急性リンパ性白血病とは

白血病は血液を構成する細胞の異常増殖をきたす疾患で、それは他の臓器で言う所の「がん」です。

血液は血小板、赤血球、白血球などの血液細胞と呼ばれる細胞によって構成されています。これらの細胞たちは、全て骨中心にある骨髄の中で生まれる「造血幹細胞」からできます。幹細胞はまだプロフェッショナルな役割を持っていない未熟な細胞で、まだどの細胞にもなれる可能性を有している細胞です。

造血幹細胞は骨髄の中で増殖していきますが、まだ何も役割を持たない造血幹細胞ばかりが増えても生体にはなんらメリットがないですよね。ですから生体は造血幹細胞に役割を与える訳です。このことを「分化」と言います。

造血幹細胞はまず①骨髄系幹細胞 ②リンパ系幹細胞に分化し、それぞれさらに①-1赤血球、①-2血小板、①-3骨髄芽球、①-4単球、②-1リンパ球、と分化していきます。

http://ganjoho.jp/public/cancer/ALL/index.html

これがどう白血病と関係しているのかというと、白血病の分類はどの細胞がどの成長段階で、どういったパターン・速度で増殖するのかをもとにして分類しています。

今回説明する急性リンパ性白血病では、上記②-1のリンパ球系の細胞が何らかの理由によって異常に増殖する疾患です。この時の理由は主に遺伝子異常であると言われています。

似たような疾患にリンパ芽球性リンパ腫という腫瘤形成性の疾患があります。急性リンパ性白血病もリンパ芽球性リンパ腫も、どちらも幼弱なリンパ芽球が腫瘍性に増加し、病理像も共通した像を見る疾患です。そのためWHO分類では同一疾患として扱われています。

では全く同じ病気なのですか、と言われるとそうではなく、両者の違いはしっかりと定義づけられています。

急性リンパ性白血病:骨髄でのリンパ芽球の割合が25%以上、または末梢血や骨髄に腫瘍細胞が広範に浸潤している場合

リンパ芽球性リンパ腫:骨髄でのリンパ芽球の割合が25%以下、または病変が腫瘤性で末梢血や骨髄に明らかな腫瘍細胞の浸潤を認めない場合

そのほか、急性リンパ性白血病では中枢神経やリンパ節に浸潤しやすい一方、リンパ芽球性リンパ腫では皮膚や骨、縦隔に浸潤しやすいという特徴があります。

急性リンパ性白血病の分類

分類して表にしたものが上表です(WHO分類第4版)。リンパ球の中でもB細胞性のものが増える場合と、T細胞性のものが増える場合で分類してあります。

急性リンパ性白血病の症状

急性リンパ性白血病は症状の進行が速く、また、症状の出現も急であることが多いので早期の発見、治療が必要になってきます。

症状は急性白血病ですので、造血障害によるものと臓器浸潤によるものの2種類がみられます。

急性骨髄性白血病とほとんど症状は同じですが、急性リンパ性白血病の方が中枢神経浸潤をきたしやすいです。

急性リンパ性白血病の原因

急性リンパ性白血病の原因はいまだに解明中ですが、一つ挙げられるのは染色体異常です。最も多い染色体異常は高2倍体というものです。正常では人の染色体は46本ですが、50本になるなど通常よりも多い染色体の本数になるのが高2倍体です。

これの次に多いのがt(12;21)、つまり12番染色体と21番染色体の転座です。12番と21番の染色体の一部が切れ、再結合先を誤るのが転座です(12番染色体の一部が21番染色体の一部として結合してしまうということです)。

高2倍体とt(12;21)は抗がん剤が奏功するためこの2つの方の急性リンパ性白血病であれば標準的な治療で治癒率が高くなる傾向にあります。

一方で、慢性骨髄性白血病の主な原因になるフィラデルフィア染色体ができるタイプでも急性リンパ性白血病になる場合がありますフィラデルフィア染色体はt(9;22)で生じるBCR-ABL融合遺伝子によって血液細胞が異常増殖を引き起こすことで問題になります。

また、乳児の白血病で多いMLLという遺伝子異常では、一昔前までは、普通の化学療法では治らないとされ、前例が骨髄移植を行っていましたが、近年の医療の進歩によってこれらの方の急性リンパ性白血病でも薬物療法での治療を目指す方向になってきました。

急性リンパ性白血病の病期

急性骨髄性白血病と同様、急性リンパ性白血病では病状が急激に進行していくので、病期ステージ)という概念はありません。ですが治療方針を決定するうえでの便宜上の病期を以下に示します。

①未治療期(初発期)
 発見されたばかりでまだ治療が開始されていない段階です。
寛解
 化学療法が奏功して血液細胞の数が正常レベルまで落ちた状態です。検査可能な範囲で
の白血病細胞は消失し、症状もなくなります。
③再発期
 治療によって一度は寛解したけれど、また白血病が出現した状態です。骨髄での再発が最も多いです。
④不応性
 治療を行っても寛解にならない状態のことです

急性リンパ性白血病の疫学・統計

急性リンパ性白血病は急性骨髄性白血病に比べて小児に好発します。成人に見られるのは稀で、1年間での発症率は10万人当たり1人程度であると言われています。

急性リンパ性白血病の生存率・予後因子

急性リンパ性白血病の長期生存率は、成人では15%~35%である一方で小児では約80%となっています。予後を決定する因子には年齢(若いほど予後良好)、診断時の白血球数(少ないほど予後良好)、完全寛解までにかかった時間(4週間を境に短いほど予後良好)、染色体異常(高2倍体やt(12;21)であれば予後良好、フィラデルフィア染色体では予後不良)などが挙げられます。

一般に予後不良と定義されるのは

・30歳以上
・診断時の白血球数がB細胞のもので3万/μL以上
・寛解までの期間が4週間以上
・フィラデルフィア染色体などの特定の染色体異常がある

などです。フィラデルフィア染色体は成人の急性リンパ性白血病の25%でみられますが最大の予後不良因子であると言われます。一方で小児では予後良好の染色体異常が多いです。また、小児では1歳未満、もしくは10歳以上で予後不良とされます。

出典
病気がみえる Vol.5 血液 第二版
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000629.html

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