慢性骨髄性白血病(CML)とは

血液は血小板、赤血球、白血球などの血液細胞と呼ばれる細胞によって構成されています。これらの細胞たちは、全て骨中心にある骨髄の中で生まれる「造血幹細胞」からできます。

幹細胞はまだプロフェッショナルな役割を持っていない未熟な細胞で、まだどの細胞にもなれる可能性を有している細胞です。造血幹細胞は骨髄の中で増殖していきますが、まだ何も役割を持たない造血幹細胞ばかりが増えても生体にはなんらメリットがありません。

そのため、生体は造血幹細胞に役割を与えます。このことを医学的には「分化」と言います。造血幹細胞はまず①骨髄系幹細胞 ②リンパ系幹細胞に分化し、それぞれさらに①-1赤血球、①-2血小板、①-3骨髄芽球、①-4単球、
②-1リンパ球、と分化していきます。

これがどう白血病と関係しているのかというと、白血病の分類はどの細胞がどの成長段階で、どういったパターン・速度で増殖するのかをもとにして分類しています。慢性骨髄性白血病では骨髄性の細胞(①-③骨髄芽球)が異常に増殖します。

急性骨髄性白血病との違いは増える細胞が分化しているかしていないかの違いです。急性骨髄性白血病では幼弱な芽球が大量に増殖しますが慢性骨髄性白血病では幼弱な芽球から成熟顆粒球までまんべんなく増えます(最も増殖するのは成熟顆粒球です)。以下のグラフのようになります。

慢性骨髄性白血病(CML)の症状

CMLの症状は進行性で、慢性期移行期→急性転化期と段階的に悪性度が進行します。一般的には、症状がない慢性期でCMLと診断されることが多いです。好発年齢は50~60歳代で、慢性期に診断が付けられずに治療を受けられないでいると、3~5年程度で移行期や急性転化期へと移行していきます。

I.慢性期の症状
  
・最初期は無症状
・進行に伴い微熱や全身倦怠感、体重減少
・白血病細胞の浸潤に伴う肝脾腫、腹部膨満感

II.移行期の症状

・肝脾腫の増悪
・発熱、体重減少
・骨痛
・イマチニブ等治療薬への抵抗性を増す

III.急性転化期の症状
 
・貧血
・出血傾向
・易感染性

多くは急性転化期の前に移行期をたどりますが、慢性期から移行期を飛び越えて急性転化期になることもあります。急性転化期では、急性白血病と似たような症状を呈することが知られています。慢性期や移行期から急性転化期に移行させないことがCMLの治療の際に大事になってきます。

慢性骨髄性白血病(CML)の原因

CMLの多くは染色体異常によって発症することが知られています(CMLの患者さんの95%以上に染色体異常があることが知られています)。

まず人の染色体について説明致します。染色体は2本1組で22組ある常染色体と、2本1組で1組しか存在しない性染色体があります。つまり人には46本染色体があります。長い染色体から1番、2番・・・と番号が振られ、22番まであり、性染色体はまた別の数え方をします。

CMLでは、この染色体のうちで9番と22番の染色体に異常が生じます。何かしらの拍子で9番と22番染色体の一部がそれぞれ切れて、9番の切れ端が22番へ、22番の切れ端が9番へと間違ってくっついて、染色体として出来上がってしまいます(このことを転座といいます)。

すると、ありえない形の染色体が2組出来上がることになります。

ありえない形の2組の染色体の中で、もともとは9番染色体にあるはずの「ABL」という遺伝子と、22番染色体にあるはずの「BCR」という遺伝子が一つの染色体上に存在する染色体がCMLでは出来上がります。

本来2本の染色体にそれぞれあったはずの遺伝子が、合体して、1本の染色体上に存在するわけです。これが有名な「フィラデルフィア染色体」というものです。

フィラデルフィア染色体の上にはBCR-ABL融合遺伝子が存在しており、この遺伝子からできる産物は細胞をどんどん増やそうとする働きを持っています(このことを高いチロシンキナーゼ活性を持っている、と専門的に言います。チロシンキナーゼ活性とは細胞分裂を促進させて細胞を増やす働きと理解してください)。

ざっくりいうと、転座して融合した遺伝子の組み合わせが、細胞を増やす働きを持っていたばっかりに細胞が腫瘍性に増殖し、体に害をなしているのです。

http://ganclass.jp/kind/cml/cause/cause.php

慢性骨髄性白血病(CML)の病期

CMLの病期は先ほど症状のところでも述べた通り、慢性期→移行期→急性転化期と進行していきます。

慢性期において、骨髄ではフィラデルフィア染色体由来のチロシンキナーゼ活性によってすべての成熟段階の血液細胞たちが増殖しています。

急性白血病とは異なり、それらは全てちゃんと分化することができるのですが、骨髄で細胞が増えすぎるばっかりに末梢血の方へ未熟な細胞(芽球と言います)のまま出てくることがCMLでは知られています。

慢性期における末梢血の芽球の割合は10%未満と定義づけられています(正常では芽球が末梢血に出てくることはありません)。

移行期を経て、急性転化期になると未熟な芽球の割合が高くなります。末梢血や骨髄での芽球の割合が20%以上になった場合を急性転化期と呼んでいます。

さて、ではなぜ急性転化期では未熟な芽球の割合が増えるのでしょうか。

CMLが進行していくと、フィラデルフィア染色体以外にも様々な染色体異常が付加的に起きていくことが知られています。その中で、偶発的に造血幹細胞の分化能を担う染色体に異常が生じ、分化ができなくなるからCMLが進行すると、より未熟な芽球が増加するのです。

さて、以下にWHOが分類した正式なCMLの病期分類を載せます。

慢性骨髄性白血病(CML)の疫学

日本においてCMLと新たに診断される人数は、1年間に100万に当たり7~10人だそうです(国立がん研究センター 慢性骨髄性白血病 より引用)。発症が多いのは50~60代で、男性にやや多いです。

成人の白血病の20%程度を占めていると言われています。小児にCMLを発症するのは稀です。地域差などは特に認められていません。

慢性骨髄性白血病(CML)の5年生存率

CMLの予後は患者さん個人の状況を良く観察したうえで予測されます。今はイマチニブというチロシンキナーゼ受容体阻害薬が開発されたことで、慢性期のCMLの場合85%は急性転化することなく長期生存することができるようになったと言われています(イマチニブ開発前は通常4年程度で急性転化し、死亡していました)。

不運なことに、イマチニブが効かないタイプのCMLもありますが、第二世代のニロチニブやダサチニブのような薬も開発が進んでおり、これにさらにインターフェロン療法や造血幹細胞移植を行うことで90%以上が長期生存することができる時代になりました。

出典
病気がみえる Vol.5 血液 第二版

http://www.esmo.org/content/download/86945/1603666/file/ESMO-ACF-CML-Guide-for-PatientsJapanese.pdf#search=%27%E6%85%A2%E6%80%A7%E9%AA%A8%E9%AB%84%E6%80%A7%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85+%E5%9C%B0%E5%9F%9F%27

http://ganclass.jp/kind/cml/cause/

http://ganclass.jp/kind/cml/cause/condition.php

http://www.jalsg.jp/leukemia/chronic_myeloid.html

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