急性骨髄性白血病とは

白血病は血液を構成する細胞の異常増殖をきたす疾患で、それは他の臓器で言う所の「がん」です。

血液は血小板、赤血球、白血球などの血液細胞と呼ばれる細胞によって構成されています。これらの細胞たちは、全て骨中心にある骨髄の中で生まれる「造血幹細胞」からできます。幹細胞はまだプロフェッショナルな機能を持っていない未熟な細胞で、まだどの細胞にもなれる可能性を有している細胞です。

造血幹細胞は骨髄の中で増殖していきますが、まだ何の機能も果たさない造血幹細胞ばかりが増えても生体にはなんらメリットがありません。そのため、生体は造血幹細胞に役割を与える訳です。このことを「分化」と言います。

造血幹細胞はまず①骨髄系幹細胞 ②リンパ系幹細胞に分化し、それぞれさらに①-1赤血球、①-2血小板、①-3骨髄芽球、①-4単球、②-1リンパ球、と分化していきます。これがどう白血病と関係しているのかというと、白血病の分類はどの細胞がどの成長段階で、どういったパターン・速度で増殖するのかをもとにして分類しています。

今回説明する急性骨髄性白血病は、上記の①-③にあたる骨髄芽球が何らかの原因によって異常に増殖する病気です。例えば、もし増える細胞がリンパ球だったら急性リンパ性白血病という、また別の疾患になるわけです。

また、急性というのは血液細胞の分化能に異常が起きて、骨髄芽球から先へ分化ができないことを示しています。分化ができないので、増えてしまっているわけです。一方で慢性骨髄性白血病という病気は、血液細胞の分化には異常が見られず、増殖能に異常があるために骨髄芽球が増えてしまう病態です。

http://ganjoho.jp/public/cancer/AML/index.html

急性と慢性の違い:分化できるかできないかの違い。急性は分化ができないから幼弱な白血病細胞が大量に増殖し、慢性は分化できるけど増殖能が高すぎるために正常に比べて多くの血液細胞が出現する(幼弱なものを含む)。

骨髄性とリンパ性の違い:増殖するのが骨髄系の細胞か、リンパ系の細胞かの違い。

急性骨髄性白血病の症状、原因

急性白血病の症状には、下記の2種類があります。

造血障害では、成熟して血液細胞としての役割を果たしてくれる細胞が減ってしまうことが原因で引き起こされます。(出血傾向は血小板減少によりますし、易感染性は外界からの異物や寄生虫を排除してくれる白血球が減ってしまうことが原因です。貧血は酸素を運ぶ赤血球が減ってしまうことが原因ですね)。

出血傾向に関しては、播種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation : DIC)を合併すると、顕著な出血傾向をきたすことが知られています。以下に理由を説明します。

DICは急性前骨髄性白血病に合併することがよく知られている疾患です。急性白血病ですと、白血病細胞の中にある血液を凝固させる物質によっていったんは凝固が亢進するのですが、その働きが長く続いてしまうために凝固因子が次第に減少します(凝固因子が足りなくなるわけです)。

さらに、血液凝固がいったん亢進してしまったがゆえに、代償性に血液をサラサラにしようという働きが強まります(線溶といいます)。

凝固と線溶が釣り合っているうちは良いですが、凝固が弱まり、線溶系が亢進したままになると、けがをして出血したところがなかなか治らない(=出血傾向)という病態を呈するわけです。これが、急性白血病とDICを合併した際に顕著にみられるのです。

造血障害は比較的早期の急性白血病によくみられます。一方で、臓器浸潤の方は診断までの期間が遅れた急性白血病で起こります。造血障害→臓器浸潤という時系列です。

臓器浸潤は骨髄の中で白血病細胞が増殖しすぎて、そこにはとどまりきれなくなった白血病細胞たちが行き場を探して本来存在しないはずの臓器に浸潤していくことです。浸潤先は様々で、脾臓、肝臓、リンパ節、皮膚や脳髄膜まで浸潤することもあります。

脳髄膜へ浸潤すると中枢神経症状をきたし、肝臓や脾臓、リンパ節に浸潤すれば、浸潤先の臓器が腫大します。

急性骨髄性白血病の原因

急性骨髄性白血病は、小児の場合は遺伝子異常が原因として知られています。どの遺伝子に問題があったかで急性骨髄性白血病はM0~7まで分類されています。

例えば、M3(急性前骨髄球性白血病)を例にとって説明します。なぜM3なのかというと、前述したDICとの合併で早期死亡のリスクの高い亜型だからです。M3はt(15;17)転座によってPML-RARαというレチノイン酸の受容体に異常をきたします(転座については分子生物学的な話になるので詳しい説明は避けます)。

レチノイン酸は前骨髄球がさらに分化するのに必要であることが知られており、その受容体に異常がきたされることでM3の患者さんでは前骨髄球が分化できなくなり、異常増殖してしまうのです。

他にも、M2ではt(8;21)転座、M4ではinv(16)など、様々な遺伝子異常をきたすことで発症することが知られています。

一方で、成人になってからの発症の場合では、遺伝子異常というよりもむしろ環境要因での発症が多くなります。例えば、喫煙者であること、過去に放射線療法や化学療法を受けたことがある人、過去に急性リンパ芽球性白血病にかかったことのある人、原子爆弾による化学物質に暴露されたことがある人等です。

原子爆弾が落とされた広島、長崎では実際に急性白血病の頻度が上がったことが明らかにされています。

急性骨髄性白血病の病期

急性骨髄性白血病では病期という概念はありません。発症してしまった時点で、白血病細胞は血液に乗って全身に存在しているわけですから、病気の程度、ということは概念づけられていないのです。

その一方、臓器浸潤をきたしているかいないかによって、治療方針は変わってきます。治療方針は臓器浸潤の有無の他にも、病型分類によっても決定されます。先ほど述べたM0~7のことです。

原因となる遺伝子が違い、増えている細胞も微妙に違っていたりするので、各病型にあった治療を行います。

急性骨髄性白血病の分類

先ほど述べたM0~7の分類はFAB分類と呼ばれています。現在ではFAB分類をもとにしたWHO分類の方が良く用いられているのでそちらで説明します。以下の通りです。


出典
病気がみえる Vol.5 血液 第二版

http://www.jalsg.jp/leukemia/acute_leukemia.html

http://ganclass.jp/kind/aml/what.php#Link01

http://ganjoho.jp/public/cancer/AML/index.html

https://www.jshct.com/guideline/pdf/2009AML.pdf#search=%27%E6%80%A5%E6%80%A7%E9%AA%A8%E9%AB%84%E6%80%A7%E7%99%BD%E8%A1%80%E7%97%85+%E5%88%86%E9%A1%9E+EHO%27
http://ganjoho.jp/public/cancer/AML/diagnosis.html

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