神経膠腫(グリオーマ)とは

神経膠腫とは脳の細胞である神経膠細胞(グリア細胞)に似ている性質を持った腫瘍を総称していいます。神経膠細胞は神経細胞(ニューロン)とともに脳を構成している神経細胞ですが、約9割が神経膠細胞で構成されています。

神経膠細胞はニューロンとニューロンの間を埋めて立体構造をつくる役割や栄養補給を行う役割があり、脳の情報伝達が滞りなくできるようにしています。神経膠細胞には3つの種類があります。

星性状膠細胞(アストロサイト)とは

神経膠細胞の中で最も多い細胞で星の形をした突起があり、ニューロンや脳内の毛細血管と接合してニューロンが複雑につながって立体構造ができるように補助しています。また血液中の不要物が脳の中へ入らないように血液脳関門の役割も担っています。

希突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)とは

ニューロンは情報伝達を電気信号で行っていますが、電気信号が外へ漏れることのないように髄鞘という脂質でできた膜で覆われています。この膜を供給しているのが希突起膠細胞なのです。

小膠細胞(ミクログリア)とは

小膠細胞は死滅あるいは傷ができたり、炎症を起こしたり、ニューロンを取り込んで処理する役割を担っています。

神経膠腫は脳の組織から発生する原発性脳腫瘍の中で発症率が最も高く、比較的悪性度が低いものから予後が悪い悪性度が高いものまで様々な種類があります。神経膠腫の中には治療にうまく反応しない種類や、再発する可能性が高い種類の腫瘍があります。

神経膠腫がどのように発症するのか特定の原因は現在明らかになっていませんが、医学研究によって遺伝子の突然変異が関係していることがわかっています。

IDHという哺乳動物が持っている遺伝子が突然変異することで、神経膠腫を発症すると考えられています。IDHは神経膠腫だけではなく、軟骨性の腫瘍、急性骨髄性白血病、甲状腺がん、胆管がんの発症にも関わっています。

また神経膠腫は小児でも発症する病気のひとつです。成人と同じように遺伝子変異が原因だと考えられています。

神経膠腫(グリオーマ)の種類

神経膠腫は腫瘍細胞をもとにした病理診断で細かく分けると100種類以上の腫瘍があります。神経膠腫は悪性腫瘍に分類され、星細胞腫、乏突起神経膠腫、上衣腫、膠芽腫などがあります。

神経膠腫は脳の中にできる腫瘍のため、周囲の組織に広がっていく浸潤性発育をするという特徴があります。神経膠腫の種類や腫瘍ができる場所によって、出現する症状も違ってきます。

星細胞腫とは

ローグレードグリオーマと呼ばれることがあります。成人男性の大脳半球にできることが多く、最も多くできる部位が前頭葉、次いで側頭葉、頭頂葉となっています。小児の場合は脳幹にできる場合があります。

痙攣と頭痛が出現するのが症状の特徴で、腫瘍が成長して症状が進行すると片麻痺が出現することがあります。星細胞腫は再発する可能性が高い神経膠腫で、半年に1回MRIを行って継続して検査し再発の早期発見をすることが重要となります。

乏突起神経膠腫とは

20歳代から50歳代に発症し痙攣が特徴的な症状で、小児に発症することもあります。痙攣の他に頭痛、人格の変化、失語や麻痺が出現します。乏突起神経膠腫の50%以上が大脳の前頭葉の脳の表面近くに発生します。

CT検査を行うと腫瘍部分にカルシウムが沈着す石灰化が見られますが、確定診断のためには手術で腫瘍組織を採取して病理診断をすることが必要です。

退形成星細胞腫とは

星細胞腫と同様に星状細胞から発生する神経膠腫で、星細胞腫よりも悪性度が高い腫瘍です。成人の大脳半球に発生し、症状の特徴は痙攣です。短期化に症状が悪化する腫瘍でもあります。

周囲の組織へ浸潤するため、手術で完全に摘出することは難しく星細胞腫と同じように再発しやすい腫瘍なのです。他の臓器への転移はほとんどありません。

退形成乏突起神経膠腫とは

40歳代から50歳代に発症しやすい、乏突起神経膠腫よりも悪性度が高い腫瘍です。乏突起神経膠腫と同様に痙攣が特徴的な症状で、大脳の前頭葉や側頭葉に発生しやすいです。乏突起神経膠腫ができた7~8年後に退形成乏神経膠腫が発生することが多いです。

CTやMRIの画像診断に加えて、確定診断には腫瘍組織を採取する病理診断が欠かせませんが近年はLOH解析という染色体の検査も活用されています。退形成乏突起神経膠腫は染色体を調べると1番染色体短腕(1q)と19番染色体長腕(19q)が欠損している特徴があり、さらに1qと19qが欠損していることが予後良好な因子であることもわかっています。

膠芽腫とは

膠芽腫は神経膠腫の中で最も悪性度が高い腫瘍です。45歳から65歳の男性に発症し、大脳の前頭葉や側頭葉に多く発生します。初めて腫瘍ができた時にすでに膠芽腫の所見がある一次性膠芽腫と星細胞腫などが悪性化してできる二次性膠芽腫があります。

周囲組織への浸潤が強いため脳の神経線維に沿って腫瘍は広がっていき、脳脊髄液に腫瘍細胞が入ってしまうことがあります。脳脊髄液に腫瘍細胞が入ると全ての脊髄に広がってしまいます。

症状は頭痛、痙攣、人格の変化、麻痺や認知症症状ですが、悪性度が高いため症状の進行が早いと数週間で症状が悪化する場合もあります。

神経膠腫(グリオーマ)の統計・グレード・5年生存率

脳腫瘍の約30%が神経膠腫と診断されており、日本では年間4,000人が罹患しています。神経膠腫の中でも星細胞腫が全神経膠腫の約30%を占めており、原発性脳腫瘍の8%となっています。

退形成星細胞腫は全神経膠腫の約15%を占めており、原発性脳腫瘍の約5%となっています。乏突起神経膠腫は原発性脳腫瘍の2.5%、退形成乏突起神経膠腫は0.2%を占めています。悪性度が最も高い膠芽腫は前神経膠腫の36%で、原発性脳腫瘍の9%となっています。

通常脳腫瘍は悪性度別にⅠからⅣのグレードで分類しており、神経膠腫も同じようにグレードで分類しています。ローマ数字が大きくなるほど悪性度が高くなります。神経膠腫は全てが悪性に分類されているため、神経膠腫のグレードはⅡからⅣとなっています。

グレードⅡ:星細胞腫、乏突起神経膠腫
グレードⅢ:退形成星細胞腫、退形成乏突起神経膠腫
グレードⅣ:膠芽腫

神経膠腫の5年生存率は腫瘍の種類で異なります。以下を参照してください。


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