本ページは、国立がん研究センター中央病院の治験調整医師 森實千種からの委託による治験広告となります。また、治験を実施する実施医療機関の審査・承認を受けたものを掲載しております。
はじめに
本治験は
BRAF融合遺伝子陽性の進行・再発の低悪性度神経膠腫または膵癌の方を対象としたビニメチニブの第II相医師主導治験です。
治験参加にはメリット、デメリットがありますので、十分に先生とご相談していただき、ご納得の上でご参加ください。
低悪性度神経膠腫について
低悪性度神経膠腫は、WHO Grade 1または2に分類される脳腫瘍の総称です。
BRAF融合遺伝子の陽性割合が比較的高く、本試験で主な対象となる毛様細胞性星細胞腫(Pilocytic astrocytoma)は、小児から若年成人に発生し、20年生存割合が90%と予後良好な疾患です。しかし、毛様細胞性星細胞腫(Pilocytic astrocytoma)が視神経・視床下部・第三脳室・脳幹・第四脳室などに発生した場合には外科的な全摘出が困難で、特に視神経・視床下部発生例では、手術のみでは5年後に約半数が再発します。
再発例あるいは術後腫瘍残存例に対しては、放射線治療や化学療法が検討されます。化学療法として用いられるカルボプラチンとビンクリスチン硫酸塩との併用投与療法またはビンブラスチン硫酸塩療法は日本では承認されておらず、実臨床では適応外使用申請のもと治療されている現状があります。また、視神経・視床下部・第三脳室・脳幹・第四脳室病変への放射線治療は長期経過後の視野・視力障害、下垂体機能を含むホルモン障害、二次がんなどのリスクを伴うといった問題点があります。
膵癌について
膵癌の多くは浸潤性膵管がんで、早期診断は未だに困難であり、切除不能な進行例で発見されることも多くあります。外科的切除が可能であっても、術後再発割合が高く、治療成績は不良です。治療としては切除可能例には手術が、再発例および切除不能例には化学療法が選択されますが化学療法に反応する確率が低い疾患です。
膵癌の1-2%程度とされる膵腺房細胞がんは、
BRAF融合遺伝子の陽性割合が比較的高いとされています。予後は、膵神経内分泌腫瘍よりは悪いものの、浸潤性膵管がんと比較すると良好です。膵腺房細胞がんに対する標準治療は確立されておらず、通常の浸潤性膵管がんに準じて治療法が選択されることが多く、様々な化学療法が試みられています。
この治験について
低悪性度神経膠腫に対する治療選択肢は限られており、特に手術での摘出が難しい部位に発生する腫瘍に対する新規治療薬開発に関する医療上のニーズは高く、膵腺房細胞がんを含む膵癌においても抗がん剤治療の治療選択肢は限られており、医療上のニーズが高い状況です。
2022年の海外医師主導治験の学会報告において、ONO-7703(ビニメチニブ)が
BRAF融合遺伝子陽性の進行・再発の低悪性度神経膠腫に対し、有効性が得られる可能性が示唆されました。この試験結果を参考に、
BRAF融合遺伝子陽性の低悪性度神経膠腫または膵癌の2がん種の患者さんを対象に、ビニメチニブの有効性を検証する臨床試験を計画、実施することに至りました。
本試験は小野薬品工業株式会社から治験薬等の提供を受けて実施する医師主導治験です。
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治験実施医療機関の所在地(11月20日更新)
治験実施医療機関所在地は以下の通りとなります。
・北海道大学病院(北海道札幌市)
・東北大学病院(宮城県仙台市)
・国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)
・国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)
・京都大学医学部附属病院(京都府京都市)
・九州大学病院(福岡県福岡市)
※IRB承認状況と実際の募集状況により掲載内容は変更されます。
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本治験への参加条件
参加いただける主な条件
・低悪性度神経膠腫または膵癌と診断されている方
・遺伝子パネル検査で
BRAF融合遺伝子陽性である方
・身の回りのことは全てできる
・膵癌では化学療法(抗がん剤)を実施した方
・低悪性度神経膠腫では12歳以上で体重 40 kg以上であること、膵癌では18歳以上である方
参加いただけない主な条件
・過去に、MEK阻害薬による治療を受けられた方
・低悪性度神経膠腫や膵癌以外のがんに現在かかっている方
・網膜静脈閉塞症にかかっていた方
・脳転移、がん性髄膜炎、脊椎転移による臨床症状があるまたは治療が必要である方
・治療が必要な感染症、または肝炎等の活動性感染症を合併している方
・免疫不全症、活動性の消化管潰瘍、間質性肺疾患、高度の心疾患、コントロール不良な静脈血栓、日常生活に支障のある精神病を合併している方
その他にも参加条件があり、医師の診察や検査によって参加可能か判断されます。
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本治験のデザイン
本治験では、参加者全員に治験薬であるビニメチニブを内服して頂き、治験薬の有効性および安全性を調べます。
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本治験で使用するお薬について
ビニメチニブは、MEK阻害薬という分子標的薬の一つです。
BRAF融合遺伝子陽性の細胞株に対してMEK阻害薬が抗腫瘍効果を示すことが基礎データとして報告されています。
BRAF融合遺伝子陽性の固形腫瘍においては、C末端側のBRAFキナーゼドメインが保持されている一方で、N末端側の自己阻害ドメインが失われることでBRAFキナーゼドメインが恒常的に活性化されます。活性化されたBRAFキナーゼドメインが二量体を形成することでMAPK経路の活性化を起こし、腫瘍の増殖を引き起こすことがわかっています。このような二量体を形成するタイプでは、BRAF阻害薬を用いた治療は不適切とされており、MEK阻害薬を用いることで、
BRAF融合遺伝子陽性の低悪性度神経膠腫または膵癌の進行を抑制することが期待されています。
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治験に参加した場合の費用負担について
治験に参加している間の「治験薬」は、小野薬品工業株式会社によって無償で提供されます。通常診療として行われる検査(血液や尿検査、画像検査など)や、診察(初診料や再診料、入院費、治験薬以外の薬剤費など)は通常の保険診療として行われるため、加入している健康保険の規定に従った自己負担分をお支払いいただくことになります。また、本試験参加に伴い、謝礼や交通費(負担軽減費)をお支払いすることはありません。
お申し込み方法
本治験のご参加を希望される患者さんは、まずは主治医の先生に「医療従事者向けページ」のページをご覧いただくようお願いしてください。
主治医の先生へ
主治医(医療従事者)の方はこちらから本治験の詳細とご紹介の流れをご確認ください。
個人情報の取り扱いについて
あなたの個人情報は保護され、あなたの許可するもしくは法律で必要とされる場合を除き、提供された情報は「オンコロ」の当該治験の担当スタッフ、患者さんの担当医、治験実施施設のスタッフのみが共有します。それ以外の人には、あなたの情報が開示されることはございません。
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