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再発低悪性度漿液性卵巣がんに対するアブトメチニブ+デファクチニブ、良好な抗腫瘍効果を示す Journal of Clinical Oncologyより

[公開日] 2025.07.22[最終更新日] 2025.07.17

2025年7月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、再発低悪性度漿液性卵巣がんに対するRAF/MEK阻害薬 アブトメチニブ±FAK阻害薬 デファクチニブの有効性・安全性を検討した第2相RAMP 201試験(NCT03765918)の結果が報告された。

試験デザイン

対象

1回以上のプラチナ系抗がん剤後に再発した低悪性度漿液性卵巣がん患者

治療法(レジメン)

アブトメチニブ単剤療法 アブトメチニブ+デファクチニブ併用療法

評価項目

主要評価項目:盲検独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR) 副次評価項目:奏効期間(DOR)、治験責任医師によるORR、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、安全性、など

結果

有効性

アブトメチニブ+デファクチニブの併用療法によるORRは31%(95%信頼区間:23-41%)であり、アブトメチニブ単剤療法のORR(17%)と比較して高い結果となった。 また、DORの中央値は31.1ヶ月(95%信頼区間:14.8- 31.1ヶ月)、PFSの中央値は12.9ヶ月(95%信頼区間:10.9~20.2ヶ月)であった。 KRAS変異の有無による併用療法のORRは、変異陽性症例で44%であったのに対して野生型(変異陰性)症例で17%であった。また、PFSの中央値は、KRAS変異症例では22.0ヶ月(95%信頼区間:11.1~36.6ヶ月)、に対して野生型症例では12.8ヶ月(95%信頼区間:7.4~18.4ヶ月)であった。

安全性

アブトメチニブ+デファクチニブの併用療法における治療関連有害事象として最も頻繁に報告されたのは、悪心(67%)、下痢(58%)、末梢性浮腫(53%)、発疹(50%)、疲労(44%)、嘔吐(43%)であり、大部分はグレード1または2であった。 最も多く認められたグレード3以上の治療関連有害事象(AE)は、クレアチンホスホキナーゼ上昇(24%)、下痢(8%)、貧血(5%)であった。AEのために治療を中止した患者は10%であった。

結論

今回の結果から、アブトメチニブ+デファクチニブの併用療法は、再発低悪性度漿液性卵巣がんに対する治療として有望であることが示された。 現在アブトメチニブ+デファクチニブと医師選択の標準療法を比較する第3相RAMP301試験が実施中である。 上記試験には日本は含まれていないが、再発低悪性度漿液性卵巣がんの日本人症例に対するアブトメチニブ+デファクチニブ併用療法を検討した第2相RAMP201J試験が別途進行中である。 参照元: Efficacy and Safety of Avutometinib ± Defactinib in Recurrent Low-Grade Serous Ovarian Cancer: Primary Analysis of ENGOT-OV60/GOG-3052/RAMP 201(J Clin Oncol. 2025 DOI: 10.1200/JCO-25-00112.)
ニュース 卵巣がん アブトメチニブデファクチニブ漿液性卵巣がん

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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