慢性リンパ性白血病の標準治療

慢性リンパ性白血病は慢性に進行していく疾患で、Rai分類やBinet分類にも挙げた通り病期によって生存期間に幅が生じる疾患です。と同時に完全に治癒することが難しい疾患でもあります。

ですので、治療の方針としましては(一部の若年者例を除いて)なるべく低リスクの状態を維持することで長期生存の可能性を上げる、という方針になります。

慢性リンパ性白血病の患者さんは高齢者の方が多いので、症状緩和やコントロールが治療の目的になります。

以下に個人のタイプ別の治療方針をまとめますが、「活動性」という言葉の定義について先に説明します。

これらの病態を認めた場合に活動性がある慢性リンパ性白血病である、といいます。

慢性リンパ性白血病の治療アルゴリズム

①無症候または早期の慢性リンパ性白血病(活動性の無いRai分類の低・中リスクと判定されたもの or 活動性の無いBinet分類のA・B期と判定されたもの)

 →治療を開始しても生存期間の延長に寄与しないため経過観察が推奨されています。むしろ早期に多剤併用療法を行うことで二次的に発癌する可能性もあるため推奨されていません

②活動性兆候が見られたり、進行期(活動性のあるRai分類の低・中リスクと判定されたもの or 活動性のあるBinet分類A・B期と判定されたもの)になったりした場合において、多剤併用療法や免疫化学療法がその患者さんに用いることができるか判定したうえで可能であると判定されたもの

 →フルダラビン(FLU)とシクロホスファミド(CPA)を併用したFC療法というものを行います

フルダラビンは代謝拮抗薬に分類される抗がん剤で、癌細胞が増えていく段階で必要とする酵素の働きを阻害してあげることで癌細胞が増殖できなくします。

シクロホスファミドはアルキル化薬に分類される抗がん剤で、細胞が増えていく段階で、自分のDNAという遺伝情報を複製する必要があるのですが、この段階で複製に必要な核酸という物質の合成を阻害することで癌細胞を死滅させる効果があります。FC療法ではこの両者の効果を期待して投薬します。

②-2上記②で併用療法が可能であると判断されたうち、17番染色体の短腕(染色体は短い方と長い方のセットになっていて、今回の場合は短い方において)に欠失が生じている場合(予後不良な染色体異常を保有している場合)

 →FC療法を行っても予後不良であることが分かっているため、同種幹細胞移植を検討します。移植が可能であれば同種幹細胞移植の適応。

不可能であればアレムツズマブ(分子標的薬で慢性リンパ性白血病でなどの免疫細胞上に発現している受容体に対する特異的な薬です)やBSC(Best Supportive Care)という緩和医療、経過観察も視野に入れます。

同種幹細胞移植の不可能例を難治性慢性リンパ性白血病とも言います。

②-3上記②で併用療法を行ったが、再発、もしくは治療に対して抵抗性を示した場合

 →救援療法を行います。救援療法によって部分奏功まで達しなかった患者さんにおいては、BSCや緩和療法に移行します。救援療法によって部分奏功、もしくは完全奏功に達することができた患者さんに対しては続いて同種幹細胞移植の適応となります。

③多剤併用療法が不可能であった場合
 →アレムツズマブ単独療法、フルダラビン単独療法、シクロホスファミド単独療法、減量FC療法など、標準の慢性リンパ性白血病では用いることの無いアルキル化剤や原料多剤併用化学療法を考慮します。

④自己免疫性溶血性貧血を合併した場合
 →プレドニゾロンというステロイド薬の適応になります。慢性リンパ性白血病に自己免疫性溶血性貧血を合併したもの以外に、慢性腎不全や膠原病などの時にも用いるお薬です。

慢性リンパ性白血病ではその人のステージや染色体異常の有無、治療抵抗性を示すか否かなど複合的な要因を考慮したうえでの治療が選択されています。

慢性リンパ性白血病の化学療法

先ほどの標準療法の項でも述べましたが、慢性リンパ性白血病ではFC療法(フルダラビンとシクロホスファミド)が最も一般的です。

ですがこの他にも、ベンダムスチン(抗がん剤の一つで、アルキル化作用によって癌細胞のDNAに損傷を与えたり、アポトーシス(細胞が計画的に自殺すること)を誘導したりすることで抗腫瘍効果を示す薬です)やリツキシマブと呼ばれる分子標的薬(B細胞を特異的に消失させるお薬です)なども用いられることがあります。

慢性リンパ性白血病の同種幹細胞移植

同種幹細胞移植は、慢性リンパ性白血病の治療法として推奨はされていませんが、予後不良となる染色体異常を持っている場合や、救援療法によって部分奏功、完全奏功に達することができた場合など、ケースバイケースで長期予後を改善する治療法として考慮されます。

標準的な治療法としては現在用いられていません。

以上の慢性リンパ性白血病の治療アルゴリズムを大まかにまとめると、

経過観察→注意深い経過観察→治療開始

という流れで、それぞれの病期ごとに、経過観察にするのか、治療を開始するのかを決定します。慢性リンパ性白血病であることが確定しても、すぐには治療を開始しないところが他の臓器のがんとは少し違うところです。

出典
病気がみえる Vol.5 血液 第二版

http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_5.html

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