手術(外科治療)

手術は根治を目的に、がんが限られた範囲にとどまり、全身状態が手術に耐えられ、術後の呼吸機能が保たれる場合に実施されます。がん病巣の部分だけでなく、病巣のある肺葉や周囲のリンパ節なども一緒に取り除くのが一般的です。

手術は、体内のがんをすべて切除し取り除く(根治)ことが可能ですが、術後に肺炎、肺塞栓、膿胸、気管支瘻ろう、声のかすれ、無気肺などの合併症を生じることもあります。しかし、合併症のリスクは対策を講じればある程度減らすことができます。根治が期待できるならば、手術は第一に考えるべき有効な治療です。

一般的に、がんが限られた範囲にとどまっている場合、非小細胞肺がんではⅠ期、Ⅱ期(ときにⅢA期)に、早期から転移しやすい小細胞肺がんではⅠ期のみに手術がすすめられます。ただし、手術で根治が望めても、手術自体の負担により全身状態が悪化したり、術後に十分な呼吸機能を保てなかったりする場合は、手術以外の方法を検討します。手術は全身麻酔で行われます。

最近、早期がんでは胸腔鏡を併用して小切開で行われるようになっていますが、通常、背中から体の外側にかけて7~15cmくらい皮膚を切開(後側方切開)して胸を開けます。続いて、肋骨と肋骨の間の筋肉を切り開き、がん病巣と病巣のある肺葉や周囲のリンパ節など(リンパ節郭清)を一緒に切除します。肺は右が3つ、左が2つの肺葉に分かれており、がんの状態によって、1つ以上の肺葉、あるいは片肺すべて(一側肺全摘)を切除します(標準手術)。ただし、全身状態や術後の呼吸機能を考慮し、切除範囲を狭めることがあります。

術後2~4日間は、肺を取ったところに溜まる血液や体液、空気を体外に出す目的で、胸腔内にドレーンと呼ばれる管を挿入します。とくに問題がなければ、手術の翌日から酸素吸入が不要になり、食事、歩行が可能で、2週間前後で退院できます。根治率を高めるために術後補助化学療法が行われることも踏まえて、術後合併症を防ぎ、回復を早めるためにも早くベッドから起き上がり、歩行や腹式呼吸などのリハビリに努めることが大切です。

本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい 肺がんのこと」より抜粋・転記しております。


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