脳腫瘍の検査と診断
脳腫瘍の検査はCTやMRIを使って主に行われます。また、PETを使って検査することもあります。
CTはX線を使って身体の内部を画像化する検査です。ドーナツ型の機材の内側にあるX線を放射する部分とX線を検知する部分が向かい合っているので、機材が身体の周りを回転することで、身体の断面をみることができます。
MRIは強い磁気を使って身体の内部を投影する検査です。X線を使わずに検査ができますし、特に脳や血管は細やかな検査が可能です。
PETはがんを検出する検査薬を使用して画像的評価を行う検査です。身体に投与した検査薬はがん細胞に目印をつけることができるので、全身のがんを一度に発見することができる検査なのです。
これらのCT、MRI、PETを活用して腫瘍が良性か悪性か、腫瘍の場所はどこなのか、どのくらいの大きさなのかを把握します。
脳腫瘍の診断はCTなどを用いた画像診断と実際の腫瘍組織を顕微鏡で確認する病理診断があります。画像診断で脳腫瘍の種類などを特定しますが、最終的には病理診断をしなければ脳腫瘍の分類を確定できないのです。そのため手術の時に組織を採取して手術中に病理診断が行われることもしばしばあります。
グレードと種類・分類について
脳腫瘍は悪性度別にⅠ~Ⅳのグレードに分かれており、グレードⅣが最も悪性度が高い腫瘍となっています。脳腫瘍のグレードは以下の通りです。
グレードⅠ:顕微鏡で細胞を確認すると、細胞の形は正常細胞とよく似ており、良性腫瘍がこれに分類されます。周辺の組織に広がることはまれで、グレードがⅡ~Ⅳの腫瘍よりも進行が緩やかです。グレードⅠの腫瘍は手術で完全に摘出することで、完治することが可能なケースが多いです。
グレードⅡ:周辺の組織や再発する可能性がある腫瘍細胞で、グレードⅢとⅣよりも進行は緩やかです。しかしながらいくつかの腫瘍細胞は悪性度の高い腫瘍になることもあります。
グレードⅢ:グレードⅠ~Ⅱの腫瘍細胞に比べて進行が急速になります。顕微鏡で細胞を確認すると細胞の形は正常細胞とは大きく異なり、周辺組織に広がったり再発したりする可能性が高いグレードです。
グレードⅣ:最も悪性度が高く、腫瘍の進行はグレードⅢよりもさらに急速です。顕微鏡で細胞を確認すると、腫瘍細胞の形は正常細胞の形と大きく異なり死滅した細胞を含むことがあります。グレードⅣの腫瘍は治癒させることは難しいのが現状です。
脳腫瘍の種類は以下のようになっています。
星細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体線種は良性に分類されますが、星細胞腫は悪性に変わることがあるので注意が必要です。毛様細胞性星細胞腫、乏突起膠細胞系腫瘍、膠芽腫や髄芽腫は悪性に分類されます。膠芽腫と髄芽腫はグレードⅣに分類されている脳腫瘍です。