• 検索
  • 相談
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • ニュース
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 体験談
  • 辞典
  • お役立ち

患者団体に聞く!一般社団法人 食道がんサバイバーズシェアリングス 代表理事 髙木 健二郎 さん

[公開日] 2024.06.14[最終更新日] 2024.10.11

目次

はじめに

今回お話を伺ったのは、一般社団法人食道がんサバイバーズシェアリングス(食がんリングス)代表理事 髙木 健二郎さん。 酒とタバコを嗜み、モーレツに働いていた48歳で食道がんの告知を受けたときは、ショックを受けるとともに「これで仕事を休める」と思ったとのこと。治療が一通り落ち着いて、罹患後8年経過後に、日本初となる食道がんの患者会を立ち上げられました。 一般社団法人食がんサバイバーズシェアリングス https://www.shokuganrings.com/ YouTube 食がんリングスチャンネル https://www.youtube.com/@shokuganrings/

がん診断と治療の経緯

川上:はじめに、がんの診断から治療までのことを教えて下さい。 髙木:食道がんの告知を受けたのは、2012年3月、48歳のときでした。 食事の際に、ひっかかりを感じていたのですが、当時はかなりお酒を飲んでいたこともあり、胃が荒れているのだろう、と思っていました。ちょうど違和感を感じた1週間後に、毎年会社で受けている人間ドックを予定していたため、そのままにしていました。 その後、ドックで内視鏡検査を受けたところ、腫瘍がみつかり、大きな病院に紹介されたんです。その病院で、食道がんと診断されました。 川上:毎年人間ドックを受けられていたのですね。前年には何も指摘がなく突然食道がん、と言われたということでしょうか。 髙木:そうです。がんについては当時、全く知識がなく、それなりにショックを受けました。 手術が翌週にセットされ、検査等の指示を受け診察室を出て、会社の上司と妻に電話で報告しました。会社の近くの病院だったので、とりあえずタクシーに乗って会社に向かっていたところ、妻から電話があり、手術の予定をキャンセルするよう言われました。知り合いの医師のセカンドオピニオンを受けてほしいと言うのです。少し言い合いになりましたが、忠告に従い、診断を受けた病院から検査の資料等を返してもらい、妻から勧められた病院に行きました。 その病院では、まず抗がん剤を2クールやってから手術、と提示され、最初の病院と治療方針が違ったことに驚きました。 川上:結果的に、奥様のご忠告を受け入れて良かったですね。化学放射線療法は選択肢に入っていなかったのでしょうか。 髙木:セカンドオピニオンを受けた病院からは、いろいろオプションを提示されましたが、がんの治療というと発想が手術だったので、放射線治療は頭にありませんでした。また放射線治療の晩期障害にも不安を感じたので、抗がん剤→手術、の選択に迷いはありませんでした。

告知よりもショックを受けた手術後

川上:私は過去に胃・食道外科の病棟に勤務していたことがあるのですが、食道がんの手術って、とても大きな、大変な手術ですよね。 髙木:そうなんです。食道がんの手術が、こんなに大変だとは思っていませんでした。 盲腸くらいの手術だと思っていて。がん告知を受けた時よりも、手術後、集中治療室の自分を見た時の方がショックが大きかったです。自分の体に管がたくさん繋がれていて、フランケンシュタインのようにつぎはぎだらけ、消毒のヨードチンキで汚れていました。 術前に話は聞いてはいましたが、実際に目の当たりにして、自分の身体から臓器が一つなくなった、もう元には戻らないのだ、と初めて自分の身に起きたことを自覚し、そのボディイメージの変化にとても落ち込みました。 川上:手術の経験は心身ともに、とても辛いものだったのですね。手術に先行する抗がん剤はいかがでしたか? 髙木:2クール、予定通りに終了できましたが、副作用はしっかりありました。入院中はそれほどでもなかったのですが、自宅に帰ってからいろいろと悪化して。特に口内炎がひどく、味覚障害も出ました。醤油などが想像を絶するほどしみましたね・・。 川上:辛い副作用が出ても2クールやり切ったんですね。抗がん剤の治療の効果はありましたか? 髙木:先生からは、1勝1敗、と。腫瘍は大きくなっていたけれど、広がりは小さくなっていたんです。手術が終わった後、先生から「あと数か月、発見が遅れたら、癒着で手術ができなかっただろう」と言われました。見つかったタイミングも、治療選択も、幸いとなりました。

