サイラムザ、「がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がん」の追加承認を取得胃がん・大腸がん・肺がんに続く4つ目の承認


  • [公開日]2019.06.24
  • [最終更新日]2019.09.10
この記事の3つのポイント
血管内皮細胞増殖因子受容体2に対するヒト型モノクローナル抗体であるサイラムザ
・がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がんに対する適応を取得
・今回の追加で胃がん、結腸・直腸がん、非小細胞肺がんに続き、部位別では4つ目の承認

6月18日、日本イーライリリー株式会社は、抗悪性腫瘍剤サイラムザ(一般名ラムシルマブ)について、「がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞がん」に対する治療薬として、適応追加の承認を取得した。

今回の承認取得は国際共同、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、第3相REACH-2試験の結果に基づくもの。同試験では、ソラフェニブ不耐容またはソラフェニブによる治療中もしくは治療後に増悪した切除不能な肝細胞がん患者のうち、ベースライン時の血清AFP値が400ng/mL以上の患者292例(日本人症例59例を含む)を対象に、best supportive care(BSC)との併用においてサイラムザとプラセボとを比較した。

同試験では、サイラムザ8mg/kgまたはプラセボ2週間に1回投与し、病態の悪化などが認められるまで継続。その結果、主要評価項目である全生存期間OS中央値はサイラムザ群8.5ヶ月に対してプラセボ群7.3ヶ月、サイラムザ群で死亡(OS)のリスクを29%統計学的有意に減少(ハザード比:0.710,95%信頼区間:0.531-0.949,p=.0199)した。また、日本人患者101人(サイラムザ群61人、プラセボ群40人)を対象とした解析結果では、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はサイラムザ群10.78ヶ月に対してプラセボ群4.47ヶ月(HR:0.555,95%信頼区間:0.348-0.885,P=0.0124)だった。

日本イーライリリーの研究開発本部本部長吉川彰一氏は、今回の承認について次のように述べている。「サイラムザはこれまでに胃がん、結腸・直腸がん、肺がんの治療薬として承認を受け、患者さんに届けられてきました。このたび、肝細胞がんの患者さんにもサイラムザという新たな治療選択肢を提供できることを大変誇りに思います」

サイラムザとは

血管新生阻害剤であるサイラムザは、がんの増殖および転移に関わる血管新生において重要な働きを示す血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体2に対するヒト型モノクローナル抗体。日本国内においては、これまでに「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」の適応を取得している。

サイラムザの詳しい情報はこちら⇒オンコロ 薬剤「サイラムザ(ラムシルマブ)」

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AFP値400ng/mL以上の進行性肝細胞がん日本人患者に対する2次治療としてのサイラムザ、全生存期間を改善(ASCO GI 2019)
ネクサバール治療歴のあるAFP値400ng/mL以上の進行性肝細胞がん患者に対する二次治療としての抗VEGF抗体薬サイラムザ、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)ともに統計学的有意に改善する(ASCO 2018)

参照:
日本イーライリリー株式会社 プレスリリース

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