膀胱がんとは(疾患情報)


  • [公開日]2015.01.25
  • [最終更新日]2019.01.31

膀胱がんとは

膀胱がんは、腎臓でつくられた尿を一時的にためておく袋である膀胱にできるがんです。血尿で発見されることが多く、表在性がん(筋層非浸潤性がん)、浸潤性がん、転移がんなどのタイプに分けられます。膀胱は骨盤の中にあり、腎臓でつくられ腎盂、尿管を通ってきた尿を一時的にためておく袋状の臓器です。

膀胱の内側は尿路上皮という粘膜で覆われており、尿の量によって伸縮しています。膀胱がんの90%はこの尿路上皮の細胞ががん化し成長したものです。男女とも60歳以降に増え、男性のほうが多く、男性の患者数は女性の4倍です。初期症状は痛みのない血尿で、8割の人が血尿によってがんが見つかっています。
 
膀胱がんのタイプは、表在性がん、浸潤性がん、転移がんなどのタイプに分けられます。表在性がんは膀胱表面の粘膜下結合組織までにがんがとどまっており、筋層には広がっていない状態で、筋層非浸潤性膀胱がんと呼ぶこともあります。イソギンチャクかカリフラワーのように表面がぶつぶつ盛り上がり、乳頭状になっているのが特徴です。

また、上皮内がんは、表面には腫瘍が盛り上がらずに、粘膜の壁に沿って悪性度の高いがん細胞が散らばった状態になっている特殊ながんです。浸潤性がんは、筋層までがんが広がっており、膀胱の壁の外側やほかの臓器にも転移しやすい性質を持っています。転移がんは膀胱の外側にがんが広がった状態です。

膀胱がんの検査

膀胱がんかどうかは、膀胱鏡検査、尿細胞診、レントゲン検査、超音波検査、骨盤部MRI検査で調べます。確定診断のためには、内視鏡を使って病変部の組織を採取する膀胱粘膜生検が必要です。

膀胱がんかどうかは、ほとんどの場合、膀胱鏡検査で診断できます。膀胱鏡検査とは、先端にライトと小型カメラがついた細い内視鏡を尿道の出口から膀胱へ入れ、がんの有無や位置、形、大きさを観察する検査です。

健康診断やほかの病気で受けた尿検査で微量の血尿が見つかった場合には、まずは、尿中のがん細胞の有無をみる尿細胞診、レントゲン検査、超音波(エコー)検査で血尿の原因を調べます。

レントゲン検査では造影剤を注射して、腎盂や尿管にもがんがないかをみる静脈性尿路造影、または胸腹部CT(コンピューター断層撮影)検査を行うこともあります。

最近では、膀胱鏡検査で膀胱がんがある程度確定したときには、「骨盤部MRI(磁気共鳴画像)検査」で腫瘍の深さを調べる病院が多くなっています。確定診断のためには、下半身に麻酔をかけ、内視鏡を使って病変部を切除する膀胱粘膜生検を行い、採取した組織を顕微鏡でみる病理組織診が必要です。

膀胱粘膜生検は、多くの場合、初期がんの治療のために行われる経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を兼ねており、表在性がんと上皮内がんであれば、ここで外科的な治療と検査が終了する場合もあります。

浸潤性がんの場合には、さらに、胸腹部CT検査や骨シンチグラフィ―でリンパ節やほかの臓器への転移の有無を診断します。なお、胸腹部CT検査は、膀胱粘膜生検の前に実施することもあります。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年1月に出版した「もっと知ってほしい 膀胱がんのこと」より抜粋・転記しております。

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