これで休める・・がんと仕事

川上:がん告知を受けたとき、奥様と、会社の上司にもすぐお伝えしていたかと思いますが、どのような反応でしたか? 髙木:とくに、特別なことはなく、当たり障りのない反応でした。 川上:仕事はどうされるおつもりでしたか? 髙木:仕事をやめようという考えは全くありませんでしたが、会社に連絡している時、これでちょっと休める、と思ったくらいです(笑) 川上:なるほど。モーレツ社員だったんですね。 髙木:ちょうど告知を受けたのが3月初めだったので、年度末の有給休暇を使い、人事部と話し3か月は休職としました。担当者の方のご家族にがん体験者の方がいたこともあり、理解がありました。 川上:さきほど、手術後の集中治療室で大きなショックを受けたことをお聞きしましたが、そこから、社会復帰まではどのような道のりだったのでしょうか。 髙木:入院して抗がん剤治療をしていたとき、他にやることがなく、自分の病気のことをインターネットで調べていました。生存率や治療成績など、何度見ても数字は変わらないのに、何回も調べました。 当時の、食道がんステージ3の、5年生で生存率3割、という数字は、野球に例えると打者なら強打者、値引きなら3割は大きい。3割をポジティブな数字に変換するようになりました。 また、退院した後の3か月で、ちょうどロンドンオリンピックが開催されており、身体を動かそうと、ウォーキングを始めたところ、体がよくなっていくのを実感したんです。そこで2年後にゴルフができるようになろうと目標を決め、復帰に向けて頑張りだしました。 川上:お仕事への復帰にあたってご苦労されたことはありましたか? 髙木:手術による反回神経麻痺があり、発声に困難があり、電話に出られなかったです。これは、のちに声帯軟骨にかかわる手術をしてまた発声できるようになりました。 営業職だったので、話すことは必須でした。また、接待では食事がつきものですが、食べることが難しく、きつい、と感じました。体力的には問題なく、以前と同じように仕事ができると思っていたものの、無理だとわかり、部署異動を申し出て、半分デスクワークのような業務に変更してもらいました。

治療から7年、患者団体の立ち上げ

川上:食がんリングスは、いつ立ち上げられたのですか? 髙木:私は告知から治療、治療後も7年近く、同じがん体験者と話したことはありませんでした。 ただ、治療後のフォローアップでは再発なく経過していましたが、再発への不安もあり、がんに関して情報発信する団体を気にかけてはいました。 2019年の5月に、NPO法人キャンサーネットジャパンが主催する、Over Cancer Together(以下OCT)という、自身のがん体験を語るプログラムに参加してみたところ、自分のがん体験を生かして社会貢献したい、とヴィジョンを語る仲間たちと出会い良い意味でショックを受けたんです。 川上:私は以前、キャンサーネットジャパンの理事をしていたのですが、OCTの立ち上げに深く関わっていたので、感慨深いですね。 髙木:カルチャーショックを受け、自分に何ができるか模索するなかで、医師が主催する食道がん患者の集まりに参加したときに、医師から、食道がんには患者会がなく、患者が孤立しやすいということを聞き、これだ、と思いました。 当時はコロナ禍真っ只中だったので、インターネットを中心に活動する企画書を作り、患者の集まりで知り合った4人の医師に送付したところ、全員からすぐに「ぜひやってください」と返信があり、勤務先にも承認をとって、がん患者仲間と共に、そこから1か月で設立し法人化もしました。2020年の7月でした。 川上:どんな企画をされたのですか? 髙木:食道がんを告知された時、聞いておきたい50の質問(https://www.shokuganrings.com/50q)を核とした情報発信を計画し、当初は患者会、というスタンスではなかったのですが、いろいろやっていくうちに、Zoomで交流会を始めました。交流会では、初めて同じ食道がんの患者と話した、という方もいて、このような会が求められていることを実感しました。

現在の活動と、これから

川上:現在は、どのような活動をされているのですか? 髙木:いまは、月1回交流会を実施し、女子会もやっています。女性だけでしか話せない内容もあると思いますので。そのほかには、毎年4月の食道がん啓発月間に、日本食道学会と共催でセミナーを開催しています。 川上:これからの展望について教えてください。 髙木:現在、日本食道学会の広報委員も務めさせていただいており、大阪からもお声がけいただけるようになりました。Webサイトのアクセスを解析すると関西からのアクセスも多いため、全国展開をしたいと思っています。各地に食がんリングスの拠点となる場所を作りたいです。 川上:食がんリングスは会員制ですか? 髙木:会員という形ではなく、公式LINEに登録してもらう形をとっています。現在、登録自体は1,100名位になっています。ほぼ患者さんでありますが、ご家族、医療者などですね。 川上:1,000名超えですか。すごいですね!これからの食がんリングスの活動に期待しています。 最後に、オンコロの読者にメッセージをお願いします。 髙木:食道がんと向き合っている方々へ。食道がんリングスがあります。一人で悩む必要はありません。是非、我々にコンタクトしてください。向こう側の見えないドアを開けるのは難しいと思いますが、私たちは、YouTubeなどで、見えるようにしています。仲間がいます。皆さんのコンタクトをお待ちしています。
患者会 食道がん 体験談

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

患者会

一覧を見る