中皮腫の治療選択に至るまで


  • [公開日]2017.08.08
  • [最終更新日]2018.01.11

中皮腫の治療選択に関する課題

悪性中皮腫は治りにくく治療が難しい病気の1つで、治療法はまだ確立されていません。治療は、外科療法(手術)、放射線療法、化学療法抗がん剤)などがあります。どのような治療を行うかは、病状(病期)や全身状態を考慮して決定されます。

標準的治療(現在用いられている治療法)のほかに、臨床試験で検証する治療もあります。治療法に関する臨床試験は、すでに行われている治療法の改善や患者さんの新しい治療法に対する情報を得るために実施されます。
臨床試験の結果、現時点で標準となっている治療法よりも新しい治療法が良いことが示された場合には、その新しい治療が今後の標準的治療になることもあります。

近年、欧米で上皮型や播種病変が限局している場合に、腫瘍減量手術と腹腔内化学療法、温熱化学療法の併用で治療効果が高いことも報告されています。しかし、現時点で化学療法単独と比較してどちらが優れているかは分からないこと、治療法が複雑なためどの施設でも行っている治療ではないなどの点は注意が必要です。

中皮腫の治療法が決まるまで

中皮腫は、発生部位、組織型などによって治療方法が大きく異なります。治療方法を決めるためには、細胞診生検で正確な診断を得ることが重要です。

悪性腹膜中皮腫は根治が難しい疾患であり、手術や放射線などの治療の効果は限定的とされています。薬物療法として、化学療法 (抗がん剤治療)が治療の主軸のひとつとなっています。悪性腹膜中皮腫に限った治療の研究は多くなく、人数の多い悪性胸膜中皮腫の研究結果に基づいて治療が行われることが多いです。

悪性腹膜中皮腫に限って承認されている抗がん剤は今のところないため、悪性胸膜中皮腫に承認されているペメトレキセドシスプラチンなどの併用化学療法が使用されることが多いです。

治療法としては、病変がー側の胸腔内に限局していれば手術(胸膜切除/胸膜剥皮術、胸膜肺全摘術)を行います。ただ、再発率が高いので放射線照射が併用されることもあり、悪性細胞の播種、浸潤を予防するために、ドレーン挿入部や胸腔鏡挿入部に放射線照射を施行します。
手術適応がない場合には化学療法を行います。現時点で治療法は十分に確立されていないので、診断と治療選択がともに難しく、専門機関に相談することが推奨されます。

参考資料:
レジデントのための呼吸器内科ポケットブック(2012)
呼吸器疾患 (コメディカルのための最新医学講座 第2巻)(2005)
メルクマニュアル第18版
ワシントンがん診療マニュアル第2版

ウェブサイト:
国立がん研究センター希少がんセンター
http://www.ncc.go.jp/jp/rcc/01_about/mesothelioma/index.html
http://www.ncc.go.jp/jp/rcc/01_about/peritoneal_mesothelioma/index.html
がん情報サービス
http://ganjoho.jp/public/cancer/mesothelioma/treatment.html

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