第3四半期の大手製薬企業の注目すべきイベントEvaluate Vantage(2020.6.22)より


  • [公開日]2020.07.16
  • [最終更新日]2020.07.16

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

バイオジェン社のaducanumabの承認申請は、サノフィ社、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社、イーライリリー社などの臨床データと同様、注目されている。

第2四半期が終わろうとしている今、Evaluate Vantageは、第3四半期に予定されている大手製薬企業に関するCovid-19関連以外の注目イベントについて考察した。最も待ち望まれているイベントのひとつは、臨床データではなく、バイオジェン社のアルツハイマー病治療薬「aducanumab」の申請である。バイオジェン社は以前、年初の申請を予定していたが、4月にその遅延が発表されたことにより、同社の株式は9%以上下落した。

申請は、Emerge試験とEngage試験に基づいて行われ、再解析では十分な量を十分な期間投与した場合、効果を示したと主張している。解析の統計的な厳密さと毒性プロファイルを精査するために、諮問委員会(advisory committee)が行われることは間違いないが、まず、FDAは出願を受理しなければならない。

まさに先週(6月19日)、バイオジェン社は多発性硬化症治療薬「Tecfidera」に関するマイラン社との特許紛争に敗れたことで、aducanumabへの依存をさらに高めている。

パイプラインの薄さを批判されてきた同社は、中等度のパーキンソン病を対象とした候補薬が設定した主要評価項目を下半期に達成することを期待している。抗α-シヌクレイン抗体薬であるBIIB054は、安全性を主要評価項目とする第2相Spark試験を実施中である。主な副次評価項目は、ドーパミン作動神経に対するBIIB054の薬力学的効果、並びに薬物動態抗原性を目的としている。

もう一つの抗α-シヌクレイン抗体薬であるロシュ社とプロセナ社のprasinezumabは、まちまちな結果が報告されている。現在進行中の第2相パサデナ試験では、主要評価項目である52週時のMDS-UPDRS(パーキンソン病の重症度を評価する指標)を改善することはできなかったが、副次評価項目および探索的評価項目である認知機能やその他の疾患マーカーに対する有効性の兆候が認められた。52週間の延長盲検試験は、現在進行中である。

オンコロジー

サノフィが23億ドルで買収したSynthorxにとって試金石となる第1/2相Hammer試験で得られるThor-707のデータは、今年後半に得られる予定である。非α型のIL-2であるThor-707は、IL-2治療薬で問題となっている重篤な副作用である毛細血管漏出症候群の発症を避ける必要があり、Hammer試験では主に毒性を調べている。

Thor-707は固形がんを対象として、単剤または薬剤名は不明だがPD-(L)1阻害薬との併用療法が試験されている。おそらく、サノフィ社の自社製品であるLibtayoとの併用療法であると考えられる。2018年に承認されたLibtayoは、非常に激しい競争下にある市場で後発であるため、Thor-707との併用療法によって差別化が図られる可能性がある。IL-2治療薬とPD-(L)1阻害薬を併用することで、CD8+T細胞の応答が増強され、免疫チェックポイント阻害薬単剤よりも大きな抗腫瘍効果が得られると考えられている。

初回治療の肝臓がんを対象としたアストラゼネカ社のHimalaya試験の結果は間もなく報告予定である。この試験では、ネクサバールを対照薬として、イミフィンジ単剤療法または抗CTLA-4抗体のトレメリムマブとの併用療法が検討し、主要評価項目は全生存期間である。

今月初めには、Imbrave-150試験によって効果が裏付けられたロシュ社のテセントリクとアバスチン併用療法が、初回治療の肝臓がんに対する初めての免疫療法として承認された。この併用療法は、ネクサバールと比較して、死亡リスクを42%(p=0.0006)減少させ、疾患の悪化または死亡リスクを41%(p<0.0001)減少させた。

線維症

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療薬の市場にヒト線維芽細胞増殖因子21(FGF21)刺激薬「ペグベルフェルミン」とともに参入する。長期試験である第2b相ファルコン1試験は9月に主要完了日を迎え、その結果は下半期に報告される可能性がある。

ファルコン1試験は3つの用量を評価する24週間の試験だ。主要評価項目は、NASHの増悪を伴わないステージ1以上の線維化の改善と、肝生検により判定する線維化の増悪を伴わないNASHの改善である。このように、この試験においては、線維化とNASHの改善という2つの主要評価項目が含まれている。第2a相試験では、ペグベルファルミン20mgを週1回投与することで、肝脂肪率がプラセボと比較して3.9%低下した(p=0.008)。

アケロ(Akero Therapeutics)社は、同様の薬剤であるAKR-001を開発中であり、4月には印象的なMRIデータを報告した。AKR-001を3つの投与量で評価した試験において、肝脂肪の相対的な減少率は、ベースラインと比較して63%から72%であった。生検データの公表は、第2四半期に予定されていたため、近いうちに発表されると考えられる。

下の表は、第3四半期に控える大手製薬企業の追加イベントを示したものである。中小規模の製薬企業の注目イベントについては、近日中に発表される予定である。


■出典
Third-quarter events to watch for large drug makers

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