外見上変わらない自排尿型新膀胱造設術

自排尿型新膀胱造設術は小腸を使って袋状の新膀胱(代用膀胱)をつくり、これを尿道につなぐ方法です。ストーマなどの装具をつける必要がなく、手術前と同じように尿道から尿を出すことができます。尿意は感じませんので、4~5時間に1度程度、定期的に腹圧をかけて尿を出さなければなりませんが、外見上は手術前と変わらないのが利点です。

ただ、欠点はストーマを使う方法に比べて手術時間が長く術式が比較的難しいことです。また、尿道にがんが広がっていて尿道を切除した人にはこの方法は使えません。腸閉塞があったり腸の手術をしたことがある人も、腸を使って新膀胱をつくることができないのでストーマを使った方法を選ぶことになります。

負担の少ない尿管皮膚瘻造設術

尿管皮膚瘻造設術は、尿管を切断して直接皮膚に尿管を縫いつけ、尿の出口としてストーマをつくる方法です。手術方法が単純で負担の少ない方法ですが、尿をためるパウチをつけなければいけないことと、ストーマ合併症などのトラブルが多いのが難点です。

どの尿路変向術でも再発率に差はありません。複数の方法から選べる場合には、担当医や看護師に利点と欠点をよく聞き、自分の生活スタイルに合わせて選ぶようにしましょう。実際に尿路変向術を受けた患者さんに話を聞くのも参考になります。

排尿リハビリを受けて退院へ

膀胱全摘除術と尿路変向術を受けたときには1か月程度の入院が必要です。手術後しばらくは造設したストーマや新膀胱にカテーテル(管)を入れて尿を出しますが、術後2〜3週目くらいから、自分で排尿できるように訓練を行います。

自排尿型新膀胱造設術を受けた人は、新膀胱に400ml程度尿がたまった時点で腹圧をかけて排尿するようにします。最初は新膀胱が膨らみにくいため、2~3か月は尿失禁がありますが、パッドを当てれば心配ありませんし、徐々に失禁もなくなります。

ただ、新膀胱が膨らみすぎ巨大膀胱になると、尿が残りやすくなるので尿をためすぎないよう注意します。新膀胱から腸粘液が出る場合は、自分で尿道へ管を入れ洗浄すると不快感が軽減されます。ケアの仕方は担当医や看護師に聞いておきましょう。

回腸導管造設術などストーマを造設した人は、入院中にストーマの洗い方や装具のつけ方の指導を受け、自分で排尿とストーマの管理ができるように練習します。退院後もストーマ外来に定期的に通い、心配なことは看護師などに相談しましょう。

ストーマをつけた人は、市区町村の福祉担当課に申請すれば身体障害者手帳が交付され、乗り物料金などの割引が受けられます。とはいえ、日常生活にはほとんど支障がないので、性生活や外出を控える必要はありません。ストーマをつけつつ仕事を続けたりスポーツや海外旅行を楽しんでいる人は大勢います。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 膀胱がんのこと」より抜粋・転記しております。