急性骨髄性白血病に維持療法としての経口アザシチジン単剤療法、全生存期間を統計学有意に延長The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2021.01.14
  • [最終更新日]2021.01.14
この記事の3つのポイント
・55歳以上の急性骨髄性白血病患者が対象の第3相試験
・経口アザシチジン単剤療法有効性安全性を比較検証
全生存期間は24.8ヵ月、無再発生存期間は10.2ヵ月でプラセボ群に対して統計学的有意に改善

2020年12月24日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法としての経口アザシチジン(CC-486)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のQUAZAR AML-001試験(NCT01757535)の結果がAlfred Hospital and Monash UniversityのAndrew H. Wei氏らにより公表された。

QUAZAR AML-001試験とは、初回化学療法にて寛解を達成した55歳以上の急性骨髄性白血病(AML)患者(N=472人)に対する維持療法として28日を1サイクルとして1日1回経口アザシチジン(CC-486)300mg単剤療法を14日間投与する群(N=238人)、またはプラセボ療法を投与する群(N=234人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無再発生存期間(RFS)などを検証したプラセボ対照二重盲検下の第3相試験である。なお、経口アザシチジンは低メチル化剤であり、注射用のアザシチジンと生物学的に同等ではない。

本試験が開始された背景として、初回化学療法にて寛解を達成した高齢急性骨髄性白血病(AML)患者は再発が多く、その予後は不良である。以上の背景より、急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法としての経口アザシチジン(CC-486)単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が検証された。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は経口アザシチジン(CC-486)群の24.7ヵ月に対してプラセボ群は14.8ヵ月であり、死亡(OS)のリスクを統計学有意に改善した(P<0.001)。

副次評価項目である無再発生存期間(RFS)中央値は経口アザシチジン(CC-486)群の10.2ヵ月に対してプラセボ群は4.8ヵ月で、再発または死亡(RFS)のリスクを統計学有意に改善した(P<0.001)。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)のうち、グレード1~2の有害事象(AE)としては消化器関連であった。また、グレード3~4の有害事象(AE)としては好中球減少症が経口アザシチジン(CC-486)群で41%、プラセボ群で24%、血小板減少症が経口アザシチジン(CC-486)群で22%、プラセボ群で21%であった。

以上のQUAZAR AML-001試験の結果よりAndrew H. Wei氏らは「初回化学療法にて寛解を達成した急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法として経口アザシチジン(CC-486)単剤療法は、プラセボ療法に比べて全生存期間(OS)、無再発生存期間(RFS)を統計学的有意に改善しました。また、主な有害事象(AE)は消化器関連有害事象(AE)、好中球減少症、血小板減少症でした」と結論を述べている。

Oral Azacitidine Maintenance Therapy for Acute Myeloid Leukemia in First Remission(N Engl J Med. 2020 Dec 24;383(26):2526-2537. doi: 10.1056/NEJMoa2004444.)

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